詩を書くように
2013年7月27日
すごいですね...。
本当に、詩を書くように、
建築を構想していた、
ということなのでしょうか...。
立原道造
草稿「鉛筆・ネクタイ・窓」より
僕は、窓がひとつ欲しい。
あまり大きくてはいけない。
そして外に鎧戸、
内にレースのカーテンを持つてゐなくてはいけない、
ガラスは美しい磨きで外の景色がすこしでも歪んではいけない。
窓台は大きい方がいいだらう。
窓台の上には花などを飾る、
花は何でもいい、
リンダウやナデシコやアザミなど紫の花ならばなほいい。
そしてその窓は大きな湖水に向いてひらいてゐる。
湖水のほとりにはポプラがある。
お腹の赤い白いボオトには少年少女がのつてゐる。
湖の水の色は、
頭の上の空の色よりすこし青の強い色だ、
そして雲は白いやはらかな鞠のやうな雲がながれてゐる、
その雲ははつきりした輪廓がいくらか空の青に溶けこんでゐる。
僕は室内にゐて、
栗の木でつくつた凭れの高い椅子に座つてうつらうつらと睡つてゐる。
タぐれが来るまで、夜が来るまで、一日、なにもしないで。
僕は、窓が欲しい。たつたひとつ。...
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仲摩邦彦建築設計事務所
ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたい、と考えています。
建築は、建築主であるお客様や、様々な条件・環境等の、出会いや組み合わせにより生まれるものであり、それぞれが、その機会でこその個性的なものだと考えています。 「これしかない」と納得できるようなものを...