旧三河島汚水処分場

2014年2月28日

重要文化財にも指定されているという、
旧三河島汚水処分場施設…。





日本で最初の近代的な下水処理施設で、
赤煉瓦の、美しいポンプ場は、
1922年(大正11年)の設立当初から、
稼働していたものなのだそうです…。

当時の最先端、
日本に紹介されて間もない、
「セセッション」と呼ばれる様式の影響を受けたデザインで、
そういう意味では、
技術とデザインの粋を集めたものだったようです…。

この「セセッション」様式というのは、元々、
19世紀末の、ドイツ・オーストリアが発祥の芸術運動で、
「分離派」とも呼ばれます…。

それまでの、
保守的な芸術家協会から分離するかたちで登場したために、
こう呼ばれたのだそうです…。

建築では、
オットー・ワーグナーなどが有名なのですが、
アートに詳しい方は、
クリムトなどを思い出すかもしれません…。

「分離派」という名称の通り、
これまでの歴史的な様式から離れて、
新しい建築(芸術)を目指した動きになっていて、
ほぼ同時期の「アール・ヌーヴォー」などとも、
そういった意味では、通じているのかもしれません…。

それまで1000年以上続いてきた西洋建築の歴史から離れていく、
いわば、
その後、現代まで続いている、
近代建築のはしり、と言っていいのだろうと思います…。

そんな風に思って観ると、
垂直線と水平線を強調した、平坦な感じ、というのが、
特徴の一つになっていて、
確かに、
現代の建築にも通じる雰囲気があるようです…。





こういった実用的なものを、
当時の最先端のデザインで建築するなんて、
昔の人はえらいなあ、なんて思ってしまうのですが、
おそらく、
「こういったものに」ではなくて、
まずは「こういったものこそ」が、
当時の日本の国にとって、
重要であると考えられていたのでしょうね…。

なんでも、
平成11年に別系統のポンプ施設に切り替えられて、
引退するまでは、
ずっとここが使われていた、とのことなので、
つい最近まで、使われ続けていたことになります…。

やはり、
しっかりとした、いいものをつくっておけば、
長持ちする、ということのようです…。

どうせ建てるのならば、
きちんとしたものをつくっておくべきですね…。





http://k-nakama.tumblr.com/post/78077657035

仲摩邦彦建築設計事務所

プロフィール

仲摩邦彦建築設計事務所

ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたい、と考えています。

建築は、建築主であるお客様や、様々な条件・環境等の、出会いや組み合わせにより生まれるものであり、それぞれが、その機会でこその個性的なものだと考えています。 「これしかない」と納得できるようなものを...

仲摩邦彦建築設計事務所の事例

  • YK-House

    YK-House

  • MS-House

    MS-House

  • OT-House

    OT-House

  • 酒楽和華 清乃

    酒楽和華 清乃

  • 惣菜かぼす

    惣菜かぼす