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残すべき建築: モダニズム建築は何を求めたのか

保存運動が行われながら取り壊しが決定した歌舞伎座や東京中央郵便局など、1920年代~60年代に建てられた近代建築が相次いで姿を消している。

市民に憩いの場を提供し、愛されてきた京都会館も、設計者が意図した景観が損なわれる形で改修工事が進められている。一方で東京駅が華々しく復元されるなど、過去の建築に対する再評価の動きはある。

しかし、一時代前の近代建築は、素材の劣化や用途の変化により、経済効率のよい高層建築に建て替えられることが多く、我々の生活基盤を築き上げたという存在価値は軽視されているのが現状だ。

日本におけるモダニズム建築


日本では、明治時代末から大正時代に鉄筋コンクリート造という新しい技術が伝えられ、遠藤於莵、本野精吾らによって装飾の少ないモダニズム建築の先駆的な作品が造られた。

当時の建築界では鉄筋コンクリート造等の構造技術的な側面に注目が集まる一方、折衷主義的な建築観が主流であり、装飾のない建築は評価されなかった。

第二次世界大戦で、物資が乏しくなったことや、復興に時間をかけず廉価に建設することが社会的な要請が最優先され、その後のバブル経済の過程の中で多くの名建築や伝統的な街並みが失われ、モダニズム建築の亜流が都市を埋め尽くし、個性のない街並みばかりが生れる結果になってしまった。

後世に残すべき36のモダニズム建築


本書では、真の評価が定まる前に絶滅の危機に瀕している近代建築のうち、後世に残すべき36例を取り上げ、設計時の時代背景や設計者の意図を交えて解説。

建築を学ぶ学生や若い建築家、建築に興味がある一般を対象に、近代建築がおかれた現状について考察する入門書とする。
出版社 誠文堂新光社
著者 松隈 洋

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