切られた家型は地域に開かれた"居所"
この住宅をつくる事になったのには布石がありまして、以前、建主は別の敷地を検討していましたが、その敷地がユニークで、50平米の小さな土地と、20平米のさらに小さな土地が、鉄塔がある立ち入り禁止用地を挟んでセットで売られているというものでした。購入するには至りませんでしたが、そこで検討していた"分棟"案が、建主と我々の頭の中に"幻の家"としてインプットされたようです。 夫婦と小さなワンちゃん、そして小さな車2台のための住宅です。井の頭公園の近くにある敷地は、北側に隣家の大きな庭、南側に袋小路状の私道、西側に昔ながらの土の道路(現在はアスファルト舗装が施された。)があり、そのおかげで、敷地の大きさに対して空が異様に大きいのが印象的でした。 そんな恵まれた環境の中で、あまり閉じこもる事なく、"この場所で暮らす"ことを念頭に置いて色々と検討していましたが、時折"幻の家"がちらつき、とうとう、 1つの敷地なのに分棟にしてしまったのです。ただ、その事で生まれた中央の大きな"更地"には、前述したこの土地の魅力がしっかりと残されていました。 この"更地"に、内外問わず 居たい場所を囲い込むように、タテ・ヨコに板を架けていきます。外からの視線も考慮しつつ。薄い板なので、その向こうとこちらとがとても近く感じられ、また、隙間がたくさん出来ます。その隙間を通して、通りすがりの人々も、空や隣家の庭にある大きなケヤキを垣間見る事が出来ます。この"更地"が、何となく公共の場のようになってきました。なので、明るく清潔感のある空間にしようと、白いモザイクタイルを内外区別なく貼り込みました。一方、両側に建つ棟は、周囲との距離感を調整すべく幅が決められ、小さい方は僅か1mです。家型のアウトラインは、家並み(=法規制を顕在化している、とも言えます。)に馴染んでいます。 "幻の家"では、真ん中の(鉄塔の)空間はまさに"幻"の存在だったわけですが、今回、その"幻"の空間は自分達のものになりました。そればかりか、通りすがりの人達とも、この場所を共有出来そうです。オープンハウスの日、そして引越の日にも、ふらっと入ってくる人がいました。完成して半年後、ずっとこの地域で憩いの存在であったケヤキが、アパート建設のために伐り倒されていました。これからは、この"隙間"がそんな存在になれば良いなと思います。
作品名 | SEPA |
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ジャンル | |
所在地 | 東京都三鷹市 |
基礎 | ベタ基礎 |
外壁 | ガルバリウム鋼板 |
屋根の形 | 切妻+フラット |
壁 | ラワン |
床 | ラワン、バーチ |
構造 | 木造 |
敷地面積 | 81.37m2 |
延床面積 | 105.54m2 |
所在地 | 東京都三鷹市 |
ロケーション | 住宅街 |
写真の撮影者 | 平井 広行 |
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