元町公園

2013年8月10日

関東大震災後の、
帝都復興事業の一つとして、
耐震化・不燃化した、鉄筋コンクリート造の小学校と、
延焼を防ぎ、避難場所の役割も持たせた、小公園を、
セットでつくり、
それ自体を、防災都市のシンボルにする、という、
壮大な計画は、
実際に、
東京市内52箇所で実現しました...。

しかし、
この画期的な計画によって実現した小公園は、
その後、ほとんどすべてが、
取り壊されたり、改修されたり、で、
原型をのこしているのは、
わずかに、この一つ、
元町公園だけとなってしまったのだそうです...。





当時の建築表現の、最先端の一つ、
ドイツ表現主義に影響を受けた、
どこか怪し気な、独特の雰囲気で、
実際に行ってみると、
まるで、タイムスリップしたような感じでした...。







しかし、
ただ一つの生き残り、
この元町公園にも、
数年前から、
取り壊して、より実用的な施設を建てる、
というような話が持ち上がったりしているようです...。

最後に残った、たった一つを残しておくこともせずに、
街中をすべて、
実用的なもので埋め尽くさないと気が済まない、
といったような、
驚くほど徹底した、現代の人の考え方には、
ちょっとゾッとするものもありますよね...。


まあ、確かに、行ってみると、
夏休みだというのに、
子供が遊んでいるわけでもなく、
ベンチで昼寝をしている男性がいるだけで、
ほとんど人もいませんでした...。

普段、どの程度使われているのか...。

もしかしたら、こんな調子で、
あまり大勢の人が使っているような場所ではないのかもしれません...。


ただ、考えてみれば、
別に、
子供が遊んだり、大勢の人が利用したりするだけが、
公園の役割ではないでしょうし、
当時の人が考え、表現した、ものを、
現代に、そのまま伝える、という一点だけでも、
立派な役割という気もします...。


今現在に生きる人にとっての便利さだけで、
いろいろなことを判断するのは、どんなものなのか、
と思いました...。


要するに、この公園は、
そんなことを考えさせてくれるような役割を持っている、
ということになるのかもしれません...。





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仲摩邦彦建築設計事務所

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ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたい、と考えています。

建築は、建築主であるお客様や、様々な条件・環境等の、出会いや組み合わせにより生まれるものであり、それぞれが、その機会でこその個性的なものだと考えています。 「これしかない」と納得できるようなものを...

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