流線型の近未来

2012年11月20日

新国立競技場のデザインが決まった、
というニュースを読みました。

最近では珍しい、
大きなプロジェクトであったためか、
テレビのニュースなどでも、
ビックリするぐらい、
たくさん報じられていました。

そして、
最優秀賞に決まったのが、
イギリスの(イラク人)建築家、
ザハ・ハディドさんだった、というのも、
ちょっとビックリでした…。

私が学生になるちょっと前ぐらいに、
香港を舞台にした、
国際的な設計競技で、
全くの無名の存在でありながら、
最優秀賞を獲得して、
突如として、第一線に現れたのが、
ザハ・ハディドでした…。

そして、
私が学生ぐらいの頃には、
すっかり人気の建築家でした...。

ただ、あくまでも、
面白い提案をするけれども、
実作のない建築家として、でしたが...。

私は、
1986年に出版された、
ザハ・ハディドの作品集を持っているのですが、
今引っ張り出して、見てみても、
そこに載っている中には、
実際に建った建築は一つもなくて、
すべてが、
完成することなく終わった計画案ばかりです…。

そこには、
彼女が有名になるきっかけとなった、
香港の計画も載っているのですが、
バラバラに爆破されたような建築の断片が、
宙に漂っているような、
今見てもビックリの、
大変独創的なものでした…。

しかし、
その香港での計画も、
結局実現することがありませんでした...。

その後も、変わらず、
大変独創的で、過激な計画案は、
時々目にしていましたが、
そういったものも、実際に建築されることがなく、
かなり長い間、
実際に完成した作品のない建築家となっていました…。

なんとなく、このまま、
実際に建てることなく、
その計画案自体の面白さを、世に問うていくような、
いわゆる「アンビルト・アーキテクト」、
といったような人になっていくのかなあ、
なんて思っていました...。

そんなわけで、
まさか、後に、
日本の国立競技場を設計するようなことになるとは、
思ってもいませんでした…。

わからないものですね…。

今回の新国立競技場の設計競技は、
1次審査を突破した11案が、先に公表され、
ネット上でも、
どの案がいい、といったような議論がいろいろと起こっていました...。

そして、
ザハ・ハディド案は、
「近未来的な流線型」で、「かっこいい」と、
なかなか評判もよく、
その時点でも、一番人気のようでした…。

まさか、
「ザハ・ハディドによる日本の国立競技場」
なんてものを目にする日が来ようとは、
思ってもいませんでしたが、
こうなったら、どのようなものが完成するのか、
本当に楽しみですね…。

ところで、
今回の新国立競技場に対する、
ネット等での、いろいろな感想を読んでいて、
面白かったことの一つは、
「流線型」は、
やはり、今でも、「近未来的」らしい、
ということです...。

流線型のデザインが、
最初に流行したのは、
確か、1930年代のアメリカ、
アール・デコと呼ばれる様式でのことだと聞きます…。

当時の「近未来的」なデザインが、
およそ100年後の現在においても、
やっぱり「近未来的」であるということが、
とても面白く感じてしまいました…。

この「近未来」というのは、
いつまでたっても辿り着くことがない、
しかし、
なんとなく懐かしくもあるような、
なんとも不思議なものみたいですね...。

こうした、
「流線型」の「近未来的」なデザインの建築、
というと、私は、
建築家山田守の作品を思い出してしまいます…。

話は、以下に続きます...。
http://blogs.dion.ne.jp/k_nakama/archives/10990519.html

仲摩邦彦建築設計事務所

プロフィール

仲摩邦彦建築設計事務所

ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたい、と考えています。

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