第五期歌舞伎座は日本建築の美を追求したデザインを中心に災害時にも機能

歌舞伎座の建替え工事がいよいよ4月上旬にも竣工する。第五期歌舞伎座として、そして背後に全高145m、地上29階建てのオフィスビル 歌舞伎座タワーから成る複合施設 GINZA KABUKIZAとして、銀座の新しいランドマークとなりそうだ。
家結び

第五期歌舞伎座

今回で五期目となる新しい歌舞伎座では、第四期歌舞伎座の瓦屋根や唐破風、欄干等の特徴的な意匠を踏襲しつつ、高層部分には、歌舞伎座を引き立てる背景となるように日本建築の捻子連子格子(ねりこれんじこうし)といわれる、細い木を縦に細かく並べて構成した格子の一種をモチーフとした柔らかな陰影のある外装となっている。

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また、客席は現代の日本人の体格に合わせ、幅を3cm、前後の間隔を6cmに拡大。より快適に鑑賞することが可能となっている。さらに、1階後方の柱を取り除いたほか、客席全体のこう配を改良したことにより、後方席からも見やすい舞台場となっている。

劇場・歌舞伎座を中心とした複合文化拠点の形成

その歌舞伎座を中心として、背後には全高145m、地上29階建てのオフィスビル「歌舞伎座タワー」が誕生する。7階から29階までがオフィス部分となっており、基準階は有効面積約 1,700平米(514 坪)、天井高 2.8m、奥行き約20mの無柱空間を実現。

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白を基調としたデザインには歌舞伎座の漆喰壁からインスピレーションを得たもので、現代のオフィスビルに相応しい透明性と格調高さが際立っている。

歌舞伎座タワーの5階には「歌舞伎座ギャラリー」を開設予定しており、歌舞伎の世界観や歴史、関連資料に触れられるスペースとなっている。

公共性や防災性も強化

さらに、GINZA KABUKIZAは公共性や防災性にも重点をおいており、災害時には一時避難スペースとして3,000人の収容が可能となっているほか、防災備蓄倉庫も完備している。

歴史と伝統をはぐくんできた歌舞伎の殿堂・歌舞伎座。
日本文化の発信・発展、地域との共生と賑わいの創出と防災機能が備わった、銀座の新しいランドマークとなりそうだ。

GINZA KABUKIZA


所在地 東京都中央区銀座四丁目12番 ほか
用途地域等 商業地域、防火地域、都市再生緊急整備地域
銀座地区地区計画(商業機能更新地区)、高度利用地区(銀座地区)
開発手法 都市再生特別地区における都市計画
敷地面積 約6,790平米 (都市計画道路 約190平米を除く)
用途 劇場、事務所、店舗、駐車場 ほか
構造規模 地上29階、地下4階、塔屋2階
鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造
延床面積 約94,097平米
高さ 137.5m(最高高さ145.5m)
駐車台数 自動車約 280台、自転車約 50台、自動二輪約20台
竣工平成 25 年4月2日 (予定)
設計監理株式会社三菱地所設計+隈研吾建築都市設計事務所 による共同設計
劇場監修 杉山隆建築設計事務所 今里隆
外観照明デザイン 株式会社石井幹子デザイン事務所
施工 清水建設株式会社
事業主体 劇場部分 株式会社歌舞伎座
オフィス部分 松竹株式会社 100%出資 SPC

プロフィール

東恩納 尚縁

将来の夢は孫と一緒に暮らすこと。

孫ができた為、将来は娘夫婦と二世帯住宅の夢を持っています。
「住まい」について考えたコラムを寄稿しています。

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