JR東海のリニア中央新幹線の土木構造物は4兆0158億円!1㎞当たりの工事費は140億6000万円と試算

土木構造物は4兆0158億円/JR東海のリニア中央新幹線

【品川、名古屋駅に10月着工】
 東海旅客鉄道(JR東海)が2027年開業を目指すリニア中央新幹線(品川~名古屋間)の詳細が明らかになった。26日に最終的な環境影響評価書(アセスメント)を国土交通相らに送付するとともに工事実施計画の認可を国交大臣に申請。この中で大深度地下利用の第一首都圏隧道や第一中京圏隧道、長大山岳トンネルとなる南アルプス、中央アルプス隧道などのトンネルや橋梁などの概要を明記。トンネルの具体的な工事計画や、発生土量とその活用先も示している。総工事費は、従来見通しより935億円増え、5兆5235億円とした。このうち、トンネル、橋梁、駅などの土木構造物の工事費は4兆0158億円を見込む。1㎞当たりの工事費は140億6000万円と試算している。
 JR東海は今回、工事実施計画(その1)として、隧道、橋梁、停車場など土木構造物を中心に申請した。電灯・電力線路や車両などの開業設備は、工事内容が確定した段階で、工事実施計画(その2)として認可申請する。国の認可が得られたあと、早ければ9月にも地元への説明や用地の取得など建設工事の手続きに入る。準備工事を含めて長期の工期が必要な「品川駅」と「名古屋駅」や、南アルプスなどの長大山岳トンネル工事を先行する方針で、10月から着手する見通しだ。
 トンネルは、最長が起点となる「品川駅」から相模原市の橋本駅付近に設置する「神奈川県駅」(仮称)を結ぶ第一首都圏隧道で長さ3万6924m。これに次ぐのが、岐阜県可児市から「名古屋市駅」までの第一中京圏隧道で3万4210m。ともに大深度地下を利用する。山岳トンネルでは、南アルプス隧道が最長で、山梨県早川町から長野県大鹿村までの長さ2万5019m、長野県飯田市から岐阜県中津川市までの中央アルプス隧道が長さ2万3288m。トンネルは合計43カ所を計画し、総延長は25万6550mとなる。
 橋梁は、甲府盆地にある釜無川橋梁の751mが最も長く、橋梁は計78カ所で、総延長1万1626m。
 工事費のうち、隧道費は1兆6219億6000万円、橋梁費は2922億円、停車場費は5206億円と試算。このほか、用地費3420億4000万円や、発電所・変電所費、路盤費、軌道費などを加えると4兆0158億円になる。
 建設工事の工程表によると、14年度から用地、路盤、電気(送電線)を進め、15年度から軌道に着手する予定。
 発生土活用の基本的な進め方や発生土置き場を設置する場合の環境保全についての方法も具体的に盛り込んでいる。山梨、長野両県内では、発生土の数量と活用先を詳しく明示している。 
 リニア中央新幹線(品川~名古屋間)は、全長約285.6㎞。品川、名古屋駅の間に、神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県の各中間駅を設置し、相模原市と岐阜県中津川市に車両基地を整備する。地上部が約40㎞、トンネル部が約246㎞で、都市部はシールド工法、山間部をNATMで施工する。

この記事は建設通信新聞より転載しています

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東恩納 尚縁

将来の夢は孫と一緒に暮らすこと。

孫ができた為、将来は娘夫婦と二世帯住宅の夢を持っています。
「住まい」について考えたコラムを寄稿しています。

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