第一生命相互館
2014年2月27日
皇居のお濠に面して、
1938年(昭和13年)にできた、
第一生命相互館(現・DNタワー21)…。
高層部分は、
後の再開発によるものです…。
日本の建築史において、
最後の様式建築、と呼ばれ、
一見、古典的な風貌を纏っていますが、
実は、
基礎工法や設備計画などで、
最新の工法が、数々試みられている、
当時の最先端にして、
戦前の日本の建築技術の到達点、
とも言われています…。
また、その一方で、
いわゆる洋館風の装飾がほとんどない、
きわめてシンプルな外観…。
左右対称の構成と、巨大な列柱、等々…。
その、あまりにも厳めしい古典主義が、
ナチス・ドイツやイタリアの、
いわゆる「ファシズム建築」との類似性などを、
指摘されたりもしています…。
確かに、
大きくて、堅牢で、
ちょっと威圧的…。
シンプルな外観は、
後の近代建築に通じるようにも見え、
また、
それにふさわしい最新の技術が集められていながら、
その構成から、
どこか古典的にも見える…。
きわめて多義的で、
いろいろな見方ができるところが、
なかなか味わい深い…。
そんな、第一生命相互館は、
第二次大戦後、占領軍に接収され、
総司令部(GHQ)が置かれることになります…。
「ファシズム、軍国主義との戦い」、「正義の戦争」…、
等々と標榜していた人たちが、
占領軍となるや、
「威圧的」な「ファシズム建築」に入居するなんていうのも、
これまた、なかなか味わい深い…。
http://k-nakama.tumblr.com/post/77978358870/1938-13
仲摩邦彦建築設計事務所
ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたい、と考えています。
建築は、建築主であるお客様や、様々な条件・環境等の、出会いや組み合わせにより生まれるものであり、それぞれが、その機会でこその個性的なものだと考えています。 「これしかない」と納得できるようなものを...