LIving Together Single に関する実態調査でわかったこと

年々上昇している未婚率。国勢調査都道府県別未婚率(2010年収録)によると、結婚適齢期といえる男性=31歳、女性28歳での未婚率が、全国的に上昇傾向にある中でも、東京都が男性=61.3%、女性=64.0%と共にトップで、男性2位の神奈川県(53.9%)女性2位の奈良県(57.1%)を大きく上回り、他を圧倒している。
これは2005年時点のデータであるが、その後もゆるやかながら上昇傾向にあるという。未婚率がここまで高くなったのは、結婚したいのにできない、という要因より、結婚を急がない、結婚に依存しない生活を選ぶ人が増えているという傾向だろうか。

首都圏は生活に必要なさまざまな環境がそろっているため、結婚をしなくても、不都合がない場所という見方もあるが、その分個人の経済的負担も大きい。景気が低迷している中、個人で生計を立てていくのは容易ではない。結婚に依存しない層ならではの、新しい生活スタイルがあるのではないだろうか?

そこで、株式会社タイムカレントでは、未婚者の「実家暮らし」に着目。30代~40代で首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に居住・有職の独身者で、実家で親と同居している人を「LIving Together Single」(以降、LITSという)とし、彼らの実態調査を実施。男女484名の回答を公開した。

「LIving Together Single」の出現率は42.0%

まず、最初に「LITS」の出現率について調べてみた。30代~40代で首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に居住・有職の独身者で、実家で親と同居している人の率を男女別に調べてみたところ、男性で39.1%、女性で45.5%。全体で42.0%と、実に4割以上が「LITS」であることが分かった。女性では約二人にひとりは「LITS」となり、想定よりも高い数値と言ってよいだろう。

「LITS」が実家に入れているお金の平均は42,810円

「LITS」は有職者であることを前提としているため、毎月実家にいくらのお金を入れているかを調べてみたところ、男性で47,273円/女性 38,347円、全体平均では42,810円であることが分かった。首都圏の賃貸住宅の家賃や、公共料金などの負担を考えると、かなり経済的メリットがあると言える。回答別にみてみると、もっとも多かったのは「30,001~50,000円」の24.2%、次いで多かったのは「~10,000円」で22.3%、「50,001~70,000円」が17.4%と偏りが出た。

親との同居で感じるメリットとは? 親への配慮のし易さも高ポイント!

家結び
次に実家で親と同居していることで感じているメリットについて聞いてみたところ、最も多かったのは「自分が経済的に助かる(65.1%)」、次いで「実家なので住み慣れている(63.8%)」、「家事(食事、掃除、洗濯など)をやってもらえる(62.0%)」と、自分事が上位となったが、「いつも親の様子をみることができる(45.5%)」「緊急時に親と近くにいられる(44.0)」も高い比率となり、親への配慮のし易さもメリットと捉えている様子がうかがえた。

食事は、ほぼ毎日実家で摂る!

また、実家で食事を摂る頻度について調べたところ、最も多かったのは「毎日(62.2%)」が最多、次いで「週に5~6日(22.1%)」となり、週に5日間以上は実に84.3%、週に3日以上まで合わせると94.0%になることがわかった。外食やコンビニなどで手軽に済ませる傾向が強い一人暮らしと比べて、かなり高い数値といえるのではないだろうか。

実家内での親への協力状況は? 男性は力仕事、女性は家事が上位に

家結び
何かとメリットが多そうな「LITS」だが、家事を中心に実家で同居している親に協力していることを、「極力協力するようにしている」「たまに協力している」「まったく協力していない」の3段階で項目別に評価を聞いてみたところ、ほとんどの項目で「たまに協力している」が最多となった。「極力協力するようにしている」と回答した率は、全ての項目で女性が高く、中でも「洗濯」「食事の準備」「食事の片づけ」「親の健康管理」などで、男性を大きく上回った。
また、「極力協力するようにしている」と「たまに協力している」を合計した、「協力姿勢」が男女共に多かったのは、「掃除」と「食事の片づけ」「買い出し」。男女別でみると、男性では「買い出し」「自宅の修繕・メンテナンス」と力仕事を含むものが高く、女性では「洗濯」「食事の準備」「風呂の準備・掃除」と主に家事全般となった。

親と同居することの意義とは?

家結び
さらに、親と同居することの意義について複数の項目を設定し、「そう思う」「ややそう思う」「あまりそう思わない」「そう思わない」の4段階で項目別に評価を聞いてみたところ、すべての項目で「そう思う」と「ややそう思う」を合計した「肯定姿勢」が多数となった。実家での親との同居に関する設問で、「親と同居していることはかっこ悪いことではない」への肯定姿勢は76.1%、「親や家族で集まって住むことはいいことだと思う」では73.1%、また「自分は家族の絆を大事にしている」で70.2%と、いずれも7割を超え、「今後も親と同居していきたい」でも68.2%と、「LITS」であることをポジティブに考えていることがわかった。
ちなみに「肯定姿勢」が最も高かったのは、「自分は趣味を大切にしている(85.7%)」、また「自分は仕事を大事にしている」の問いでも63.9%と、親との同居をポジティブに捉えていることで、自身のやりたいことも実現できている様子がうかがえた。

親との同居で周囲から言われたネガティブな発言は?

「LITS」に対しては、様々な意見がありそうだが、親と同居していることで周囲からネガティブな発言をされたことがあるかを聞いたところ、「ネガティブな発言はされたことがない(54.5%)」と過半数を超えた。それ以外の言われたことが「ある」ネガティブ発言を複数回答で聞いたところ、「親に甘えている(29.8%)」「自立できていない(29.5%)」「親の脛をかじっている(20.7%)」といずれも少数に留まった。「LITS」自身が、実家での親との同居をポジティブに考えているため、周囲にネガティブな印象を与えないのかも知れない。

震災で親と同居することに対する意識の変化は?

最後に、2011年に起きた東日本大震災の前後で、親と同居することに対する意識の変化はあったかどうかを聞いたところ、最も多かったのは「変わらない(82.4%)」と、震災以前から親との同居について肯定的だったことをうかがわせる結果だが、「震災を機に親と同居していたいという気持ちが高まった」も16.1%いた。

まとめ

今回の調査で「LITS」が数多く存在すること、また実家での親との同居に対し、経済的負担の軽減や、生活の楽さなど、実質的なメリットを感じている他、親の健康への配慮や、家族の絆を大事にし、家族で集まって暮らすことに対してもポジティブな姿勢があることが分かった。
また、そのことで趣味や仕事などの自己実現も、出来ている様子もうかがえた。結婚適齢期を過ぎた大人が実家で親と暮らすことに対して、調査結果にもあったように「親に甘えている」「自立できていない」「親の脛をかじっている」や「パラサイト」などネガティブに捉えられがちな印象を受けるが、現在の経済環境・超高齢化社会の到来といった局面を生き抜く、ポジティブなライフスタイルとして、「LIving Together Single」(LITS)が新たなキーワードとなり得るかもしれない。

ファイナンシャル・プランナー:花輪陽子

調査結果を受け「LITS」について、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏は、

未婚で親と同居している30代、40代の世代のことを指す「LITS(LIving Together Single)」は、新たなライフスタイルを送る層として注目されています。
私は仕事柄、女性誌などでOLの家計診断をさせていただく機会が多いのですが、「LITS」といわれている人たちは、もはやマジョリティーだと感じています。

家賃や物価の高い首都圏で一人暮らしをすると、収入の大部分は家賃など生活費で消えてしまい、貯金や自由に使えるお金はほとんど残らなくなってしまいます。また、長引く不況の影響や社会保険料などの負担増から現役世代の手取り収入はなかなか上がらないのが現実です。

しかし、親と同居することにより、「住宅」という親の資産を有効活用することができます。LITSの親世代の持ち家率は約8割です。子ども部屋を空けておくより、活用するほうが双方のメリットは高くなります。同居によるメリットは住居費だけではありません。インターネットのプロバイダー料金、新聞代、テレビの受信料などの生活コストも親とシェアすることにより節約ができます。

その結果、子どもは収入の大部分を将来の貯蓄や自由に使えるお金に回すことができます。親の様子をいつでも見ることができるというメリットもありますね。高齢な親にとっても子どもと一緒という精神的なメリットに加えて金銭的なメリットの両方があります。年金収入に切り替わり、現役時代に比べて収入が減るところに子どもからの生活費の援助が入るからです。

双方にとってのメリットの高いこのライフスタイルは今の時代に合っているのではないでしょうか。
と述べている。

花輪陽子氏プロフィール家結びファイナンシャル・プランナー CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士1978年三重県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部を卒業後、外資系の投資銀行に入行。09年にリーマン・ショックのあおりで夫婦同時期に失業し、ファイナンシャル・プランナーに転身。現在、雑誌や新聞などでのマネーコラム執筆のほか、全国各地で講演、テレビやラジオ出演など精力的に活動を行っている。「貯まらん女のお金がみるみる貯まる魔法のレッスン88」(マガジンハウス)、「貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで」(小学館)など著書多数。

プロフィール

吉本 剛

1972年静岡県生まれ。建築系大学を卒業後、建築設備会社に就職し、技術職、営業職を経験する。その後、不動産会社に転職し現在に至る。宅地建物取引主任者の資格をもつ不動産のスペシャリストとして、ライフプランを見据えた記事を提供していく。

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