アレルギーを減らす住まい
2014年2月26日
先日、住宅のアレルギー対策について文章の依頼を頂きました。シックハウスやハウスダストといった言葉は一般的にも浸透しており、住環境が体に何らかの影響を与えるということもここ20年ほどですっかり常識となりました。
ただ、(特に大人の)アレルギー疾患はたくさんの要因が複合的に関係して起こります。住宅に使う建材も要因の1つですが、揮発性有機化合物(VOC)を含まない建材のみで住宅を作ったからといって、その日からアレルギーが無くなる訳では決してありません。建材でアレルギーが解決するというのは単なる神話であり、マスコミや建材メーカーの妄言です。
建材のVOC含有量には法的な基準値がありますが、そこに置く家具や什器については特に基準がありません。既に過敏な方なら、電化製品から発散される微量の化学物質からでも影響を受ける可能性は十分あり、現代では完全にVOCを払拭した生活を実現することはほとんど不可能です(有機栽培の食品といっても、100%化学物質を含まない食品を望めば、土壌や水、果ては空気まで拘る必要があるのと同じです)。従って、どのレベルまで許容するのか・制限するのか、という線引きが必要になりますが、お困りの方が「VOCが原因でアレルギーになっている」と固く思い込んでいれば、(もし実際に影響が微量でも)それがストレッサーとなり、アレルギーを誘引します。
住まいのアレルギー対策としてはVOC含有量に目を向けると同時に、生活習慣をいかに改善するか、という視点も必要です。自律神経の働きがアレルギーに大きな影響を及ぼすことはよく知られていますが、日の当たらない部屋の中で一日中篭った生活を送っていると自律神経の働きに狂いが生じ、アレルギーや不眠症の要因となります。寝室やダイニングに自然光、特に朝日を十分に取り入れることができる設計を行い自立神経の調整を助けることも、見落としがちですが我々が手助けできる重要なアレルギー対策の一つです。
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山本嘉寛建築設計事務所 YYAA
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