消費税UPと家づくりのスケジュール

2012年10月31日

「消費税UPと家づくりのスケジュール」について考えたいと思います。

こんな話はしたくないのですが、かなり真面目に書いたつもりです。
急かせているのです。いつも「家づくりは施主のペースで」と話しておりますが、
急かさないといけない時は、正直に急かします。
急かせているのは、設計期間をキチンと確保するためです。

消費税8%へのUPは、26年4月からですね。
設計スタートから引渡までの期間が14カ月掛かりますので、
25年2月から基本設計を開始しないとなりません。
12か月で出来るとしても、25年4月スタートです。
設計期間が短くなると言うことは、設計者が頑張れば済む話ではなく、
施主要望を聞き込めないと言うことに注意して下さい。
つまり、4月(できれば2月)に設計開始することが最終リミットなのです。

また設計開始と計画開始とは、意味が違いますよね。
設計は、建築家を決めて、与条件(土地やローン等)が整理されていないと開始できません。
つまり、そこから建築家、土地、ローン会社の選定を始めても遅いのです。

あと経過措置という言葉に、安心、騙されないでください。
この言葉一つで、供給者も需要者も思考が停止してしまうようです・・・。
「25年9月に工事契約したものは、26年4月を過ぎても旧税率でOK」になると(未決定)。
そもそも6カ月あれば普通の住宅は、完成します。
これは、駆け込み需要による職人・資材不足を見込んだ施策です。
しかし工期が延びるということは、工事会社としては経費が掛かりますし、
下職との間に発生する消費税は、26年4月を過ぎればUPされます。
当然サービスされる訳ではなく、工事内容に反映されますよね。

いずれにせよ、9月に工事契約するためには、設計開始4月では遅いです。
一般の方は、5か月もあれば設計できるでしょうと思われているかも知れません。
詳細設計が終わって、見積1か月、見積調整1か月、確認申請1か月、その後に工事契約です。
(耐震偽装問題以来、このプロセスをキチンと踏まないと、トラブル発生になり易い)
基本プランを纏めるだけで、2か月は掛かります。
詳細設計図なしでは見積も工事もできません。施主の暮らし方も図面に反映できません。

だから初めに申したように、設計スタートから引渡までの期間が14カ月掛かるのです。
設計や見積が纏まっていないのに、工事契約なんてしたら、トラブルの元になりますよね。
ここが社会的問題に発展しそうです・・・。

多くの方は、お正月に家族会議を開いて、家づくりを本格的に考え始めるでしょう。
その後、我々建築家に駆け込み需要が入ってきます。
ただそれでは、多くのスタッフを抱えている設計事務所は対応できても、
建築家本人が施主と直接コミュニケーションを取るスタイルの事務所では、対応できません。
建築家の能力を引き出す上でも、掛け込み需要に巻き込まれることなく、
出来るだけ早く正式な依頼をすることをお勧めします。

まだまだマスコミは騒ぎ始めません。
消費税UPにおける住宅産業への駆け込み需要は、
世間的(ハウスメーカーペース)にはゴールデンウィークにピークの話題となるでしょう。

建築家という存在は、住宅業界では稀有な存在であり、
これから家づくりを考えている施主層に生の声が届けられません・・・。
少しでも多くの方々にご理解いただけることを願っております。

根來宏典建築研究所

プロフィール

根來宏典建築研究所

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