景観にも色々あります...。

2012年11月6日

先日、
建築家ガエ・アウレンティさんが亡くなった、
というニュースを読みました...。

ガエ・アウレンティといえば、
最も有名なのは、
フランス・パリ、
オルセー美術館のインテリアの設計ではないかと思います。

私が学生ぐらいの頃…。
EU統合に向けて、
当時のミッテラン大統領が推進していた、
パリ大改造計画「グラン・プロジェ」により、
パリには、次々と、話題の建築が出現していました。

オルセー美術館は、
その中でも、目玉のプロジェクトの一つで、
大きな話題を呼んでいたため、とても印象に残っています。

私は、パリに行ったことがないので、
実物を観たことがないのですが、
パリを旅行すると、
必ず訪ねる場所の一つなのではないでしょうか...。

日本でも、
高松宮殿下記念世界文化賞を受賞していることもあって、
よく知られています...。

ただ、やはり、
日本とのかかわりで言うと、
設計者の一人として完成させた「イタリア文化会館」の、
「景観論争」が印象に残っています...。

それは、
真っ赤な外壁のビル、イタリア文化会館が、
「周辺の緑と調和せず、景観を壊す」と、
周辺住民が声をあげたことから、
論争へと発展しました...。

ただ、
感じ方はいろいろなのだろうとは思いますが、
実際に観てみると、
それほど問題かなあ、
と思うような、
むしろ抑制の利いたデザインのような気もしてしまいます…。

当時の雑誌を引っ張り出してみると、
ガエ・アウレンティと共同で設計にあたった、
ゼネコンの設計者の方の、
完成時のコメントが載っていました...。

「いにしえからの建築的ボキャブラリーである格子をモチーフ」とし、
「あくまで、禁欲的ともいえる反復の規則性にこだわった」。
「色は、日本の伝統的漆器色を参照している」等々…。

要するに、
いろいろと熟慮した末のデザインである、
ということが言いたいのだろうと思います…。

まあ、実際に観てみると、
個人的には、
この程度で問題になるのであれば、
日本の建物のほとんどが、
「景観を壊す」のではないか、
と思ってしまいました…。

ただ、
多分、唯一かつ最大の論点は、
この建築が建った場所が、
皇居のお堀端で、
靖国神社や千鳥ヶ淵のすぐそばである、という、
独特の事情にあるのだろうとは思いますが…。

こういった景観問題で、いつも、
面白い(などと言ってはいけないのかもしれませんが...)
と思うのですが、
問題になるのは、決まって、
「色」と「大きさ」だけなんですよね…。

「このような奇抜なかたちは、景観を壊す」、
なんていう意見を聞いたことがありませんよね...。

話は、以下に続きます...。
http://blogs.dion.ne.jp/k_nakama/archives/10975476.html

仲摩邦彦建築設計事務所

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仲摩邦彦建築設計事務所

ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたい、と考えています。

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