飛ばねえ豚はただの豚だ‐1475‐


飛ばねえ豚はただの豚だ‐1475‐



 公共の植込みは、愛想のない常緑樹が多いものです。



 しかし、この時期のツツジ、サツキは別格。



 今日は、初夏を思わせる日差しでしたが、緑と紅が目に痛いほどです。



 クライアントからよくある相談で、「イスの生地を張り替えたい」というものがあります。

 ある計画で、家具もリノベーションしたいと思いリサーチしていました。

 平野区の加美にそんな会社をみつけました。



 「加美の家」で通った街だけに愛着があります。

 町工場あり、小売店あり、住宅ありと何でもある街。それが加美です。



 モンドリアンばりの外観、「さかとういす」がありました。



 入口付近には製作中の家具がみえます。



 社長へメールしていたのですが、現在は出張中とのこと。

 1階で働いていた女性が、番頭さんを呼んでくれました。



 この方、元設計事務所勤務とのことで、「見学して行かれますか」と。

 社内をくまなく案内してくれました。



 2階にある事務所の照明は、生地で覆われています。

 なんともいい感じです。



 2階には縫製エリアがあります。



 水上バイクのシートが張り替え中。

 シートの3次元曲面を、生地が覆っていく訳で、技術と経験の必要な仕事だと想像できます。



 3階は組み立てエリア。



 スプリングが木に当たって音がしないように、布地を挟んで固定するとのことでした。

 担当の方に、とても丁寧に説明して貰ったのです。



 これは生地のすぐ下にあるクッション部。

 様々な硬さのウレタンを組み合わせて、座り心地を調整するそうです。



 奥にも作業スペースがあります。



 こちらは生地の型を作成中か。



 生地をイスに着せているところもみれました。

 完全に社会見学気分で、ひとり盛り上がっていました。やはり物作りの現場は楽しいのです。

 1階にあった大きな機械は自動裁断機です。



 それによって、随分効率が良くなったと思いますが、私はやはり人の手を感じる機械が好きです。



 また、この会社は女性の比率がとても高かったのです。

 半分以上が女性だったでしょうか。

 宮崎駿の『紅の豚』にあったこんな場面を思い出しました。

 主人公のポルコ・ロッソ(豚)が、旧知のピッコロに新しい飛行艇を発注しました。

 その製造工場に男がいません。

ピッコロ:ここんとこ仕事がなくてよ、男はみんな出稼ぎに出ちまったんだよ。

ポルコ:世界恐慌ってやつか。

ピッコロ:心配するな 女はいいぞ、よく働くし 粘り強いしな。

ポルコ:パンケーキを作るんじゃねえんだからな。

 私はおそらくフェミニストではありませんが、この場面が好きです。

 宮崎駿はインタビューで、「いい会社は女性が元気なんです」と言っていたと思います。

 『もののけ姫』でも、アシタカに「いい村は女が元気とききます」というセリフと与えているのです。

 しかし『紅の豚』で最高のセリフはやはりこれです。

 「飛ばねえ豚はただの豚だ」

 建築家も全く同じです。

 仕事のない建築家は、下手な絵描きでしかありません。

 オファーを貰い続けられるよう、頑張り続けるしかありません。

 当社の女性比率も50%。総力戦で頑張るだけです。


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