2014年プリツカー賞に紙の建築家の坂茂氏が受賞、2年連続の日本人受賞

「建築界のノーベル賞」とも呼ばれ、毎年優れた建築家に授与される米プリツカー賞に、日本人建築家の坂茂氏が選ばれた事がわかった。日本人の受賞は丹下健三氏や安藤忠雄氏らに続き7人目で、2013年の伊東豊雄氏に続いて6回目となる。

家結びプリツカー賞 公式HP

坂茂氏の災害支援活動

坂茂氏は、紙管や紙などの環境に優しい建材を用いた「紙の建築」としても知られており、人々がエコロジーとか環境問題について騒ぎ始めるよりもずっと前から、長年取り組んでいた。紙管が建物の構造体として使えるとわかると、ハイチやルワンダ、そして日本など世界の被災地や難民キャンプで仮設住宅や復興住宅をつくり、災害支援活動に尽力した。

坂茂氏のTED動画

動画:紙で出来た避難所|坂茂

紙の建築家

【 坂茂(ばん しげる) 】

坂茂(ばん・しげる)は、ポンピドゥーセンター・メス(フランス国立芸術センター)など、国際的に高く評価される建築を手がけ、1995年の阪神・淡路大震災から東日本大震災に至るまで17年間、ハイチやルワンダ、そして日本など世界の被災地や難民キャンプで仮設住宅や復興住宅をつくり、災害支援活動に尽力した。

また、「紙の建築」でも知られ、紙筒などの身近なものの中に建築の材料として特性を見出し、それを建築作品として実用化してきた。80年代に再生紙でできた紙筒に着目した坂は、多くの研究と開発を経て、建築構造に耐えうる強度をもったエコロジーの建築構造材の実用化を果たした。

「紙の家」や「ハノーバー万博日本館」を実現させた一方、安価で世界のどこでも入手できるという利点を活かして、「紙のログハウス」「避難所用管理間仕切り」といった災害支援へと発展させた。

坂の設計技術は、東日本大震災により避難所暮らしを強いられることとなった被災者の生活を守り、宮城県女川町に建設予定の新しい仮設住宅「多層コンテナ仮設プロジェクト」にも活かされている。
他にも代表作品には、海上輸送コンテナを利用した「ノマディック・ミュージアム」などがある。

主な作品

1995年:カーテンウォールの家
1997年:壁のない家
1997年:羽根木の森
1998年:アイビー・ストラクチュアの家
1999年:ねむの木美術館
2000年:木製耐火被覆ー01 ジーシー大阪営業所ビル
2000年:家具の家
2001年:網代構造NO.2
2001年:はだかの家
2001年:紙の資料館 特種製紙総合技術研究所 Pam
2003年:PLYWOOD STRUCTUREー03
2003年:ガラスシャッターのスタジオ
2003年:写真家のシャッター・ハウス
2004年:ブルゴーニュ運河資料館・ボートハウス
2004年:ノマディック美術館
2005年:紙の仮設スタジオ- PTS
2006年:成蹊大学情報図書館
2007年:ニコラス・G・ハイエックセンター
2007年:カトリックたかとり教会
2010年:ポンピドゥー・センター・メス
2011年:女川町3階建コンテナ仮設住宅

主な受賞

1995年:毎日デザイン賞大賞
1996年:吉岡賞
1997年:日本建築家協会 新人賞
2000年:ベルリン芸術賞
2001年:世界建築賞
2004年:フランス建築アカデミー ゴールドメダル
2009年:日本建築学会賞
2009年:ロルドル・ナショナル・ド・ラ・レジオン・ドヌール勲章
2010年:フランス芸術文化勲章
2012年:毎日芸術賞受賞
2012年:芸術選奨文部科学大臣賞美術部門受賞

▼関連書籍
坂茂 (NA建築家シリーズ 7)
坂茂の家の作り方

▼関連動画
羽根木公園の家 ―景色の道|坂 茂

プロフィール

東恩納 尚縁

将来の夢は孫と一緒に暮らすこと。

孫ができた為、将来は娘夫婦と二世帯住宅の夢を持っています。
「住まい」について考えたコラムを寄稿しています。

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