【動画】失明した建築家クリス・ダウニーが考える都市をデザインするという事

家結び
目の不自由な人たちのために都市をデザインすると、どんな街になるだろう?クリス・ダウニーは2008年に突然失明してしまった建築家。彼が愛するサンフランシスコの街を、盲目になる前となった後で比較し、盲目の彼の生活を豊かにする思いやりあるデザインが、実際には、盲目であるなしにかかわらず、全ての人たちの生活をどのように良くするものであるかを語ります。

クリス・ダウニー: 目の不自由な人を思ってデザインすると

ある日 バスから降りて、展示レッスンへ向かうために交差点を目指して、西へ歩いていました。2009年冬のことです。私が失明して1年が経った頃のことでした。生活はわりとうまくいっていました。

何事もなく通りの反対側へたどり着き、左に曲がり音響式の歩行者用信号のボタンを押して信号が変わるのを待っていました。信号が青に変わって、歩きを進め無事に横断歩道を渡りきりました。歩道に上がると私の目の前でスチール製の椅子がスライドしている音が聞こえてきました。

家結び
私はこの角にはカフェがあり、その前には椅子があるのを知っていたので、左にそれて車道に近いほうに寄りました。すると同時にその椅子も動いたのです。私はただ勘違いしたのだろうと思い、右側へ寄りましたが、椅子も全く同じように動くのです。ここまで来ると私も少しおかしいと思い始めました。また左へ動いてみる。椅子も左へ動き私の行く手を塞ぎます。私はとうとうパニックになり叫びました。「誰だ、何をしている!」

すると私の叫び声の向こうに、何だか聞いたことのある音が聞こえてきました。聞き覚えのある音です。私はすぐに別の可能性に思いを巡らせ左を伸ばすと指が毛のようなものに触れ、耳をみつけました。犬の耳です。恐らくゴールデンレトリバーだったと思います。

飼い主がコーヒーを買いに行っている間、その犬のリードは椅子につながれていたのです。ただ私に挨拶をしようと努力を続けていたのです。耳の後ろを撫でてもらいたかのかもしれません。

ひょっとしたら、盲導犬のサービスかもしれません(笑)

しかし、このちょっとしたエピソードは、目が不自由な人が街を歩くということに対して抱く恐怖や誤解なのですが、周りの環境は人々に気付かずに歩いていると思われがちです。

さて、少し時間をさかのぼってお話をしましょう。2008年の聖パドリック祝日のことです。脳腫瘍を取り除く手術をしました。手術は成功したのですが、2日後に私の視力は減退し始めました。そして3日目には視力を完全に失いました。

私はたちまちものすごい恐怖に襲われ、混乱状態に陥り、自分のもろさを感じました。誰もがそうなると思います。しかし私には立ち止まってこんな風に考えることができたのです・・・。(続きは、TED動画から)

動画:クリス・ダウニー: 目の不自由な人を思ってデザインすると

プロフィール

東恩納 尚縁

将来の夢は孫と一緒に暮らすこと。

孫ができた為、将来は娘夫婦と二世帯住宅の夢を持っています。
「住まい」について考えたコラムを寄稿しています。

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