蹴上インクラインでレンガ積みの粋をみる‐1465‐
2018年3月20日
蹴上インクラインでレンガ積みの粋をみる‐1465‐
毎年この時期、ウェスティン都ホテル京都を訪れます。
盛和塾の勉強会があるからですが、これだけの天気に恵まれたのは初めてです。
手帳をみると、日曜日には「彼岸」の文字が。
火曜日の三条蹴上は24℃まで気温が上がり、 まるで初夏の陽気でした。
ホテルの前には、蹴上発電所があります。
琵琶湖疎水を使って発電するものですが、明治24年(1891年)から現在に至るまで現役だそうです。
三条通りを挟んで、向かいには蹴上インクラインがあります。
インクラインは琵琶湖疎水を使って行き来する船を運ぶもので、橋の上に現在もレールが残っています。
台車の上に船を乗せ、その上に人や荷物載せて運んだのです。
インクライン下のトンネルをくぐると、南禅寺へ抜ける小路があります。
5分程歩けば南禅寺。
日本三大三門に数えられる、南禅寺三門。
空、無相、無作の三解脱門を略したものと南禅寺のwebサイトにありました。
境内は苔むしており、雰囲気があります。
そんな中に突然現れる水路閣。
この上を琵琶湖疎水が流れています。
修学旅行生や、インスタグラマーが様々なアングルで写真を撮っていました。
私も今更ながらインスタグラムへ写真を上げ始めました。彼らの随分と後輩になるわけです。
行きには気付かなかったのですが、インクライン下のレンガ積みが、素晴らしく美しいものでした。
螺旋状にひねられているのが見れるでしょうか。
「ねじりまんぽ」というそうです。
上を、船を積んだ台車が通るので、その重さに耐えられるよう、こういった積み方をしたようです。
アーチとは、組積造の建造物に開口部を設けるため考えられたものです。
それをより立体的に連続させたこの積み方が、より強度を上げることは、見た感じからも伝わってきます。
「凄い」という感じです。
architect(建築家)の語源は、ラテン語のarchitekton(アーキテクトン)だと言われます。
「arche」と「teckton」からなる言葉ですが、更に二説に分かれます。
①「arche」 はアリストテレスの説いたアルケー「原理」を差す。
「teckton」はテクニック等も同じ語源で、「長けた」などの意味。
よって「原理を熟知したもの」という説。
②「arche」 は窓や開口をつくる為に生まれたアーチを差し、転じて芸術を差すようになった。
「teckton」は「熟練した、一番」などの意味。
そこから「一番目の芸術」を意味するという説。
大学時代に、ゼミの先生から教えて貰ったのですが、どちらも重い言葉ですし、身が引き締まる気がします。
しかし、どんな難しい問題でも、原理原則と向かい合えば、答えが導き出せるとも解釈できます。
盛和塾の塾長、京セラ名誉会長の稲盛和夫さんは、「儲かる、儲からないでなく、人として正しい行いかどうかで、経営判断をしなさい」と言います。
「それで利益がでればいいが、商売とはそんな甘いものではない」という声も聞こえてきます。
しかし、一代で京セラを1兆円企業にまで育てた結果が、全てを示していると言えそうです。
レンガ=brickは、ヨーロッパでは最も安価な素材です。そこから生れる原理原則に基づく美しさ。
物創りには、こんな可能性があるので、この仕事を選んだのだと思うのです。
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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
株式会社一級建築士事務所アトリエm
夢は必ず実現する、してみせる。
一級建築士 守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...