地盤調査ってどんなことするの?
2016年3月15日
前回、不同沈下についておはなしましが、
その最悪の状況にならないよう
家を建てようとする土地の状態を
把握することが大切となります。
それでは地盤調査の流れについて
①現地調査チェックシートで判断
<注意:2階建て木造住宅以下の場合限定
(住宅瑕疵担保責任保険設計基準より)>
地盤調査の必要性を判断するのは、
あくまで専門家の判断が必須!!
②<必 要>地盤調査が必要場合は申込
<不必要>調査に基づいた基礎選択
④地盤調査
⑤地盤改良が必要かどうか判定及び地盤調査報告書の受領
⑥<必要>調査に基づいた地盤改良と基礎選択
<不必要>調査に基づいた基礎選択
となります。
①現地調査チェックシートで判断
現地調査チェックシートは以下の通りです。
土地の現状把握の参考に!
上記のすべてがAに該当する場合は、
②<不必要>調査に基づいた基礎選択
となるす。
一項目でもBが選択された場合は
②<必 要>地盤調査が必要場合は申込へ進みます。
申込む場合は、家を建てる施工業者がする場合や
もしくは、設計事務所、施工業者を通して
調査会社に委託するのが一般的です。
そして、
建物の位置からその下の地盤状況の調査を行います。
ここで注意しておかなければならないことは、
注意1:現地調査チェックシートでの判断は
2階建て木造住宅以下の場合に限るということです。
(住宅瑕疵担保責任保険設計基準より)
注意2:地盤調査の必要性を判断するのは、
あくまで専門家の判断が必須となります。
ここで、
チェックシートの内容から分かるように
敷地の周辺や状況が
非常に曖昧であるように思えます。
例えば、
近隣の地盤調査のデータから
良好な地盤と思っていても
いざ建物の建つ位置で
何か所か地盤調査してみると
そのデーターはバラバラで、
場合によっては地盤改良の必要性が
あると判定されることもあります。
また
建てる敷地が
以前に地盤調査したデーターがあったとしても、
地盤の層も経過変化し
データーが変わる場合もあります。
それらを考えると、
地盤調査は必ず行うことを強くお勧めします。
④地盤調査
そこで建築物と現況や事前の
地盤データーから判断し、
地盤調査の方法を決定します。
住宅で使われる地盤調査の主な方法は以下の3つになります。
◇スウェーデン式サウンディング調査(SWS試験)
◇ボーリング調査(標準貫入試験)
◇表面波探査法
などあります。
その中で木造戸建住宅での地盤調査は、
簡易で安価ということもあり
スウェーデン式サウンディング調査(SWS試験)
が多く採用されています。
◇スウェーデン式サウンディング調査(SWS試験)
調査方法は第1回で説明した内容と重複しますが
まず何㎏(25㎏、50㎏、75㎏、100kg)
で貫通するかを測定します。
この時貫通した場合、
その地層は自沈層といい
軟弱地盤であると判断します。
100kgで貫入しない場合は、
らせん状の先端部を地中にねじ込み、
地盤の固さを測定していきます。
【 メリット 】
・ 試験費用が安い
・ 既存の建物があっても調査が可能
・ 安全側での結果を得られる
【 デメリット 】
・ 最近は全自動の測定機器を使われる
ことが一般的で
誤差が少なくなってきています。
手動は、調査員によって誤差がでやすく
慣れた調査員と不慣れな調査員では、
試験結果が大きく変わる場合があります。
しかしながら
ベテランの調査員での手動は、
経験からくる感覚を生かすことができ
より正確に地盤状況を把握できると思います。
・地中の石や造成の時のガラなどの影響を受ける
【費用】
約30,000 ~ 50,000円
地盤調査の中では最も安くなっています。
貫入試験は、通常4~5点で行われます。
◇ボーリング調査(標準貫入試験)
ボーリング調査は最も基本的な地盤調査方法です。
しかし、木造住宅ではあまり使われていません。
先端にサンプラーを取り付けたロッドの上に
63.5kgのドライブハンマーと呼ばれるおもり
を76センチ自然落下させて打撃します。
標準貫入試験用サンプラーを地面に
30センチめり込ませるのに要する打撃回数を
N値といい、このN値によって地耐力がわかります。
同時にサンプラーで土を採取し、
砂質土なのか粘性土なのかを調べることができ
その地盤の組成や、
N値との整合性を確認することができます。
正確な地盤調査ができる反面、
かなり費用が掛かるため、
鉄筋コンクリート造の中規模以上の建物を建てる場合は
この方法を使って地盤調査をしますが、
一般の木造住宅ではあまり使われていません。
【 メリット 】
・ その地盤の組成が目視で確認できる
・ SWS試験や表面波探査法などよりも深い10m以上の調査が可能
・ データの数が豊富で他地点との比較が可能
【 デメリット 】
・ 調査に使用する機器が大型のため、広いスペースが必要
・ 調査に時間がかかり、費用も高額
・ 1mに対して30cmのサンプル最終のため、
全体の30%ほどしか地質を知ることができず十分ではない
【費用】
約150,000 ~ 250,000万円/一ヶ所
金額に開きがありますが、
これは、良好な地盤の層(支持層)の深さや
測定地点数による違いです。
調査の深さが10m未満で、1か所を調査する場合は、
15万円程度でやられているところが多いようです。
ただ、支持層が深い場合には、
調査する深さが深くなるため、
大よそ1m深くなる毎に1万円が追加でかかるようです。
◇表面波探査法
表面波探査法は、
地表から地中に向けて、振動波を発信し、
地盤の硬さを調べる方法です。
硬い地盤ほど振動波が速く伝達する性質を活用し、
振動波の反射時間によって、
地盤が硬いか柔らかいかが分かります。
費用はスウェーデン式サウンディング調査と
ボーリング調査の間ぐらいで、
スウェーデン式サウンディング調査よりも、
正確な調査結果が得られます。
【 メリット 】
・ 地中の石やガラの影響を受けにくい
SS試験が点で調査するのに対して面で調査するため、
石などの影響を受けにくくなります
・ 調査員の技量に左右されにくい
【デメリット】
・ 地盤調査費用が高い
・ 深度が深い部分の精度が低いため、
表層部での診断となってしまう
【費用】
約50,000 ~ 80,000円
徐々に金額も下がってきましたが、
SWS試験の2倍ほどかかります。
調査点は、敷地内の4~5点にて行われます。
⑤地盤改良が必要かどうか判定及び地盤調査報告書の受領
木造住宅に多いスウェーデン式サウンディング調査(SWS試験)
を例にはなします。
地盤の判定後、地盤調査報告書が提出されます。
報告書は今回の調査結果より
調査データーなどの資料と
地盤の状態や地盤改良の必要かどうか、
基礎の仕様等などの考察した判定書
となります。
ここでポイント
自沈層があるかどうか!
■自沈層とは
ぐりぐりとハンドルを回転させなくても、
50kg、75kg、100kgといったおもりの重さだけで
下に沈んでいく部分の地層
■軟弱地盤とは
軟弱地盤に対する明確な数字上の定義はありませんが、
一般的には、100kg以下の自沈層がある地盤のことを総称して
軟弱地盤という場合が多いです。
上記のような各調査ポイントごとの地盤状態の調査書が
あります。
その中で赤のラインから左にある場合は自沈層となります。
ただ自沈層があるからすぐ地盤改良という訳ではありません。
自沈層がどのように存在しているのかによって判断されます。
もちろん赤ラインから右にある場合は
地盤改良が必要ないということになります。
しかしそのポイントは良好な地盤としても
他のポイント次第では、必要ありと考察されます。
地盤補強の必要性や基礎の仕様は
全てのデーターより地盤の層の状態を把握し
専門家によって判定されることになります。
また判定に即した設計・施工することで、
地盤保証の適用となるのです。
基礎の不同沈下等にかかる事故は瑕疵の中でも
最も深刻なものなので
地盤保証は入っておきたいものです。
⑥<必要>調査に基づいた地盤改良と基礎選択
必要となれば地盤保証の基準に即し
その地盤に合った地盤改良及び基礎の設計し
承認を受けることになります。
<不必要>調査に基づいた基礎選択
不必要であれば、地盤の状態や建物の形状や重さから
適切な基礎を選択することになります。
しかし!
ここで、「本当に地盤改良が必要なの?」
て思う人がいるかと思います。
そのことは
④その地盤改良工事は本当に必要か?
過剰で無駄?
⑤地盤セカンドオピニオンって?
でおはなしします。
最後にポイントのまとめです。
1、自分でも現地調査チェックシートで調査してみよう!
2、必ず地盤調査し、地盤保証には加入しておこう!
3、スウェーデン式サウンディング調査(SWS試験)の場合
自沈層があるかどうか確認しよう!
4、地盤改良が本当に必要か?と思われるなら、
地盤のセカンドオピニオンを考慮に!
(参照:地盤ネット等・・・)
次回は
③地盤改良ってどんな種類があるの?
そしていくらぐらい?
をおはなしします。
以上地盤調査ってどんなことするの?でした。
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岩瀬隆広建築設計
想いを諦めないアイデアいっぱいの家
熊本の住宅設計を中心に新築からリノベーションまで限りある予算の中でも「質の高い心地よい住空間」を提案しています。「想い」をあきらめないアイデアいっぱいの家を目指すパートナーとしての一級建築士事務所...