「中間領域」をベースに据えたN-HOUSE
青森県の細長い土地で作られたN-House。その細長さを最大限に生かすには、空間を細かく仕切るよりも“見通しのよく、開放的な”設計が重要に思われた。そこで奥行きを目で測ることができるよう、部屋と部屋との間をつなぐ空間である「中間領域」をベースに据えた。 等間隔に区切られた中間領域が随所にあることで、他の部屋へ視線が抜ける。結果としてスペースがレイヤー状になっていることが認識でき、家の中にある種のリズムも生まれる。スペースごとの間隔を感じさせつつ、開放感が生まれるという訳だ。 この建物のメインの中間領域からは、玄関からリビングを通してダイニングスペース、さらには和室、裏庭までをも見ることができる。中間領域のお蔭で、単純な空間という箱の組み合わせではなく、互いがスムーズにつながりつつ、変化を感じさせる。そのため、オランダの古い絵画に見られるような、多様な奥深さを作り出すことができた。 トイレや収納、階段など、サービススペースはすべて、北側の壁の間にまとめ、この住宅の背骨のようなものとした。この背骨がプライバシーの囲いとなり、安心感が生まれる。なお、それに対してすべてのメインスペースは縦方向に並ぶ。メインスペースとそれ以外のスペースを区別してレイアウトすることで、すっきりとした空間を作り出した。 メインスペースでは天井の構造を見せているが、その他は仕上げをいくつかの材料に限定した。予算の関係もあったが、材料にきちんとした役割を与えることを基本とした。壁の方向によって素材を使い分けたり、床の色を部屋ごとに変えたりしたのだ。 また、素材の寸法にも基本的な決まりごとを作った。基本の素材の大きさは90cm、次はその半分の45cm、さらには22.5cm・・・というように、常に半分のサイズで調整することで、全体の統一感、そして建物と空間の一体感を生み出すことに成功している。スペースの大きさや梁のスパンなども揃い、材料の無駄も出ない。寸法が揃っているので、やや荒っぽい材料が入り込んできても全体としてコントラストが形成され、互いの素材感の良さが引き出される。 この他、この地域は多雪地域だ。雪が屋根から落ちると除雪が大変ということから、屋根のタイプは無落雪の屋根を選択。耐震工法は壁量を調整することで、開口を大きくとりながら安定した構造をとっている。さらに、フィンランド産の型枠用の板を床材として使用するなど、独自の方法で空間にアクセントを与えている。 結果、カタログから引き出したような、ありきたりな材料や既製品はなるべく使わずに、さらに予算を抑えながらも、空間の魅力を最大限に引き出すことができた。質感のよい、トータル的なコーディネーションを感じさせる、美しい住宅となっている。
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家族の特別な空間を創りましょう
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夏涼しく、冬暖かい家をつくりませんか?
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