築80年、住吉の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐4‐「あお」は希望の色
築80年、住吉の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐4‐「あお」は希望の色
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打合せに向かうと、クライアントの車が現場の前に。

後ろに、碧(あお)の屋根材が立てかけてあります。
赤と補色の関係にあるのは緑ですが、それに負けず劣らず、コントラストがとても美しいのです。

「碧」は深い青や、青緑、光り輝く青など、様々な意味を持ちます。
「紺碧(こんぺき)の海」という表現が一番よくつかわれるものでしょうか。

2階窓の腰から上が全て碧に葺かれた景色がとても楽しみです。

玄関を入ると、内部は随分すっきりしてきました。
1階を担当するのは親子大工。息子さんは、設計事務所も開設しているそう。

最奥、トイレの横にあるのは中庭です。

この僅かな外部が暮らしに潤いを与えるのです。
前時代なら、トイレや浴室は建物から出来るだけ孤立する状態でなければ、衛生を保てなかったという逆側からの理由もあります。
それらが、長屋の中庭文化を引き継がせてきたとも言えるのです。

2階のロフトもさらに工事が進んでいました。

ハシゴで登り、外をのぞくと碧の屋根がほぼ出来上がっていました。
建築家・白井晟一の最後の作品を訪れたのは2012年の2月でした。
1983年、78歳時の最後の作品で、「生前から最も好きだった色、ペルシアンブルーのタイルに挑戦したのでは」とお孫さんは語っていました。
白井晟一ほどの巨匠が、そこまで慎重だったことに驚き、また納得もします。
それにしても青は「希望」の色とはよく言ったものだ。
彼はエッセイでこう語っています。
私もクライアントの希望を現実とする碧だと確信しているのです。
文責:守谷 昌紀
◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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