インテリアコーディネーターになるには?資格試験や難易度、合格率について解説します
活躍の場はどんどん広がり、インテリアコーディネーターという仕事についての注目度も上がっています。「インテリアコーディネーターになりたい!」と考えている方も多いのではないでしょうか?
今回はインテリアコーディネーターになるために取得しておきたい資格について、その内容や難易度・合格率等を解説していきます!
インテリアコーディネーター資格とは
インテリアコーディネーターに関わる資格としては、社団法人インテリア産業協会による「インテリアコーディネーター」という資格制度があります。ただこの資格は民間資格であり、国家資格である医師や弁護士・看護師のように「働くにあたって、絶対にこの資格が必要である」というものではありません。
※ただし、コーディネーターの試験に合格していないとインテリアコーディネーターとは名乗れません
ただインテリアコーディネーターになるにあたって、この資格は取っておいた方が有利だと言えます。既にインテリア関連業界で働いている人でも、現在の仕事を続けながら資格取得のために勉強をしている人も多いんですよ。どうしてインテリアコーディネーター資格を持っておいた方が良いんでしょうか?その理由には、以下の4つが挙げられます。
就職・転職で「資格アピール」ができる
インテリアコーディネーターの活躍の場は幅広く、コーディネーターの人達の経歴も様々。必ずしも皆が同じルートでインテリアコーディネーターになっているわけではありません。でも一般的には、住宅メーカーや家具メーカー・リフォーム関連・家具販売・デザイン事務所といった建築・住宅関連の企業に就職・転職をして、経験を積みながらインテリアコーディネーターにステップアップしていくというケースが多いです。現に私も、もともと不動産業からインテリアコーディネーターとしてお仕事をつなげてきました。
住宅・建築関連への就職・転職にあたって、インテリア関連の基礎知識・専門知識を持っている証となる「インテリアコーディネーター資格」を持っていることは、大きなアピールポイントとなることでしょう。
住宅・建築関連からのスキルアップ
既に住宅・建築関連で勤務をしているという人でも、インテリアコーディネーションに特化した基礎知識・専門知識をしっかりと持っているという人は少ないはず。インテリアコーディネーターの資格を取ることで、例えばハウスメーカーでのコーディネート業務といった希望する部門・職種へのスキルアップをしやすくなります。またフリーのインテリアコーディネーターとして独立をする際にも、資格を持っておいたほうが有利です。
お客様からの信頼度アップ
例えばあなたが「これからパソコンの専門知識を教わろう」と思った時、パソコンインストラクターの資格を持っている講師と持っていない講師が居たら、どちらを選びますか?よほど有名だったり、テレビや雑誌に出ているような人なら無資格でも人気があるかもしれませんが、通常なら資格をきちんと持っている講師を選ぶ…という人が多いですよね。
「大切な自宅や店舗を、できるだけ素敵なものにしたい」と考えいているお客様の目線も、これと同じです。「より信頼できるインテリアコーディネーターに仕事を依頼したい」と考える時のお客様の選択の指標となるのが、インテリアコーディネーター資格所有の有無ということになります。つまり「お客様から選ばれるコーディネーター」になりやすいというわけですね。
現場で役立つ知識が得られる
インテリアコーディネーター資格試験を取得するためには、インテリアエレメンツや居住空間の安全性について等、幅広い知識を学ぶことになります。知識の幅が拡がれば、実際にインテリアコーディネートを行う現場でも役立つことでしょう。
インテリアコーディネーター資格試験ってどんな試験?
受験資格はある?
インテリアコーディネーターの資格試験を受けるにあたって、年齢や性別・学歴といった受験資格の制限はありません。インテリア・住宅関連未経験や、高校生・大学生・専門学校生といった学生の人でも資格試験を受けることができます。
インテリアコーディネーター資格の試験内容は?
インテリアコーディネーター資格試験では、一次試験(学科試験)と二次試験(論文・プレゼン方式)の二段階の試験が行われます。
一次試験
一次試験はマークシート方式で、試験時間は約160分です。
【試験内容・範囲】
・インテリアコーディネーターの誕生から現在までの経緯・背景
・インテリアコーディネーターの役割や職務範囲
・インテリアについての歴史(日本及び海外)
・インテリアコーディネートを適切に行うための人間工学・造形・安全性・維持管理等
・インテリアエレメント(住宅家具等)についての品質表示等
・インテリアの造作材・機能材料・建具等について
・室内環境・住宅設備についての基礎知識
・インテリアコーディネートを表現するための設計図書・CAD表現・プレゼン等に関する基礎知識
・インテリア関連の法律や規格・制度について
上記の9つの科目について、基礎知識を有しているかどうかを確認する問題が出題されます。
二次試験
二次試験は図面等によるプレゼンテーション及び論文記述となります。試験時間は約180分です。一次試験より更に専門的な知識を有しているかどうかが確認されます。プレゼンテーション試験では設問に基づいて、平面図やパース等の図面の作成を行います。
一次試験の合格者しか二次試験は受験できません。
なお一次試験に合格し、二次試験に通らなかった場合、翌年度から3年は一次試験の受験が免除されます。
インテリアコーディネーター資格試験の難易度・合格率は?
インテリアコーディネーターの資格試験って、どれくらいの難易度なんでしょうか。
インテリアコーディネーターの資格試験のための教室(通信教育講座・スクール等)の平均的な学習期間は8ヶ月~9ヶ月間程度となっています。総学習時間(講義時間)はスクールによっても異なりますが、平均200時間前後です。
ちなみに看護師資格を取得するための「看護学校」が3年、弁護士や検察官になるための司法試験の講義時間は大体500時間~800時間。国家資格であるこれらの資格試験の受講期間や、高校・大学の受験対策等に比べれば、学習時間は短めと言えるかもしれません。
でも資格試験の難易度が低いか?と言えば、そういうわけでもないんです。インテリアコーディネーター資格の合格率について見ていきましょう。
インテリアコーディネーター試験の合格率
【平成26年(2014年)のデータ】
・一次試験受験者数 8,907人
・一次試験合格者数 2,648人
・一次試験合格率 29.7%
・二次試験受験者数 3,633人(このうち、一次試験免除受験者は1,283人)
・二次試験合格者数 2,297人
・二次試験合格率 63.2%
一次試験・二次試験の総計合格率 24.5%
【平成28年(2016年)のデータ】
・一次試験受験者数 8,328人
・一次試験合格者数 2,560人
・一次試験合格率 30.7%
・二次試験受験者数 3,405人(このうち、一次試験免除受験者は1,131人)
・二次試験合格者数 2,055人
・二次試験合格率 60.4%
一次試験・二次試験の総計合格率 23.9%
いかがでしょうか?平成20年台の一次・二次試験を通じた資格取得試験合格者率は、低い時で22%、高いときで25%程度のところを推移しています。ただ「約4人に1人の合格率」というこのデータだけだと、ちょっと難しさが把握しにくいかもしれませんね。他の資格試験の合格率と比較しながら、難易度を考えてみましょう。
ごく一般的な資格試験である「普通自動車免許」の場合、平成26年(2014年)のデータでは受験者数1,769,880人・合格者数は1,267,918人ですから、合格率は71.6%。7割以上が受かっている状態です。自動車免許取得等に比べると、インテリアコーディネーター資格はグッと難易度が上がっていることになります。
今度は国家試験である司法試験を見てみましょう。2017年の司法試験では、5,967人が受験し、合格者は1,543人でした。合格率は25.86%ということになります。数字だけで見てみると、インテリアコーディネーターの合格の難しさは司法試験に劣らないクラスということになりますね。
一次試験の合格率が低い
インテリアコーディネーター資格試験の合格率データを見ていくと、一次試験の合格率が非常に低い(約27%~30%)であることがわかります。7割以上の人が、一次試験でふるい落とされているわけです。
一次試験(学科試験)はマークシート方式なので、長々と文章を書いたりすることはありませんし、誤字脱字によって原点されるということもありません。
また万一「問題がわからない」という時でも回答をすることはできるのですが…
上でご紹介したとおりに試験内容の範囲が9つもあり、それぞれのジャンルから幅広い出題が行われます。この範囲の広さに苦労をされたという方も少なくありません。勉強したこと・テキストに載っていることをしっかりと暗記しておく必要があります。
一次試験の合格ライン(合格得点)についてはデータとして明記はされていませんが、総得点の70%~75%で推移していると言われています。でもインテリアコーディネーター試験経験者達からは、「できれば全問合格が理想的!」という声もあるほど。講座等で「聞いて学ぶ」だけではなく、自分自身で何度も復習を繰り返して、知識をキチンと「理解して覚える」という対策が必要になってくるんですね。
「一発合格」は少ない?
インテリアコーディネーター資格試験の受験者・合格率データからもうひとつわかるのが、二次試験の受験者の「一次試験免除者」の数の多さです。
二次試験受験者のうち、大体1/3、30%近くを一次試験免除者が占めています。「一次試験免除者」とは上で解説したとおり、一次試験は突破したけれど二次に落ちて、3年以内にもう一度二次試験に挑戦している人のこと。それだけ多くの人が、「二次試験での不合格」を一度は経験しているわけです。
一次試験・二次試験を通じての合格率は25%を推移しているものの、「一回目の試験で二次試験まで通った」という人は更に少なくなる…というわけですね。試験一回での資格取得率のデータは公開されていませんが、10%~15%程度ではないかとも言われています。
この理由としては、二次試験が論文・平面図・パース作成といったより専門的な知識を必要とするものであることが挙げられるでしょう。また図面作成(製図)はこの試験特有のクセがあり、大学や専門学校で建築を学ばれてきた人でも、「受験対策をしていなかったために落ちてしまった」というケースが見られています。
この他、制限時間が論文+プレゼンで3時間に定められているので、「制限時間が足りなくなってしまった…」という人も多い様子。自分であらかじめ時間配分をしっかり考え、制限時間を念頭においた図面作成の練習をしておく必要があります。受験対策としては、「インテリアコーディネーター資格試験・二次試験用」の対策講座(直前講座等)がキチンと用意されたスクールや、テキストだけでなく図面作成のための講義映像等も見られるような通信講座を選んだ方が良いでしょう。
ちなみに私は、1次試験1回受験、2次試験3回目で合格でした。
1次試験、2次試験ともに学校へは通っておらず、受験対策がわからなかったのですが、
2次試験3回目はあとがなく、試験対策の学校へ通学しました。
おわりに
インテリアコーディネーターの資格・難易度・合格率についての情報はいかがでしたか?「思っていたより、結構難しそう…」と感じられた人も居るかもしれませんね。でもインテリアコーディネーターは、そもそも「誰かが生活を送る部屋を任されて作り上げる」という重大な責任を負う職業です。自分ではない誰かが「快適に、安全に暮らせる部屋」を作るには、センスだけでなく多量な知識が必要とされます。「インテリアが好きで得意というだけでなく、きちんと知識を持ったインテリアの専門家」となるためにも、資格取得は重要なんです。
インテリアコーディネーターの資格は合格率20%~25%という難関である分、取得をすれば業界での信頼度も大きく変わってきます。将来的にインテリアコーディネーターを目指したい、インテリアに関わる仕事がしたいという場合には、早めに受験対策をスタートしておきましょう。
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