国立国際美術館で開かれている「アンドレアス・グルスキー展」に行ってきました。東京からの巡回展ですが、噂に違わずとても良いものが見られて満足。量的にもヘトヘトにならないちょうどいい分量でした。


一番有名な作品は日本のカミオカンデを撮った作品ですが、その他も実に興味深い秀作が集まっています。扱うテーマは多岐に渡りますが、人間の身の回りのスケールと大建築や土木・自然のスケールが共存している事への視線、人工的なものと人工的でないものが共存する事への視線、マクロなものとミクロなものをフラクタルに扱う事への視線、写真と絵画の境界を曖昧にすることで生まれるリアルとは一体何かという視線、あらゆる物事が離散化・デジタル化される中で埋もれ見えなくものへの視線、といったテーマは、やまもとが日々建築設計を行う中で抱えている問題と通底していて、非常にシンクロさせられました。


深く考えなくても、ゴールデンでゴージャスなカミオカンデが気になる方なら、十分楽しめる展覧会ではないかと思います。詳細は以下をご覧下さい。
http://gursky.jp/index.html


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放射冷暖房

2014年2月21日




採用検討中の放射冷暖房システムの打合せに、ピーエス工業さんのショールームに行ってきました。


フィンの中に冷水・温水を流して放射により空調を行うシステムは欧米に比べると日本ではまだまだマイナーですが、こちらのメーカーは割と老舗で、吹抜などの大空間や、大きな窓など、建築家がやりがちな設計に適していること、見た目の恰好良さもあって、建築家住宅ではたくさん採用例があります。


お値段はそれなりに張りますが、気流がない自然な冷暖房は実に気持ちが良いので、採用するメリットは大きいと思います。


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筬の家

2014年2月13日




ホームページに新しい住宅の計画案をUPしました。細ーいルーバーで道路と住まいをやんわりと間仕切った住宅です。

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http://yyaa.jp/02works/h10osa/index.htm
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建物の工事に先立って、給水管の引き込み工事を行いました。今回は総工費圧縮の一環として、給水引き込み工事を「施主工事」として本体工事と分け、直接5社さんほどの水道工事業者に相見積を取っています。依頼先探しに苦戦しましたが、結果的にはとても丁寧な業者さんにお願いすることが出来、減額の効果も期待以上でした。




手際よく道路を切り取っていきます。工事開始から1時間でこの状況。こんなに簡単に道路を切り取れるとは・・・。左下に見えているのが給水管。ここから敷地内に分岐します。


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地鎮祭

2014年2月9日




スキップフロアの狭小住宅。今季一番の冷え込みと冷たい雨。昨晩の雪も残る中で地鎮祭を行いました。


一同、震えながら工事の安全を祈願して「えい、えい、えい」。


何かと多難な現場ですが、完成まで気合い入れて監理を行っていきます。


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雑誌やTVの番組では、建主が工事に参加する「施主工事」の場面が多くみられます。普段建築工事にかかわったことがない方にとっては貴重な経験ができる機会。自分で自分の住まいをつくることで愛着も生まれ、おまけに工事費も安くなりそう。


・・・ですが現実的には、施主工事にはよって様々なリスクやデメリットが発生します。何となく自分で出来そうだから施主工事としたものの、思いのほか大変だし時間もかかってしまった、結局はじめから職人に任せたほうがよかったなあ、という事になっては本末転倒です。施主工事の採用にあたっては、様々な危険性を考慮する必要があります。


1.資材費・工具費がかかる・・・施主工事としても、材料は購入しなければなりません。従って正味費用がゼロになる訳ではありません(例えばペンキ塗りをするためには、ペンキ自体を購入しなければなりません)。また、専門の工具をお持ちでない場合は新規で工具を購入する必要があります(ペンキ塗りなら、バット、ローラー、刷毛、マスカ―テープ、作業服、靴・・・)。


2.傷・汚れ・・・施主支給と同様、施主工事についても、本工事を行う工務店との責任負担が曖昧になりがちです。特に多いのが傷や汚れについての問題。施主工事では現場作業に慣れない素人が工事を行うため、うっかり他の綺麗に仕上がった箇所を傷つけたり、汚したりしてしまう事があります。建主が工務店に弁償しなければならない事態に陥ってしまっては意味がありません。そのため、多くの工務店では本工事の内容が完成して引渡が終わってからでないと施主工事はNG、と考えます。


3.時間がかかる・・・施主工事では、一つ一つの作業にプロの職人と比べて数倍~数十倍の時間を必要とします。本工事の完成前に施主工事を行う場合は、その完成を待ってから他の工程を行うことになり、全体の工程に遅れを生じれば現場管理を行っている工務店の経費負担が問題になります。また本工事終了後に施主工事を行う場合は、なかなか作業が進まず建築が完成したのに引越しを行えなかったり、引っ越して住みながら工事も進める、工事現場に住むような状況も多く見かけられます。


4.危険性・・・建築現場は様々な危険に満ちた場所です。資材の角で怪我をしたり高所から落下する可能性は絶えずつきまといます。また、リフォームなど古い建物の解体を施主工事で行う場合は、アスベストの含まれた建材を知らず知らずのうちに吸い込み・触ってしまう危険性があります(築30年程度の建物では建材にごく一般的にアスベストが含まれています)。


建主様の中には職業として建築工事に従事している方も多く、大工工事や給排水・空調・電気工事の技能を有している方もおられます。そういう場合はまとまった減額が可能となりメリットも大きくなります。しかし一般的なDIYの範疇で施主工事を行う場合は、上記の様々なリスクが生じるため、一概にお得にはなるとは限りません。


ただ、「自分の家を自分の家をつくってみる」という考え方は、何にも代えがたいメリットです。昨今では災害時に自分独りでどういう建築工事を行うことができるのか、サバイバルの一環として基本的な建築技能を身につけておく必要性も高まっています。インパクトドライバーや丸ノコを使った大工工事、給排水配管工事程度は少し練習すればそれなりに体得できます。施主工事を行うことで、ブラックボックスだった「建築工事」を身近に感じられるようになるなら、それだけでも十分値打ちはあるのではないか、と思います。

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戸建ての実測

2014年1月31日




戸建のリノベーション。計画を始める前に、内部・外部をごっそり実測しました。マンションの場合は間取図程度のものでもある程度計画を立てられますが、戸建は建物によって千差万別。できる限り細かく測って図面化することで、見えない部分の構造や設備をあぶりだす必要があります。


今回は変形地+増築ありの建物のため、昼から始めて夜までかかってしまいました。一体どこがどうなっているのか、図面化するのが楽しみです。


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只今プランの作成中

2014年1月30日




住吉区の住宅計画。プラン検討中。今回はそれほど狭小という訳ではないのですが、コストとご要望、敷地の兼ね合いでなかなか決め手に欠ける状態です。


新築の場合はご相談からプレゼンまで3週間~1ヶ月程度頂戴しているのですが、前半はほとんどこういった作業を繰り返す時間に費やされます。毎日ちょっとずつ悩んでいると、ある日突然何かのきっかけでスカッと解けたりすることもあります(毎回という訳にはいきませんが)。


もうしばらく格闘が続きます。

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建物をローコスト化する方法は様々ありますが、素材や仕様そのままに経費を削減する手段として、「施主支給」があります。通常は工務店が卸業者から仕入れる資材を施主(=建主)が別ルートで購入して現場に納入し、取付工事のみを工務店に依頼する手法です。当所の設計物件でもほぼ100%、何かしら施主支給による減額を行っています。


ある建材について、見積計上されている仕入値が高かった場合、建主がネットショップなどで激安価格の建材を購入して現場に納入すれば、その差額分だけ工事費を減額することができます。また、工務店の経費は全体の工事金額に応じた掛け率で決まってくるため、本工事から資材の分を除外すればその分の経費が無くなる、という考え方も出来ます。


今日では一般の方でも簡単にインターネットで建材を購入することができますので、商品を探す手間さえ惜しまなければ、工務店経由に比べて安い価格で資材を仕入れる事はそれ程難しいことではありません。特に照明器具や家具、カーテンなど単体の建材については施主支給は非常にメリットがある手法です。しかし一方で、工事と密接に関係する資材や設備については施主支給によるデメリットも考慮する必要があります。


1.ローンに含めにくい・・・施主支給扱いにより本工事の契約金額は下がりますが、契約に含めないということは通常、ローンに組み込むことはできません。融資先の審査にもよりますが、基本的には直接代金を支払う必要性が生じます。従って、施主支給が大きくなるほど、現金での負担が大きくなります。


2.現場納入時期の調整が難しい・・・建築工事では通常、現場の進捗に応じて工務店が順番に必要な資材を発注します。工程管理は請負業者の大事な業務の一つです。しかし施主支給の場合は、建主自身がメーカーや卸業者、現場監督と綿密に打合せして、いつ何を現場に納入すればよいのか調整する必要があります。ネットショップ等から資材を注文する場合は、納入日が予定より一日ずれてしまった、という事もしばしば起こります。しかしその日の取付けのためにやってきた職人が仕事を出来ず、もう一日余計に段取りするような事態になれば、余計に1日分の人件費(職人1人3万程度)を支払わねばならない事になってしまいます。さらにその遅れが他の工程に影響を及ぼす可能性もゼロではありません。


3.必要な部材の選定が難しい・・・建材や設備機器の中には、商品自体の他にビスや配管、配線など、付属部材が必要になるものがあります。建主が直接部材を取り寄せる場合は、それらの付属部材についても 過不足なく仕入れる必要があるため、商品やその取付方法についての知識が必要となります。


4.責任が曖昧・・・例えば水栓を施主支給し、それを工務店が組み立たとして 数年後に水漏れを起こった場合を考えます。水栓自体の不良が原因なのか、 取付工事に問題があったのかをはっきりさせることは非常に困難です。 工務店が発注した物品であれば、機器・工事どちらに問題があったとしても、 工務店が請負業者として責任を持ってメンテナンスする義務が生じますが、 施主支給が絡んだものについては責任外ということになってしまいます。


5.工務店の理解が必要・・・工務店は資材と人件費について経費を計上することで利益を生み出しています。その中の資材の分を切り離すことは工務店にとってメリットがある話ではありません。また専門家でない方が現場に介在することで、むしろ通常の業務に比べて余計な労力が発生する場合が多く、上記4の問題もできれば避けたいところです。そのため、工務店によっては施主工事NG、という考え方の業者も存在します。


このように施主支給が増えれば増えるほど現場との蜜な連携が必要となります。建築業界にかなり明るい方でなければメリットよりもデメリットのほうが大きくなってしまう可能性が十分あります。結局最初から工務店に頼めばよかった、ということになっては本末転倒です。そのため当所では、ケースに応じて商品の調達や現場納入時期の調整についてサポートする代行業務を行っています。


本当は施主支給無しで全ての工事を行えればベストですが、削れるところは少しでも削って、出来る限り希望を叶えたいというお施主さまがほとんど。特に関西の皆様の厳しい金銭感覚をクリアするには、様々な工夫が必要です。


山本嘉寛建蓄設計事務所
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正月を返上して作成した福祉施設のプロポーザル案です。障害のある人々と社会とのつながりを模索する複合施設。障がいのあるアーティストの作品を企業やデザイナーと連携して商品販売する試みを色々行っている団体なので、どうせなら建築やインテリアのデザインも建築家頼りじゃなくて障害のあるアーティストにデザインしてもらったらいいんじゃないですか?建築家はそれらを実務面でサポートすれば十分ではないですか?という提案をさせて頂きました。


結果は残念ながら不採用。設計者の経歴を重視するプロポーザル方式では、学歴も賞暦もない若輩設計者の話を聞いていただける余地はなかったようです。コンペ・プロポーザルは宝くじみたいなものですが、くじは買わなきゃ当たらない。くやしさをバネにして、当たるまで挑戦したいと思います。


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山本嘉寛建築設計事務所 YYAA

プロフィール

山本嘉寛建築設計事務所 YYAA

素材を活かした設計を心がけています

奈良・大阪・京都を中心に新築一戸建て注文住宅、町家リノベーション、古民家改修、古ビル再生など、用途や規模に関わらず建築にまつわるデザインを行う建築家/一級建築士事務所です。無理・無駄のないシンプル...

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