旧東京音楽学校奏楽堂

2014年2月24日

日本で「最初の建築家」というと、通常、
今の東大建築学科の第一期卒業生、4人、
ということになるのですが、
実は、
この4人が卒業した1879年(明治12年)には、
アメリカとフランスの大学でも、
それぞれ1人ずつの日本人が、
建築学科を卒業しています…。


ということになると、本当は、
その2人を加えた6人が、
日本人「最初の建築家」、
ということになるのかもしれません…。


アメリカ・ニューヨークの、
コーネル大学を卒業した小島憲之は、
その後、一高の教授になり、
設計の実務を離れてしまったそうです…。
一高では、夏目漱石も、
彼に、英語を教わったといいます…。


もう1人、
フランスに留学し、パリ中央工学校を卒業した、
「最初の建築家」のひとりが、山口半六です…。


元々、日本の建築教育は、
その最初の4人を教えた、初代教授が、
イギリス人、ジョサイア・コンドルだったこともあって、
イギリス系のデザインが主流だったそうです…。


そんな中で、
フランス仕込みのデザインを携えて帰ってきた、
この山口半六は、まさに異色の存在、
明治期唯一と言っていい、フランス派でした…。


帰国した山口半六は、
文部省に入り、
学校、会社、地方庁舎などを手がけます…。


当時の建築家の多くが、
学習した様式に拘束され、
肩に力の入った、いかめしいデザインをしている中で、
この山口半六は、
そのような厳格な様式の拘束から、
当時としては、驚くほどに自由で、
肩の力の抜けた、
シャレたデザインを披露していたのだそうです…。


さすがは、フランス帰り…。


そんな山口半六による、
東京、上野公園の、
旧東京音楽学校奏楽堂…。





元々、東京芸大の中にあったものが、
老朽化のため、取り壊しが検討され、
愛知県犬山市にある明治村への、
移築保存が決まっていたのを、
建築界、音楽界を中心とした、
多くの反対により、撤回され、
地元の上野公園内への、
移築保存が決定されたのだそうです…。


まさに、
愛されている建築という感じですね…。


内部にも、
かまぼこ形の天井など、
音響効果を考えた、
様々な試みがなされているのだそうです…。


国家の威信がかかった、
重厚な感じはないかもしれませんが、
温かみのある、
木造の、可愛らしいコンサートホールです…。


http://k-nakama.tumblr.com/post/77666786538/4

仲摩邦彦建築設計事務所

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