築100年「谷六のレントハウス〈リノベーション〉」‐1‐プロローグ
2016年6月10日
築100年「谷六のレントハウス〈リノベーション〉」‐1‐プロローグ
「住之江の元長屋」は『大改造!!劇的ビフォーアフター』で私が担当したフルリノベーションだ。
スタジオ収録の際、MCの所ジョージさんは「これは、今までで一番ひどいねエ」と言った。
「谷六のレントハウス」はその比ではない。
これを書いている間に、本当に屋根が落ちてしまう可能性が十分にあるくらい、と言えば伝わるだろうか。
地下鉄、谷町六丁目駅と松屋町駅に挟まれたエリアは、空襲の火災を逃れた長屋が多く残る。
路地を入るとこの建物はあるが、道路の最も狭いところは約1.5mしかない。
おそらく建て替えは難しいだろう。
築44年、築76年など、色々なリノベーションをしてきたが、やはり築100年を超えると状況が違ってくる。
「住之江の元長屋」もそうだったが、無理な屋根の架け替えで、雨漏りが常態化していた。
それによって、1階まで腐食によって穴があく。
2階の屋根を支える柱は、白アリに喰われ、かなり下がっている。
初めて2階の床を踏んだ時、正直危険を感じた。
床がもうふにゃふにゃと柔らかいのだ。
建具のしなりが、屋根の下がり具合を如実に物語る。
オーナーは海外で働いていた期間が長く、英語も堪能だ。是非、海外の人にも、古き良き日本の雰囲気を体験して貰いたいと思っている。
現状が現状だけに、現場は特に大変だが、それだけ完成の喜びは大きいはずだ。
大変な仕事が集まってくるのは、プロ冥利に尽きるのだ。
文責:守谷 昌紀
■『住まいの設計07・08月号』5月21日発売に「松虫の長屋」掲載■
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
株式会社一級建築士事務所アトリエm
夢は必ず実現する、してみせる。
一級建築士 守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...