男の隠れ家ルーム
さて、そんなわけで私が担当した103号室。
各部屋の説明をしたいと思いますー。まずは「男の隠れ家ルーム」と題した約6畳のこの部屋。
天井までいっぱいに取り付けた造作家具収納と、
壁面のフカフカとしたファブリックパネル壁がポイントでした。
壁、何かアクセント・・・・でまず思いつくのは
「柄物の壁紙を貼る」というのが一般的でしょうか。
あるいは「タイルや石を貼る」など。
一般的ではない、何か他のアクセントを提案したいと思いまして、
このファブリックパネルの壁という発想になりました。
中にウレタン(綿)を入れてカーテンの生地でくるんでいます。
そんなパネルを25枚作って、壁にペタっと貼りつけたというわけです。
この部屋をご覧になった多くの方が、まずはこの壁に目を奪われていました。
次にこの、造作収納。
たっぷりとした収納力のある作り付けの家具は
「これだけあったら十分ものが片付きそうだわ」というお声をたくさん聞きました。
(余談ですが、よくプランニングのときにお客様から言われることの一つで
「天井まで収納を作りつけると圧迫感出ませんか・・・それが心配なんです」というのがありますが、いかがでしょうか、圧迫感、感じますか?)
これは個人的な好み、になってしまうのですが
私はどうも「本棚」というのが好きでして
何かっちゃぁ、本棚のある空間を提案したくなる。
ここも無意識のうちにそんな個人的趣向がプランに反映されてしまったパターンです。
ダークブラウンの木目、黒いスジが特徴的な
AICA工業の「JI-613K」の品番、メラミン製の特注家具です。
この物件があります阿佐ヶ谷(東京都杉並)は、
近隣の中野や高円寺などとひっくるめて
アニメの街、だったりします。
オタクの聖地・中野ブロードウェイや、
阿佐ヶ谷アニメストリート、
杉並のアニメーションミュージアムなどなど。
なので、この部屋の住人もきっとちょっとしたオタクで、
例えば仕事もそんな感じだったりするのではないだろうか、という想定をいたしました。
「40代の夫。アニメーションディレクター。
残業が多い・・・」というね。
いつも個人邸のご依頼が多く、
住宅モデルルームはあまり多く手掛けたことがない私です。
モデルルームのディスプレイは見栄えよく
気取った小物が多い(という勝手なイメージです、すみません)のですが
私はどうしてもリアリティにこだわりたかった。
ここはモデルルームではあるけれど、
実際に住む人(住んでいる人)がいるように感じさせたい。
ディスプレイの小物も、人柄や趣味趣向がわかるようなものにしたいと思い、
ある方から個人的に所有物をお借りすることにしました。
アイドル、魔法少女系、松田聖子論から
キカイダー、バットマン、
三島由紀夫の家という写真集まで。
「この本、めっちゃマニアックなんですけれど・・・どうやって集めたんですが?古本屋さんですか?」とか
「りかさんがこーゆーのを読むんですか?!」とか
「この品揃え・・・相当キテる人のコレクションだ・・・」という声をちらほら耳にしました。
リアルな感じが出せたのではと思っています。
この部屋は、御主人様の趣味の部屋、書斎、という想定です。
いいなぁ、こんな書斎、俺も欲しい・・・そう思ってくれる人がいれば
嬉しいなーと思いました。
カーテンは、モスグリーンの無地と、柄物、2種類を取り入れた切り替えのデザイン。
トリムを装飾しています。
無地のモスグリーンの部分がベルギーのブランド「WIND」で、
ZENというシリーズの色品番38を使用しました。
柄の部分はイギリスの生地で綿100%の素材です。
壁のファブリックパネルと共通、マナトレーディングから出していただいた生地です。
森をテーマにしていますので、
苔、草、花・・・をイメージさせるグリーンやデザインのものをセレクトしました。
天井には鳥の巣?みたいななんか変なものをぶらさげておきました。
手作りです、私の。
ちなみにこれ、頭の中で描いていた「作ろうとしていた形」と
実はまっっったく違う形なのです。
どうしてかというと・・・不器用だからです(苦笑)
でも、まぁ。これでいっか、というアバウトなものになりました。
意外にもこれを写メとっているお客様が多かったので
なんか恐縮です・・・。
置いている家具は、
アビタスタイルの黒い革張りのアームチェア。
LOUNGE by Francfrancのモノトーンの木のシルエットのラグマット。
そんなコーディネート空間でございます~。
ちなみにビフォーはこちら。
どぉ?変わったでしょ。
三宅 利佳(ジェイブルー)
インテリアコーディネート事務所 ジェイブルー
●インテリアコーディネーター 980877A
●2級建築士
●AFT色彩検定 1級
美しく暮らすにはそれなりの努力が必要です。
例えば掃除、整理整頓、時々の模様替えや花を活けなおしたり・・・。
どうせすぐ使うから
どうせすぐ汚すから
そう言ってやりっぱなし出しっぱなし汚しっぱなしの生活は
確かに面倒がなくて便利ですが
便利ばかりを追求していてはあっというまに雑多な空間になります。
美しい部屋、居心地の良い部屋というのは
日々手をかけ続ける面倒臭さを内包しています。
でも、そのことを放棄しないでください。
部屋は人の心を表すと思いませんか。
インテリアコーディネーターがお手伝いできるのはほんの最初の舞台づくりだけ。
「こうありたい理想の自分」を思い描いて
ぜひ素敵な住空間を維持してください。
それが、生き方にもつながるのだろうと思います。
三宅 利佳(ジェイブルー) さんの記事
-
私が影響を受けた本「インテリアファブリックの世界」
インテリアショップやインテリア関連のメーカーが出している「本」が ちまたにはいくつもある。 例えば。 イタリアンモダンの高級家具店でおなじみの カッシーナ。 カッシー...
-
7年前のお客様ふたたび
7年前のお客様から再びのご依頼をいただき、伺ってきました。 7年ぶりにお会いするお客様は何も変わらず (太りもせず、老けもせず、ってすごいですよね♪) お部屋も当時とほとん...
-
赤ちゃんマンとシェード
写真の奥にみえるのは 以前に納めさせていただいたカーテン。 上部が紺色の無地、 下部がジオメトリックな柄に紺とオレンジが入っているファブリックを使いました。 とい...
関連する記事
-
住まいづくりのプロセスが変わるかもしれません!!
住環境セラピスト&ライフオーガナイザーの小森あきです。 お住まいを建てる時、リフォームする時、お引越しする時。あなたはまず誰に相談しますか? 多くの方が、展示場や不動産屋の営業マ...