氷ばかり艶なるはなし‐1433‐
氷ばかり艶なるはなし‐1433‐
今日は、所用を済ませにミナミへ。

御堂筋のイチョウは、黄色より緑が多め。
来週あたりが見ごろでしょうか。

道頓堀を西へ歩き、御堂筋を超えると少し人通りも減ってきます。

更に西へ進めば湊町。
ナンバハッチが見えてきます。

ミナミの繁華街の南西角に建つのは元「D-HOTEL」。
現在は「Continent Vijoux」という名前に変わっていました。
現在は京都大学の教授である竹山聖の設計で、1989の作品です。

ミナミによく行く人なら、この辺りの雰囲気を想像してもらえるでしょうか。
いかがわしいと言えばよいのか、健康的と言えばよいのか、まあそういったエリアです。

竹山聖の出世作といえるこの建物ですが、元はコンクリート打ち放しだけの表現でした。
緩やかにカーブを描いた壁に、クレバスのような裂け目が入っており、非常インパクトがありました。

現在は裂け目の下がタイルの壁で塞がれ、エントランスとなっているようです。

最頂部にもタイルが追加されています。
こちらの方が沢山人が集まると言われれば、それが正解なのかもしれませんが、街には凛とした建物があってもよいと思うのは私が創り手だからでしょうか。

しかしそのフォルムは健在です。

カーブした壁の先端は、厚みが2.5cm。
間違いなく限界値でしょう。
室町時代の僧、心敬は『ひとりごと』でこういいました。
氷ばかり艶なるはなし
心敬は氷に、冷たい、艶めかしい究極の美を求めたのです。
そう考えれば、この元「D-HOTEL」こそ、この地に最も合った建物と言えるかもしれません。

所用は、12月を控えスタッドレスへの交換でした。
ディーラーは、なにわ筋沿いにあり、ミナミから歩いて15分程。
こちらのイチョウは丁度見ごろでした。
感想、発言は全て主観に基づいています。よって公正な意見などありません。
しかし、他者の支持がなければ、仕事としては成立しません。
働くとは、仮説の答え合わせにほかならないのです。
今日は勤労感謝の日。
今年も沢山の仕事を頂いたことにまずは感謝し、また1年、答え合わせの旅にでます。
◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記