日頃住宅の設計を手がける中で、数年前より薪ストーブを設けたいという建て主さんが多くなってきたように思います。

背景としては、エコロジーへの関心や、家での暮らしに癒しや豊かな時間を与えてくれると共に、見た目にも暖かな雰囲気を醸し出すことによるものと思います。

空気を汚したり乱したりせずに暖気が放射される薪ストーブは、不快な温風を感じることがない暖房であるだけでなく、世間の喧騒を忘れさせてくれる時を与えてくれるものです。
また電気が不要なので、停電や災害時にも暖が取れ、調理や夜の明かりにもなるエネルギー源ともなるものです。

コロナ以前からニーズが高まった薪ストーブのある暮らしですが、ニューノーマル時代といわれる今日の住まいにおいては、更にニーズが高まると同時に、お勧めができるものと考えています。
以下に、近年手がけた住宅の中から、薪ストーブを設置した事例をご紹介します。







↑上の3枚の写真は、カントリー調のインテリアを希望された建て主さんの家(烏山の家)の薪ストーブです。
雁行するリビングとダイニングの中間、吹き抜けの下部に設けたものです。
上階の寝室やワークスペース、子供部屋からこの吹き抜けを介して薪ストーブの暖気が伝わる住まいです。

↓下の2枚の写真は、ダイニングとは独立したリビングルームがある住宅(府中の家)に設けた薪ストーブです。





↓下の2枚の写真は、ワンルーム形式のリビングダイニングの中に、室内階段を背にする形で設けた家(大泉学園の家)の薪ストーブです。
薪ストーブを設けた吹き抜けのあるリビングを家の中心とした住宅です。
上階のたたみの間やワークスペース、寝室からこの吹き抜けを介して薪ストーブの暖気が伝わる住まいです。



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<ワークスペース事例3-宮坂の家>
キッチン脇の通路を広めにしてデスクカウンターを設けたワークスペースです。



大きな特徴はカウンター脇に設けた書類棚です。
一般的には使い勝手の悪い階段下のスペースですが、階段の形状に合わせた大型の収納ボックスを格納して、引き出すと収納ボックスの両側面を書類棚として利用ができます。
3方向から使用するキャスター付の大型ボックスを製作し、階段下をフルに活用するようにしたものです。





リビングやダイニングとは仕切りはありませんが、少し奥まった位置とすることで独立性を持たせたワークスペースです。
廊下と機能を兼用させた最も「省スペースのワークスペース」といえます。

「宮坂の家」の掲載ページは以下をご覧ください
https://www.atelier-n.com/works/miyasaka/


今回、住まいにおける「ワークスペース」をこれまで手がけた住宅からピックアップ、整理をしてみました。
家ごとにその位置や形態が大きく異なるものであることにあらためて気づくとともに、今日求められている「新しい生活スタイル(ニューノーマル時代)」におけるワークスペースのあり方を考えさせられるものでした。 (続きを読む)

<ワークスペース事例2-烏山の家>
階段の上部、2階の踊り場脇に設けたワークスペースです。







リビングやダイニングとは独立した場所である一方で、ダイニング上部の明るい吹き抜けに面し、家の中の気配が感じられる場所に設けたものです。
窓は外の木々を望む北側に設け、柔らかな安定した光が入るデスクコーナーです。
また、L型のカウンター後方には全面書棚を併設しました。

家族が集まる諸室との関係性としては最も「独立性が高いワークスペース」で、ニューノーマル時代におけるワークスペースのプロトタイプのひとつと言えると思います。

「烏山の家」の掲載ページは以下をご覧ください
https://www.atelier-n.com/works/sfj/ (続きを読む)

住まいの「ワークスペース」についてです。

私がこれまで手がけた住宅では、大半の家に家族共用のデスクコーナーをはじめ、ご主人の為の書斎や家事用のデスクカウンターであったりと、何らかの形でパソコンや読書などの為のスペースを設けてきました。

しかし、今回の新型コロナにより自宅で仕事をする人が増え、新しいライフスタイルとして、これらを設ける位置や作業環境に対するニーズはこれまでと少し変わってきています。
主な要因としては、オンラインでの会議や授業などに対応できるよう、家族が集まる場所とは異なる場所にする必要が生じた事によるものです。

そこで、いわゆる個室として独立した書斎を設ける場合は別として、リビングやダイニング内に設けるデスクコーナーではなく、より今日的なニーズに近いもの、ニューノーマル時代のプロトタイプと思われる家の中のワークスペースを3事例ご紹介させて頂きます。

家によって、ご家族の仕事も作業内容も異なりますし、ワークスペースの使い方、使用頻度はそれぞれ異なるものです。
また、世代、家族構成、お子さんの年齢、生活スタイルも人それぞれ異なりますので、正解というものはありませんが、設置パターン(位置・形態)が異なる事例として大別できるものかと思います。


<ワークスペース事例1-関町北の家>
リビング脇に面する形でワークスペースを設けた事例です。







広さは3.2帖、カウンター長は2.6m。
このワークスペースはデスク+椅子ではなく、たたみの間の掘りごたつ形式のデスクとしたものです。
リビングとは引き戸で仕切ることができ、仕事や読書の場としてだけでなく、時には昼寝をしたり、洗濯物を畳んだりとさまざまな用途に使うことができる多目的室です。
腰掛ける畳の下は全て収納庫としたのもこのワークスペースの特徴です。



タイプとしては「リビングの付属室」と位置づけができるパターンのワークスペースです。

「関町北の家」の掲載ページは以下をご覧ください
https://www.atelier-n.com/works/skk/ (続きを読む)

新しいライフスタイルの模索が続く今日、住まいにおいては「ワークスペース」や「洗面場」の設け方がひとつの課題となっていますが、もうひとつ生活の場として主要なものとして「アウトドアリビング」というものがあります。

庭やベランダ、バルコニーを室内のリビングのように生活の場のひとつとして楽しむことができるようにするものです。

家の中とは少し違った日常を過ごせるという点が魅力で、食事やお茶をするテラスというだけでなく、お子さんが絵を描いたり、おやつを食べたり、お父さんがビールを飲んだり、くつろいだりといった、普段何気なく行っている行為をアウトドアリビングで行うことで非日常体験やリフレッシュの場とするものです。

私がコロナ以前に手がけた家に、庭に広いウッドデッキを設けた家、中庭形式の家といったアウトドアリビングとしてのスペースを設けた家がありますが、必ずしも広い敷地や大きな家だからこそ可能というものではありません。

写真は、2階のダイニングの南面に内法2.0×2.3m、3帖ほどの小さなルーフテラスを設けた事例です。
(田端に建てた2世帯住宅の2階、子世帯の住まいです)



隣家側を壁として視線が通らないようにして、上部にパーゴラを設けたテラスです。
半屋外的な空間とすることで、落ち着きのあるアウトドアリビングとしたものです。





このお宅は「家族それぞれが趣味を楽しむことができる家」とすることがテーマでしたが、このコロナ禍にあっては、完成した時以上に活用されている家になっていると思います。 (続きを読む)

「明るく風通しの良い家」は、私の事務所に設計のご相談や依頼を頂くほとんどの方が家づくりのご要望のひとつとしてまず最初に挙げられることです。

住宅メーカー等のプランを提示されて
「この窓の設け方で明るさは問題ないでしょうか」
「この吹き抜けは採光上効果的でしょうか」
といったご相談もよくお受けするものです。

明るい室内や自然光を感じる家、空気が淀まない家とするために「窓の設け方」や「吹き抜けの設け方」はもちろん大切なことではありますが、それ以前に
家の断面計画
の観点から、家の構成を考えることがより重要な事だと考えています。



以前からHPにてその手法をご紹介していますが、今回そのページを充実させました。

ご興味のある方はご覧になってみてください↓
https://www.atelier-n.com/style/section/ (続きを読む)

これまでの経験や知識をもとにして、当方のHPに
・機能的・合理的で暮らしやすい家のプラン(間取り)の設計手法
・明るく風通しの良い家の設計手法
に関する文章を掲載しました。
事例の図面や説明図、イラストを交えながら記したものです。

<いいプラン(間取り)づくりの設計ノウハウ>
https://www.atelier-n.com/style/plan/

<明るく風通しの良い家づくりの設計ノウハウ>
https://www.atelier-n.com/style/section/

家づくりの設計にご興味のある方はご覧になってみてください。

中川龍吾/中川龍吾建築設計事務所 (続きを読む)

住まいの間取りは、建て主さんの暮らしに対する考え方により十人十色で、
本来、ひとつとして同じ間取りはあり得ないはずのものです。

とはいっても、住みやすい家には概ね共通する間取りの手法があるように思っています。
そのひとつが「ひとまわりできる家(一巡できる家)」です。 

各種の条件により必ず実現できる手法ではありませんが、
私は、できるだけ家の中を回遊(一巡)する動線を設けた
「ひとまわりできる家」
のプランを検討、提案するようにしています。

「ひとまわり」といっても単に部屋の廻りに廊下を回すものではありません。
また、これは単純に回ることができるということでなく、
家の中に「表動線」と「裏動線」を確保することに最も大きな意味があります。

例えば、玄関から居間に至る経路を「表動線」とします。
これに対し、玄関からウォークインクロゼットを通り、寝室やキッチン、脱衣・洗濯室等
の水廻りを経由して居間に至るといった別の経路を「裏動線」として設けたとします。
このようにすれば、
・来客時には、裏動線を使って入浴や洗濯、洗濯物の取込みや着替え等が、来客に気兼ねをすることなく行える。
・外出前にも帰宅時にも玄関脇にクロゼットがあり、更にこのクロゼットと寝室がつながることにより、就寝前後の着替えもここで行うことができる。
・子供や家族が増えたり、子供が成長した時等の動線の混乱を解消する。
といった、住まいにとって非常に機能的で融通性の高い間取りが可能になります。

ご高齢の方の住まいにあっては、日常の生活の場と寝室や水回りを互いに隣接させると共に、これらの場所への移動が非常に容易な計画とすることが可能にできる手法でもあります。

「ひとまわりできる家」は、上記のような様々な利用形態、家族構成の変化等に対応するためのプランづくりとして、非常に有効な手段のひとつです。

今回、以下のページにこれまで手がけた「ひとまわりできる家(回遊型プラン)」の平面図の実例を掲載しました。
http://www.atelier-n.com/001hitomawari.html

階段を中心にひとまわりする動線計画としたプラン
家の中に2ヶ所の回遊する動線を設けたプラン
8の字型に回遊する動線を設けたプランなど

ご興味があったらご覧になってみてください。

中川龍吾/中川龍吾建築設計事務所 (続きを読む)

煎茶のお茶会

2014年5月26日

昨日は、朝からお茶会に行ってきました。
昨年手がけさせて頂いたお茶室のある家の建て主さんにご招待を頂いたもので、
抹茶ではなく煎茶のお茶会です。

煎茶に関しては、
「熱湯は絶対ダメ」
「できるだけゆっくり時間をかけて」
といったこと位しか知識がない私です。

煎茶のお茶会へ伺うのは初めての経験で、
不作法そのものの私でしたが、
お茶の先生でもある建て主さんに教わりながら、
静かなひとときを過ごし、おいしいお茶を頂いてきました。

場所は護国寺。
ここも初めて訪れる場所でした。

池袋から地下鉄有楽町線で二つ目に護国寺駅はあるのですが、
護国寺の入口前に駅からの出口があるという、
迷いようもない便利な場所でした。

予定の時間よりも少し早めに着いたので境内をひと回りした後、
最初に訪れたのは不昧軒というお茶室です。

敷地内には、宗澄庵、園成庵、艸雷庵・・・といったお茶室がありましたが、
一番趣のある佇まいのお茶室のように感じられた場所です。

仕事柄もあってたまにお茶室を拝見する機会があるのですが、
お茶室は、そこへのアプローチやスケール感、形態等、
家づくりに関わる者としては学ぶものが非常多い建築だと思っています。

















建て主さんには今回、大変貴重な機会を頂きました。 (続きを読む)

6月12日(木)から8月5日(火)に開催されるリビングデザインセンターOZONEのイベントに、
私が手がけた住宅の模型や説明用のパネルを展示することになりました。

新宿パークタワーの3階、OZONEプラザで開催される
What’s 家 ?
~教えてください 理想の住まい~
というイベントです。

登録建築家による家づくりの事例を100点規模で展示する他、
家づくり経験者、登録建築家・工務店、住宅雑誌関係者等、
さまざまな視点を通じての理想の家や考え方を紹介するイベントです。

会期も長く、内容も充実した企画のようで、
連動企画としてセミナーや相談会等もあるものです。

家づくりをお考えの方には参考になることが多いイベントだと思います。

このイベントについて、詳しくは以下のページをご覧になってみてください。
http://www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/1679.html

以上、お知らせでした。

ちなみに↓は、私が出展予定の模型の写真です。



この家の完成写真や内容は以下のページです。
http://www.atelier-n.com/tbt.html (続きを読む)

中川龍吾建築設計事務所

プロフィール

中川龍吾建築設計事務所

自然素材を活かした住宅の設計

戸建住宅や2世帯住宅を中心とした住まいの設計を手掛ける東京都内(練馬区)の建築設計事務所です。 機能的で暮らしやすい快適な家 自然素材を生かした家 住宅密集地でも明るく風通しの良い家 耐久性とメ...

中川龍吾建築設計事務所の事例

  • 市ヶ谷の家(2世帯住宅)

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  • 吉祥寺の家(和テイストの家)

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  • 宮坂の家(天空光の家)

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  • 八雲の家(ヨーロピアンテイストの家)

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  • 西荻の家(アーチ屋根の自然素材住宅)

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  • 善福寺の家(無垢材と自然素材の2世帯住宅)

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  • 大泉の家(ロフトとルーフテラスのある2世帯住宅)

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  • 大泉学園の家(薪ストーブと吹抜けのある自然素材の家)

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  • 富士見台の家(平屋のいえ)

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