うだつを上げろ‐1554‐
2019年1月23日
うだつを上げろ‐1554‐
昨日の日曜日は大寒。
暦の上では寒さのピークですが、現実的にはもう少し先になるでしょう。
今日は現場にでていましたが、道中に古い町並みが残っていると知り、少し立ち寄ってきました。
聖徳太子が建立したという久宝寺跡に建つのが顕証寺。
その周辺を久宝寺寺内町と呼ぶようです。
顕証寺の白壁は高さが3m程もあり、かつ長く続きます。
なかなかの迫力でしたが、 中世から環濠都市として栄え、その中心であった寺の威光をうかがい知ることができるのです。
本堂は改修中のようでした。
久宝寺寺内町には、江戸時代から戦後までの様々な町屋が残っています。
表情豊かな焼き杉板ですが、酸化して炭となった表面部は耐久性が増します。
しかし思い切った方法を考えついたものです。
屋根の両端を支える袖壁を「うだつ」と言います。
「うだつ」の上がっている建物が何軒もありました。
こちらの黒壁の家にも「うだつ」が上がっています。
諸説ありますが、防火の機能も備えたうだつを、富裕層は競って上げたと言います。
それが富の象徴となり、反対の意味で「うだつの上がらない」は、出世しない、金銭にめぐまれないとなりました。
こちらのうだつは、漆喰で縁取り装飾された上、鶴の飾りつけまであります。
木の彫り物に漆喰を塗ったものでしょうか。
いずれにしても、品のある大変に美しいうだつでした。
建築は富や権威の象徴でもありますが、それを「うだつ」だけにフォーカスしているのが、面白いところです。
日本人は様式美を重んじる民族です。
様式美とは、何らかのルールの中で表現するということですし、歴史や他者を重んじることでもあります。
アメリカのメジャーリーグにはアンリトンルール(明文化されていないルール)があるといいます。
例えば、大差のついたゲームでは盗塁をしないなどですが、日本もアンリトンルールの多い国だと思います。
それらを尊重しても、自分が設計した建物にうだつを上げることはないと思いますが、「うだつが上がらない」なんて言われるのはまっぴら御免です。
心の中で、極めて美しいうだつを上げたいと思うのです。
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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
株式会社一級建築士事務所アトリエm
夢は必ず実現する、してみせる。
一級建築士 守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...