佐伯祐三のアトリエ

2013年8月16日

画家、佐伯祐三のアトリエを観てきました...。





北側に大きな窓をとった、
三角屋根の、なかなか可愛らしい建築でした...。





ところで、かつては、
この、洋風の小屋のようなアトリエの横には、
佐伯祐三と、その家族が暮らした、
和風の母屋が建てられていたのだそうです...。

そして、
保存・整備にあたって、
その和風の母屋は取り壊され、
洋風のアトリエ部分だけが残されたのだそうです...。





で、
母屋があった場所は、
現在、デッキ・テラスとなっていて、
デッキに描かれた線で、
かつての母屋の間取りを表現している、
とのことでした...。

なんとなく、いかにも、
建築設計関係の人が思いつきそうなアイデアだなあ...、
なんて思わないでもありませんが、
アトリエ部分だけにしぼって保存した、
というのは、まあ、仕方ないことなのかな、
とも思いました...。






ただ、少々気になったのは、
ということになると、
デッキ・テラス側の眺めというのは、
かつては母屋の中からの眺めということなので、
本来は、存在しなかった風景、ということになってしまいます...。

そういう眺めが出来上がってしまうのは仕方ないとしても、
施設全体の中で、
なんとなく、そちらがメインの眺めのように、
目立ってしまっていたのは、
ちょっと、どうなのかなあ、と思いました...。

本来、当時の人たちに親しまれていた、
「佐伯祐三のアトリエ」の眺めというのは、
大きな窓がある、北側からの眺めだったのではないか、
と思うのですが、
そちらに廻り込もうにも、
公衆トイレのような建物が建っていて、
気持ちよく観られる環境にはなっていませんでした...。

敷地の制約等々、いろいろとあるのだろうとは思いますが、
この辺りのポイントは、結構重要な事だと思いますので、
もう少し考えてみてもよかったのではないか、
と思いました...。


昔の建築を観にいく時は、
やはり、出来るだけ、
当時の人と同じような目線で、
同じような気分で眺めたいのです...。

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仲摩邦彦建築設計事務所

プロフィール

仲摩邦彦建築設計事務所

ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたい、と考えています。

建築は、建築主であるお客様や、様々な条件・環境等の、出会いや組み合わせにより生まれるものであり、それぞれが、その機会でこその個性的なものだと考えています。 「これしかない」と納得できるようなものを...

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