インテリアコーディネーターの仕事内容って?就職先は?よくある疑問に答えます

雑誌やテレビ等でもたびたび登場するようになった「インテリアコーディネーター」。名前のとおりインテリアに関連する職業なのですが、実際にどんな仕事をしているのか?どんな就職先で働いているのかといった点については「よく知らない」という方がほとんどですよね。

また「インテリアに興味がある」という方の中には、「インテリアコーディネーターを目指したいけど、どうやってインテリアコーディネーターになるの?」「自分はインテリアコーディネーターに向いてる?」「インテリアコーディネーターの仕事って大変?」と迷っている方も多いようです。

今回はインテリアコーディネーターの仕事の内容や活躍の場である就職先等について、詳しくご紹介していきたいと思います。


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インテリアコーディネーターってどんな仕事をしているの?

インテリアコーディネーターの仕事内容をごくカンタンにまとめれば、「インテリアをトータルプロデュースする仕事」ということになります。でもちょっとこれだけだと、わかりづらいですよね。

もう少し詳しく言うと、家具類だけでなくカーテン等のファブリック類・照明器具・壁紙等に至るまで、お部屋の中の様々なエレメントをお客様のご要望に合わせてセレクトする仕事です。お部屋を作る仕事」ではあるのですが、家具や壁紙といったエレメントそのものを作っているというわけではありません。インテリア関連の仕事には様々な種類がありますが、インテリアコーディネーターは「エレメントを選び出し、提案する」のが主な仕事なんです。

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ファッション業界で言えば、「スタイリスト」に近いのではないでしょうか?アパレルの場合、洋服そのものやアクセサリー、バッグ等をデザインして作っているのはデザイナーやパタンナー(メーカー・ブランド)ですよね。ファッションスタイリストさん達は、雑誌やテレビに出てくるモデル・タレントさん等が身につける洋服や小物・靴等を様々な商品から選び抜いて組み合わせ、新しいスタイルとして提案しています。

これと同じで、インテリアコーディネーターはお客様が「こんな風に暮らせたらいいな」「こんな空間にしたいな」と漠然と考えているご要望を伺って、多様なエレメントの中からベストな組み合わせをチョイスし、総合的なご提案をしていきます。個人個人で異なるライフスタイルに合った空間を作る、「空間作りの専門家」といった存在なんです。

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インテリアコーディネーターってどんな場所で活躍しているの?

「インテリアコーディネーター=部屋を作る仕事」というと、個人の住宅を思い浮かべる人が多いと思います。確かに、各ご家庭のお部屋を作る仕事をしているインテリアコーディネーターは多いです。でもそれだけではありません!インテリアコーディネーターは、あなたの周りの様々な場所で活躍しているんですよ。

・カフェ、レストラン、バー等の飲食系店舗
・美容院、ネイルサロン、エステサロン
・雑貨店・アパレルショップ等の小売販売系店舗
・オフィス(ワーキングスペース、休憩スペース等)
・歯科医・小児科医等のクリニック・医療機関
・ホテル・ペンション(ロビー、客室等)
・家具メーカー等のショールーム
・マンション・住宅販売のモデルルーム
・デパート・ショッピングモール等の商品展示
・インテリアショップの商品展示、空間プロデュース 等

例えばあなたがいつも髪を切っているヘアサロンや、お気に入りのカフェ。
歯医者さんの待合室や、オフィスの受付。
ふと目を止めてしまうようなインテリアショップの展示…。
「このお店、かわいい」「ここに居るとなんだか落ち着く」と感じるスペースがあったら、それはプロのインテリアコーディネーターが作り出した空間かもしれません。

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インテリアコーディネーターの仕事の流れはどんなもの?

様々な場所で活躍しているインテリアコーディネーター。では今度は、その仕事の実際の流れを見てみましょう。今回は個人住宅の場合のお仕事の流れについてご紹介してみます。

ヒアリング(ご相談)

まずはお客様とじっくりとお話をして、お客様のご要望を聞き出していきます。「快適な部屋で暮らしたい」「せっかくプロに依頼をするのだから、オシャレな部屋を作りたい」と思うのは、誰もが同じ。でも人によって「どんな部屋を『オシャレ』と感じるか」「どんな部屋が快適なのか」というのは違いますよね。

例えば二人暮らしのご夫婦で「週末は家でゆっくり趣味の映画を見ながら寛ぐことが多い」というご家庭もあれば、お子さんのいる四人家族で「週末はアウトドアに出かけることが多い」という方も居るでしょう。これだけでも、お部屋作りのポイントは大きく変わってきます。

テレビの前で寛ぐ時間を重視した落ち着いた部屋作りにするか、小さなお子さんがいてもサッと片付けられるような機能性の高いお部屋を作るか… お客様ひとりひとりで違う「価値観」や「暮らしの中での優先度」等を様々な角度から伺いながら、お客様のニーズを絞り込んでいくことが大切なんです。

【ヒアリングでの聞き取りポイント】
・家族構成
・ライフスタイル
・生活サイクル
・趣味
・価値観  等

ご相談を始められた当初の段階では、お客様側はニーズを絞り込めていない曖昧な状態です。アバウトな状態のニーズをいかに絞り込めるかどうかで、お客様の満足度も変わってきます。

プランニング(計画立案)

十分にお客様のお話をヒアリングしたら、その内容を元にインテリア計画を立案していきます。絵・写真・サンプル素材等を使いながらイメージプランボードを作成し、家具イメージ・照明イメージ・壁紙・カラー配色等を固めていきます。

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エレメント選択

イメージがしっかり固まったら、実際のエレメント(インテリアを構成するアイテム)を選んでいきます。エレメントは家具やカーテン等だけでなく、家電や小物等に至るまで様々。各メーカーから膨大なアイテムが販売されていますから、その中でベストなデザイン・カラーリング・素材のものを選び出し、具体的にリストアップしていきます。

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プレゼンテーション(お客様への計画提案)

選びだしたリストを元に、お客様へのご提案(プレゼン)を行います。プレゼンではカタログ等の資料や図面・サンプル等を使いますが、最近ではパソコンのCAD等の3Dモデルを使う方も多いです。より視覚イメージを具体的に伝えられる方が、お客様にご納得いただける結果になります。

お見積り(予算提案)

プレゼンでお見せした商品リストのお見積書を作成し、お客様に提出します。プランニングの段階で予算の上限指定があり、その範囲内で計画立案をこなすケースもあります。

発注

お客様のOKをいただき契約をしたら、実際にエレメントの購入(発注)を行います。発注・購入前にお客様をショールーム・モデルルーム等にお連れして、壁紙や照明等の現物をチェックしていただくケースもあります。

セッティング(納入立会)

全てのエレメントの納入に立会い、商品が無事に到着しているか、内容に問題が無いかといった確認をします。エレメントによっては業者による室内運搬・設置といったサービスが無い場合もあるため、この時には運搬・セッティングもコーディネーターが行います。机上のデザインをするだけでなく実際のインテリア作りも行うので、意外と肉体労働です。

確認

セッティングしたエレメントに問題がないか、プランニング通りの動線が確保できているかといった最終チェックを行います。場合によっては、家電等の製品使用説明を行う時もあります。お客様が実際にお部屋での暮らしを始める最終段階までをお手伝いするのがインテリアコーディネーターの仕事というわけですね。

インテリアコーディネーターになるには?就職先はどこになるの?

インテリアコーディネーターのなり方は様々

インテリアコーディネーターは「弁護士」「看護師」といった職業とは違って、絶対に必須となる資格はありません。そのため各インテリアコーディネーターの経歴も、意外とまちまちだったりするんです。デザイン事務所に就職して経験を積み、インテリアコーディネーターとして独立をするケースもあれば、未経験からインテリア業界に入り、コーディネーターとして活躍されている方も居ます。

ただ一般的には、大学の建築科・デザイン科・専門学校等でインテリア・建築・デザインについての専門知識を学んで、住宅関連・家具関連等の企業に就職し、そこで知識・経験を積んでいく方が多い傾向にあります。

また最近では、民間資格である「社団法人インテリア産業協会/インテリアコーディネーター」という資格を取得して、未経験からインテリア業界への就職のきっかけとされる方も増えているようです。この資格は民間資格ではありますが、合格率20%前後という難関資格。そのため専門知識・技術を持つ証として、資格を取得しているコーディネーターも多いです。

インテリアコーディネーターの就職先は?

日本ではインテリアについての意識が年々高まっており、インテリアコーディネーターの需要も増えています。インテリアコーディネーターの就職先の選択肢も幅が広まってきました。

【住宅関連】
・ハウスメーカー
・建築会社
・リフォーム関連企業
・設計事務所
・デザイン事務所
・不動産関連企業 等
【家具・インテリアエレメント関連】
・家具メーカー
・照明器具メーカー
・家電メーカー
・壁紙(クロス)メーカー
・家具輸入業者
・食器・テーブルウエア関連メーカー
・ガーデニング関連メーカー 等
【販売関連】
・百貨店、ショッピングビル
・雑貨店
・インテリアショップ
・ホームセンター
・雑貨店 等
【インテリア関連以外】
・出版・書籍関連企業
・テレビ制作
・介護・福祉関連企業
・美容関連企業 等

この他前述したように、インテリア関連企業で経験を積んでから、独立してフリーのインテリアコーディネーターとして活躍している人も大勢居ます。よく「インテリアコーディネーターの収入は?」と訊かれるのですが、勤務先がまちまちなので、収入にも幅がある…というところ。

企業に就職された場合には会社員の扱いになりますし、中にはフリーで海外からも依頼を受けるような大きな仕事をされている方も居ます。会社員の場合だと、会社の規模・経験等によっても給与は変わってきますね。


インテリアコーディネーターに向いてる人ってどんな人?

幅広い知識を学ぶ意欲・好奇心がある人

インテリアコーディネーターは「空間全体」をコーディネートするお仕事です。照明や壁紙、家電に至るまで様々な商品に対する知識が必要とされますし、建築関連の専門知識が問われることもあります。カラー配色について等のデザイン知識も必要です。

またお客様のご要望に細かく沿えるように、一見するとインテリアとは関連が無いように見える分野のことを学ぶ機会もあります。インテリアコーディネーターというと華やかな職業に見えますが、地道に学んだり調べたりする意欲が意外と必要とされるんです。

お客様・取引先とのコミュニケーション力

何より重要なのは、お客様(施主様)の要望をしっかりと引き出せるコミュニケーション力です。インテリアコーディネーターは、自分が作りたい部屋を勝手にデザインする仕事ではありません。お客様が本当に求めている部屋がどんなものなのかを絞り込むために、何度も打ち合わせを重ねていくこともあります。「自分がうまく喋る」というよりも、「相手からの話を上手に聞き出せる会話能力」が問われる仕事です。

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また部屋作りは、インテリアコーディネーターがひとりで行うものではありません。各製品のメーカーさん、現場の業者さん等との連携も重要になります。取引先との連携を密にできるコミュニケーション力も必要とされるわけです。

日によっては、勤務の全てがお客様や取引先との打ち合わせで終わる…なんてことも。アーティスティックなセンスだけでなく、社会人としての営業力・常識力等が問われる職務と考えた方が良いでしょう。

おわりに

インテリアコーディネーターの仕事内容・就職先等についてのご紹介はいかがでしたか?「思っていたのと意外と違ったかも…」「意外と大変そうかも」という人もいるかもしれませんね。でもインテリアコーディネーターは、とてもやりがいのある仕事です。

同じ部屋・同じ店を作ることは二度とありませんから、気分はいつも新鮮。そしてお客様のニーズをうまく引き出せ、出来上がった部屋を見て喜ばれる顔を見た時、どんなコーディネーターも「やった!」という大きな達成感を得ているはずです。

お客様の「幸せな暮らし」を作るお手伝いをするインテリアコーディネーター。日本でのインテリアへの興味関心が高まる中で、その活躍の場は更に広がっていくことでしょう。

プロフィール

小島真子

笑顔があふれる空間づくり

事務所ラフスタイル代表 ( http://www.laugh-style.jp )
法人ではサロン・オフィス・社員寮・ホテル等のコーディネートを中心にコーディネート及びイベント用スタイリング設営、個人では、引越し時のレイアウト相談、新築・リフォーム時のインテリアコーディネート業をはじめ、他、セミナー講師、執筆活動、コンサルティング、企画やメディア協力等でも幅広く活動中。

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