30代で住まい作りをお考えの方に、-8つのポイントー

2014年3月31日

1、安全や省エネのもととなる「構造」を大事に
東日本震災以降、消費者の住まいに対する価値観は変わりました。「家族の命を守る安全」が重要視され、節電や停電を体験する中で、省エネや創エネ・蓄エネといったエネルギーに対する備えも、安全・安心な暮らしのために強く求められています。
30代で家を建てるということは、これから何十年とその家に住むことが前提となりますから、長いスパンでの「安全・安心」や「省エネ」が求められます。
そこでまず考えるべき第一歩は、構造躯体の基本性能です。構造部分で高い耐震性と省エネ性が確保されているかどうか、という点です。巨大地震が来ても耐えられるのか、安全に避難できるのか、次に気密性・断熱性はどのくらい高いか、省エネ性はあるのかが問題になります。たとえ平家でも構造計算をして貰い、構造計算書の提出を求めてください。きちんとした資産価値を長期的に保つという点でも、躯体・構造部分が重要なのです。現在でも、わが国の新築の家の90%近くが木造です。芯まで一律に乾燥した骨太住宅(重量木骨)の家をしっかり作ってしっかり手入れして、資産価値のある家に長く住むという時代になったのです。
まずは「見えないけれど家族を支える重要な部分にしっかり予算をかけて頂きたいと思います。当社は「骨太無垢長寿命200年住宅」を企画し推奨しています。鉄筋コンクリートの基礎にも、200年持つように大手建設会社研究所とタイアップして独自のノウハウを作り上げました。手入れをし、内部を時代に合わせて家族数の変化に応じて間取りの増減を図るなど機能的にリフォームして、本当に200年住める住宅を設計監理しています。30年ごとに建て直さなくて良いのですから、経済的にもロングスパンで考えて有利なことは論を待たないでしょう。
次に絶対に結露しない家であること。これも見えないところに入れる断熱材が大事です。セルローズファイバーがベストです。
シックレスハウスもポイントです。ビニールクロスは使わないでください。有毒ガスを出し続けます。さらに電磁波防御の工事にも気を払ってください。IHヒーターは健康に害を及ぼします。スパーラジエントヒーター(ドイツ製)は良いようです。電磁波問題は専門家に相談してください。まだ発展途上の問題なので詳しくない専門家も居りますのでご注意を。
2、防犯に気を配った家
構造体の安全だけでは片手落ちです。犯罪防止の防犯設備も大事です。日本も特に都会地では物騒な国になりました。宅地内への見通しの確保のためフェンスや生垣の高さや配置に気を配りましょう。窓の位置、大きさ、面格子などの設備、警報設備にも専門家の指示を貰いましょう。犯罪者の心理もしっかり研究しましょう。進入に5分以上かかると犯罪者はあきらめます。周辺の街とのつながりも大事です。「縦格子ルーバー」をお勧めします。外の視線をほどよく遮ることでプライバシーを守り、室内から透ける光は夜の街をあたたかく照らす。防犯上も重要な役割を果たしてくれるでしょう。外観においても、都市型住宅としては斬新な深い庇のある屋根を配したデザインで、街と美しく調和する佇まいを実現したいですね。
街で暮らしていても、自然とのつながりは大切にしたいところですね。開放的な「ナカニワ」は、子供も安心して遊べるうえに、採光としての役割も果たす。「トップライト」は天空からの光を最大限に活用し、上昇気流で室内の熱を排出します。深い庇に守られた「プライベートバルコニー」は、自然の光を上手に取り入れることができます。こうした窓の配置や庇の長さで室内の光や風をコントロールする日本古来の住まいの工夫と、先端のテクノロジーを融合した「微気候デザイン」という空間設計を採用して、採光・通風と防犯・プライバシーを両立させながら、外部にほどよく開く工夫がなされている「中庭の家」も良いと思います。
3、ライフスタイルに合わせて進化する設備を選択
震災によってクローズアップされたことの1つが、エネルギー自給の必要性でしょう。蓄電池が推奨されていますが、相当に高価です。リチウム系のものは発火性があるといわれています。そうした背景から今注目を集めているのが、スマートハウスです。これは、太陽光発電、蓄電池システムや家庭用燃料電池などのエネルギー機器や家電などの家庭内エネルギーを、HEMS(Home Energy Management System)というシステムでトータルに計測マネジメントする住まいのことを言います。昨今のエコブームが追い風となっています。しっかり勉強している設計事務所であれば、お客様のニーズにお答えして設計監理することが出来ます。こうした最新設備の住まいを検討する場合、大前提となるのが省エネ性の高い住まいです。なぜなら、いくら最新の省エネや創エネの設備を備えても、気密性や断熱性がよくない家では、最適なエネルギーマネジメントも成り立たないからです。「温熱設計」と言いすべて数字化してお客様にご理解戴きます。

4、地域の安心度が大事
「どんな家に住むか」だけでなく「どこに住むか」も大切なテーマです。これまで一般的に語られてきた「子育てしやすい周辺環境」といえば、緑が豊かで公園やスーパーが近く、学校までの通学路が安全、駅にも程近いといった条件で測られてきました。しかし、これも震災後、重視されるポイントが少し変わってきました。
例えば、地盤の固さはどうか、海沿いや埋め立て地など立地的な災害リスクはないか、自治体の災害対策や近隣コミュニティーのつながりはしっかりしているかなど、子育ての前提となる「安心度の高さ」が地域にも求められてきているのです。特に共働きが増えている昨今、いざという時に子供と一緒に避難できるとは限りません。また、子供が夜遅くまで塾通いすることも想定すれば、通学路以外でも安全の確保を考える必要があります。
住民によるパトロールなどの活動
防犯カメラの設置
街路灯の設置や公園の見通しなどの整備
信号や標識などの交通安全施設などの整備
防犯ブザー、玄関や窓の鍵の取替えなどの個人による防犯器具などの設置
個人個人が防犯意識を持つための行事の開催
自治体、学校と警察との間で協議会を設置するなどの連携の強化

5、家族が自然に手伝い合う」住まい
共働きの家庭が増える中で、主婦にかかる家事の負担は大きくなっています。限られた時間の中で、仕事や子育てとともに炊事・掃除・洗濯などの家事を並行してこなすためには、やはり家族の協力が必要です。そこで、住まいづくりの段階から「家族が手伝ってくれるように仕向ける」プランを考えるのも1つの方法です。例えばキッチンなら、調理や洗い物をする“手元が見える”オープンなつくりにすると、手元が見えないキッチンに比べて、子供が手伝う比率がほぼ倍増します。収納でストレスがたまるのは、家族それぞれが出しっ放しにしたものを、主婦がいちいち片付けることになるからでしょう。それを防ぐには、細かいものまで収納の定位置を決めて、出した人がラクにしまえる仕組みをつくることです。そもそも我が家にはどれだけモノがあればいいのか、家を建てる際に家族会議をして話し合っておくと、その後の住まいの収納プランが立てやすくなります。
ぜひ、主婦が一家のプロデューサー役となり、家事の負担を減らして家族の時間を増やす住まいを目指してください。


6、子供を「見える化」するレイアウト
子育ては、住まいづくりの大きなモチベーションになる部分です。特に30代のご家庭で気にされているのは「いかに子供がのびのびと育つ環境をつくるか」ではないでしょうか。
私は、近年の社会課題である「ひきこもり」を防ぐためにも、子供を「見える化」する住まいづくりが必要だと考えています。玄関からの動線にも家族と顔を合わせる場所があるなど、そうしたつながり感が大切になるのです。間取りをできるだけオープンにして、小学校低学年まではリビングにファミリースタディーコーナーを設けるなど、遊びや勉強を家族の気配がある中でできるようにする。キチンの横に作ってもよいでしょう。コーナー窓とベンチを設けた明るいダイニング。食事をするのはもちろんのこと、子供が勉強したり、家族でくつろいだりと、家族が自然に集まるようになります。
個室はあっても、そこは寝るスペースを最低限確保した部屋でOKです。いわゆる「学寝分離」をして、個室にこもらずにリビングでも勉強できる子供は、図書館でも友達の家でも、社会の中でどこでも勉強できる力が身につくと言われています。また、それが社会性や社交性にもつながっていくでしょう。そうした意味でも、内に閉じるのでなく、環境や社会・街にオープンな住まいづくりを目指していかれてはいかがでしょうか。

見える化住宅

7、趣味を楽しむ住育の家

住宅は雨露がしのげ、食う、寝るといった機能をかなえるだけのものではありません。日常生活の中で、憩い、癒し、愉しみがあり、住む人の心も満たすものであって欲しいのです。
30代の若い方は、さまざまな趣味をお持ちでしょう。ご夫婦で音楽など同じ趣味を持ち、子供が参加したらもう人生最高ですね。
ジャズが好き、ポップが好き、クラシック音楽が好きな方も多いでしょう。一人ひとりの趣味も伺って、建築家がこれを楽しむことの出来るお住まいを一緒に設計することが人生をより豊かにしますね。

8、長持ちする家
日本の木造の家は26年しか持たないと言われています。欧米に比べて極端に短いのです。本来日本の木造住宅は100年はおろか1000年も持ったのです、神戸に「箱木千年家」があります。「スクラップ・アンド・ビルト」の時代は経済の低迷により、「しっかり作って、しっかり手入れして、長く住む」家に替わりつつあります。家族数の変化に応じて間仕切壁が容易に変更でき、水周り設備や電気通信設備も取替え容易に作り、インテリアを機能的に変えて200年ぐらい住み続けたいものです。家の修繕記録をしっかり残し資産価値のある家を持ち続ければ、中古住宅は価値あるものになります。家族が一緒に大勢で住む「大家族ハウス」も良いでしょうし、一部を人に貸してすむ「シエアハウス」も考慮すべきでしょう。時代は激しく変わりつつあります。変化についていって資産価値のある家に住み続けましょう。
「長期優良住宅」の申請が受理されれば、税法上も減税のメリットがあります。
長期優良住宅」に必要な条件

• 耐震性
地震に強く、倒壊しにくい安心の家
• 耐久性能(劣化対策)
構造や骨組みのしっかりした長く住める家
• 維持管理・更新の容易性
メンテナンスの容易な家
• 住戸面積
必要な広さが確保された、暮らしやすい家
• 省エネルギー性
地球にやさしく、家計にもやさしい家
• 居住環境
地域のまちなみと調和した家
• 維持保全(維持保全管理、住宅履歴情報の整備)
「住まいの履歴書」付きの、長く快適に住み続けられる家

まとめ
子育て世代の住まいづくりは、目先の快適に目を向けがちだが、その後の人生の長さを思えば、一度手に入れた住まいに長く暮らすことになる。建てた後の維持管理システム、各種サービスも充実。子育ての時期だけでなく、長い目で見た家族のライフプランを考えるベきです。

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