趣味を仕事にする‐1438‐
2017年12月12日
趣味を仕事にする‐1438‐
芸術家・岡本太郎は「私は趣味などという卑劣なものをもたない」と言いました。
さすがは岡本太郎、といったところです。
私の趣味は釣り。
岡本太郎の域には達していないことになりますが、1年のうちの10日間、湖上に浮いている時間はやはり幸せです。
妻に「休めそうなので釣りに行こうかと思うと」と言うと、「この寒いのに?」と。
確かに、明け方は氷点下。山頂部には冠雪も見えていました。
しかし、好きや趣味に寒さは関係ないのです。
奈良県下北山村にある池原ダムに魅せられて20年強。
1988年、村が中心となりブラックバスを観光資源として放流しました。
美しい大自然と共に、村が釣り客を歓迎してくれるのも、ここに通う理由です。
放流されたのがフロリダバスという種で、 日本でも最大級の魚が釣れることでも知られます。
そのひとつの基準が60cmオーバー。通称、ロクマルです。
水面まで上がってきた時、久し振りに「超えたか?」と思いました。
が、測ってみると57cm、2kg。
残念ながら60(ロクマル)には届きませんでした。
春、夏、秋に比べ、数が釣れない冬は基本大物狙い。
若干濁りがあったこの日は、特大を狙って20cm以上ある巨大スプーン(ルアーの種類)でスタートしました。
水温は低いものの、新鮮な水が流れ込んでくるエリアにいる、体力のある個体を狙いました。ここまで読みが当たるとまさに爽快。
湖で食事をしていた時、スプーンを水中に落としてしまい、それに魚が食いついてきたのがその名の由来です。
ルアーフィッシィングの始まりともいわれ、その後スポーツフィッシングとして、欧米で社会に浸透していきました。
バスフィッシングにはプロの試合があり、それらに参加するのがバスプロです。
サッカーにJ1、J2があるように、バスプロの世界にもクラスがあり、最上位のカテゴリーをTOP50と呼びます。
昨年まで、このカテゴリーで活躍していた北山睦プロと、昼食が一緒になり、その世界での話を聞かせてもらいました。
ちなみに、2015年に長男へルアーをプレゼントしてくれた山岡計文プロは下北山村の出身で、今年は年間3位の活躍。まさにトッププロとなりました。
北山プロはTOP50の権利を持ちながら、諸事情で一旦撤退したそうですが、その話がとても面白かったのです。
トップカテゴリーに参加するのにはいくらの費用がかかる、1位の賞金は数百万円で、6位は微々たるもの。
また「この時期ならどの場所で、どんな深さを、どんなルアーで、どのようなコースを通すかで釣果は変わってくる。釣れる人と釣れない人の差があるとすればそれくらい」と。
帰り際も、更に釣りの話を聞かせてくれました。
トッププロだけあって、極めて論理的。聞いているだけで釣りが上手くなる気がします。
この閑散期にやってきた甲斐がありました。
年末年始もここで過ごすそうで、本当に釣りが好きなのだと分かります。
サッカー少年がJリーガーになるように、好きが仕事になるのは理想的です。しかし、その道が楽であるはずがありません。
スポーツとはそもそもが遊びや娯楽なので、行為自体に楽しみがあります。娯楽を仕事にする訳なので、もちろん競争は激しいものになります。
また、それ自体に生産性がある訳ではないので、この大量消費社会、高度情報化社会であるからこそ、職業たりえるのです。
「職業に貴賎なし」が大原則なので、軽んじるつもりは全くありませんが、はっきり言えば無くなったからと言って、生死に直接の影響はありません。
若者が車を持たないなど、バスフィッシングも2000年あたりをピークに、どちらかといえば衰退傾向です。
北山プロにしても、山岡プロにしても、そのあたりを分かっているので、裾野のファンを大切にするのです。
大相撲の問題をみると、全く反対の印象を受けます。
私の年代で、相撲ファンを見つけるのは相当に困難です。あまりにも低い道徳観と、世間とのギャップをみると、怒りに近いものを感じます。
国鉄や郵便の民営化よろしく、国技という冠を外して欲しいとさえ思うのです。
この類の話しを長男にしたとき、「建築家がいなくなっても、誰も死なないじゃない」といわれました。
全くその通りです。だからこそ、違いを求める人達に選んで貰えるよう、仕事に打ち込むしかないのです。
私の釣り自慢から少し話がそれました。
元監督の野村克也は、タニマチの存在が一時、阪神の選手を駄目にしていたと言っていました。
タニマチは相撲用語。甘やかす、は全ての巨悪の根源なのです。
相撲協会は、勇気をもって極めて厳しい判断をしてもらいたいと思います。
でなければ、未来はないというところまで来ていると思うのです。
◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
株式会社一級建築士事務所アトリエm
夢は必ず実現する、してみせる。
一級建築士 守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...