夢の賃貸リノベ

2013年9月25日




今月に入り、近畿・首都圏より賃貸マンションリノベーションのご相談を何件か頂いております。分譲と違って、賃貸マンションをリノベーションするためには、実に様々なハードルを超える必要があります。この機会にメリット・デメリットをまとめてみました。


【メリット】
分譲に比べて不動産にかける初期投資が格段に少ない。
永久に住む訳ではないので、気軽な気持ちで思い切ったプランや素材を試すことができる。
面積が小さいので、分譲に比べると工事費控えめ。


【デメリット】
リノベーション可能な賃貸物件は極めてレアである。
退去時現状復旧が大原則なので、入る時と出る時、二回工事が必要になる。
工事に費用をかけても自分の財産にならないため、何百万もかける意味がない。
数十万以内に抑えるためには人件費を省き、セルフで設計も施工もする必要がある。
それなりに設計・工事の技術や知識が必要。危険も伴う。
セルフといっても電気・水道工事は専門業者に依頼する必要があるが、信頼できるツテがない。
素人がセルフ工事をやるといって、許してくれる不動産会社やオーナーはなかなかいない。
退去時は素人工事ではダメなので工務店に依頼する必要があり本格的に改装すればするほど退去時の出費が大きくなる。


ということで、賃貸なら安くリノベできるじゃん!という意気込みをお持ちの皆様には冷水を浴びせるようですが、実際デメリットが大きすぎて実現不可能、というのが実情です。 (YYAAの旧オフィス、utakataは賃貸のリノベで電気水道以外、設計施工オールセルフですが、建築家自身が実験体なのでどうにか成り立っています。)


賃貸リノベは、学生時代など時間が有り余っている時に、ワンルームか1DKぐらいの限られた空間を、自分で設計して、友達とわいわいやりながらセルフで工事を行い、貯めたバイト代で卒業するときに現状復旧する、といった気軽なシチュエーションなら実現も不可能ではないと思っています。まだまだノウハウの蓄積が必要ですが、お気軽賃貸リノベを建築家がフォローする仕組み、なんてものは是非やってみたいですね。








工事中のutakata。壁は塗り直し、畳をめくり、天井を落として、ネットで購入した資材はかついて4Fまで上げ、ゴミは自力で焼却場に持ち込み、ドリルで水道管に穴を開けて水浸しになるわ、火災報知器は誤作動するわ・・・。賃貸リノベをお考えの方は、是非こちらをご覧ください。

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山本嘉寛建築設計事務所 YYAA

プロフィール

山本嘉寛建築設計事務所 YYAA

素材を活かした設計を心がけています

奈良・大阪・京都を中心に新築一戸建て注文住宅、町家リノベーション、古民家改修、古ビル再生など、用途や規模に関わらず建築にまつわるデザインを行う建築家/一級建築士事務所です。無理・無駄のないシンプル...

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