コンクリート打放し
2014年3月13日
世田ヶ谷区民会館・区役所…。
1959年・60年に出来た、
コンクリート打放しの建築なのですが、
実際に観ると、
かなりボロボロな感じに見えてしまいます…。
設計した前川國男は、元々、
コンクリート打放しに、
素材としての美を感じていたようで、
初期には、
数々の名作を、コンクリート打放しによって、
つくり出していました…。
ただ、やはり、
こうした亀裂や風化、というものに直面し、
もっと時間に耐えうるものにしなければ、
ということを痛感することになります…。
そして、
コンクリートの上に、もう一枚、
何かを着せることが必要と考え、
その後は、
コンクリートの表面をタイルで覆った、
「打込みタイル」というものへと移行していきます…。
これは、
建築の耐久性というものを、真面目に考えた結果であり、
非常に良心的な態度だと思います…。
ただ、
今、無責任に、観に行くだけの感想で言うと、
意見は反対になってしまいます…。
どんなに古くなっていても、
どんなに傷んでいても、
なぜか、
コンクリート打放しの建築の方が、
タイルをまとったものよりも、
圧倒的な、量感のようなものを感じて、
魅力的に観えてしまいます…。
傷んでしまった、過去の名作建築の修復で、
当初のコンクリート打放しを、
お手軽な吹付材のようなもので、
覆ってしまっている例を見かけて、
残念に思ってしまうことが、度々あります…。
その一方で、
コンクリート打放しのままの建築は、
この世田ヶ谷区民会館・区役所のように、
確かにボロボロなんですが、
それでも、というのか、
それだからこそ、なのか、
とにかく、かなりの迫力があります…。
コンクリート打放しは、
建築の仕上げ方法としては、
何かと問題も多いような気がするのですが、
それにもかかわらず、今でも、多用されるのは、
こうした、
独特の魔力のようなものがあるからなのでしょうね…。
そういった意味では、
今後は、ともかくとしても、
過去の、コンクリート打放しの名作建築は、
何かと大変なこともあるでしょうが、
安易に上から何かを纏ってしまわずに、
このまま、裸で立ち続けて、
何とか、その魔力を維持し続けてほしいものだ、
と思ってしまうのでした…。
http://k-nakama.tumblr.com/post/79435401891/1959-60
仲摩邦彦建築設計事務所
ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたい、と考えています。
建築は、建築主であるお客様や、様々な条件・環境等の、出会いや組み合わせにより生まれるものであり、それぞれが、その機会でこその個性的なものだと考えています。 「これしかない」と納得できるようなものを...