埋蔵文化財包蔵地内ってリスク?

2016年1月13日

事務所へ戻っている途中に、

遺跡発掘後の土地発見!

ここも埋蔵文化財包蔵地内なんだぁ。

これから建築工事が始まればいいのですが?




このことは、他人事ではありません。

これから家を建てる方やそれ以外の建物を計画される方は、

要注意です。


その建設される土地は「周知の埋蔵文化財包蔵地内」ではないですか?



まず

埋蔵文化財とは?

地中に埋もれたままになっている文化財のことです。

埋蔵文化財には、

住居跡や古墳、城跡など土地と一体化されていて

動かすことができない物「遺構(いこう)と、

土器や石器、鉄器など土地と一体化されていて

動かすことができる物「遺物(いぶつ)」とがあり、

これらを一体となって過去の痕跡として残存しているものを

「遺跡(いせき)」と呼びます。



周知の埋蔵文化財包蔵地とは?

埋蔵文化財の存在が分かっている土地のことです。

〔文化財保護法第93条〕。

文化庁の資料によれば

周知の埋蔵文化財包蔵地は全国で約46万か所にのぼるようです。


周知の埋蔵文化財包蔵地内で建築工事などをする際には、

工事着手の60日前までに教育委員会へ

届け出をしなければなりません。


その後に協議や現地調査、試掘調査が行なわれることになります。


また周知の埋蔵文化財包蔵地内でない場合でも、

工事中に新たな遺跡が出土した場合、

届け出が求められています。


このことは文化財の取り扱いは

文化財保護法によって定められており、

例え土地の持ち主であっても

自由にすることはできません。


埋蔵文化財とは国民共有の財産であり、

地域の歴史や文化を紐解く上で、

不可欠なものです。

わたしたちには、

これら文化財を保存、保護し、次世代へと

伝えてゆく責務があります。


しかし、その土地での建築事業者にとっては、

非常に大きな負担となりかねません。


遺跡発掘調査にかかる費用は、

原則、事業者負担となります。


個人の住宅建築(非営利目的)の場合には

公費でまかなわれる制度がありますが、

発掘期間(場合によっては数か月以上)は工事ができません。


それどころか調査の結果、

その遺構を保存することが決まった場合、

その土地自体を使えなくなる可能性もあります。


なお、木造住宅など基礎が浅い建物の場合には、

遺跡の深さにもよりますが、

発掘調査を避けることのできるケースもあります。

(ただし各教育委員会との協議、事前調査による)


この様な負担を考えると

正直なところ

「周知の埋蔵文化財包蔵地内から外れといて!」

「建築中には出土しないで!」

と願ってしましますよね。


これから土地や中古住宅の購入を考えておられる方、

今から家つくりを考えている方は、

事前に「周知の埋蔵文化財包蔵地内」であるかどうか

知っておくことは重要です。


このことは土地や中古住宅を購入の際、

不動産屋からの重要事項説明義務がありますし、

家つくりを始めようとする方は、

住宅メーカーや設計士等から説明があるかと思います。


しかし購入側も

どのようなことなのか理解しておかないと後々

「事前に説明されていたけど、こんなことになるとは・・・。」

と後悔することになりかねません。


家づくりに限らず建築する際には

「埋蔵文化財」は

必須のキーワードと覚えておいてくださいね。

岩瀬隆広建築設計

プロフィール

岩瀬隆広建築設計

想いを諦めないアイデアいっぱいの家

熊本の住宅設計を中心に新築からリノベーションまで限りある予算の中でも「質の高い心地よい住空間」を提案しています。「想い」をあきらめないアイデアいっぱいの家を目指すパートナーとしての一級建築士事務所...

岩瀬隆広建築設計の事例

  • 33°46′48″(in大江)

    33°46′48″(in大江)

  • H-court(in八代)

    H-court(in八代)

  • Shipな家(in江津)

    Shipな家(in江津)

  • WoodBoxサロン(in荒尾)

    WoodBoxサロン(in荒尾)

  • 格子の家(in玉名)

    格子の家(in玉名)

  • シェアハウスのような家(in八幡)

    シェアハウスのような家(in八幡)

  • 回遊の平家(in合志)

    回遊の平家(in合志)

  • Chicane House(in出水)

    Chicane House(in出水)