震度6弱以上の揺れで倒壊する住宅が全国に1084万棟

震度6弱で倒壊恐れの住宅 全国に1084万棟

家結び.COM

現行の建築基準法では耐震性の安全基準を満たしておらず、震度6弱以上の揺れで倒壊する危険性が高い「既存不適格」の住宅(持ち家)が全国に1084万棟あることが、神戸新聞社の調べで分かった。最も多いのは東京都の77万棟で、兵庫県は7番目に多い45万棟あった。古い住宅の耐震改修工事は進んでおらず、南海トラフ地震など巨大災害の発生が懸念される中、対策が急がれる。(木村信行)

 総務省が5年に1度実施する「住宅・土地統計調査」(2008年版)から集計した。13年版の速報値が7月に公表されたが、調査項目が変更され、耐震性のない住宅の総数は出せなくなった。

 全国にある旧耐震住宅は、全住宅(持ち家)の37%に当たる約1128万棟。このうち、壁の補強▽筋交いの設置▽金具による補強‐など、何らかの耐震工事をしたのは44万棟にとどまっていた。

 東京都の77万棟が最多で、大阪府(67万棟)▽神奈川県(57万棟)▽愛知県(52万棟)‐と続く。いずれも首都直下地震や南海トラフ巨大地震などで震度6以上が予想される地域だった。

 旧耐震住宅の耐震化率は静岡県の8・5%が最大。宮城県(6・8%)▽愛知県(6・2%)‐と続き、兵庫県は4番目の5・8%だった。3%未満の自治体も18道県あった。

 国は全住宅の耐震化率を79%(08年の推計値)と公表。ただ、この中には新耐震基準の住宅も含まれており、改修が必要な旧耐震住宅の耐震化率は全国平均で3・9%だった。

 旧耐震住宅は現在の安全基準を満たしていないが、建築当時は適法だったため「既存不適格」と呼ばれる。約25万棟が全半壊した阪神・淡路大震災で危険性が指摘され、国は1995年12月、耐震改修促進法を施行。2015年に耐震化率90%を目標にしている。

 国土交通省建築指導課は「改修工事は自己負担が大きく、高齢者を中心に耐震化が遅れている。補助制度を周知し、耐震化率の向上に努めたい」としている。

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【「危険」と啓発を】

 木造住宅の耐震化に詳しい木構造建築研究所・田原賢代表の話 「既存不適格」の表現では、住民に本当の危険性が伝わらない。現在の知見で最低ラインの安全基準を満たさない危険な住宅と位置付け、啓発に努めるべきだ。

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 ▽新耐震住宅と旧耐震住宅 1981年6月の建築基準法改正で壁量などの規定が変更され、耐震性に大きな差がある。旧基準は震度5程度の中規模地震、新基準は震度6強~7程度の大地震で倒壊しない設計が必要。

この記事はYahooニュースより転載しています

プロフィール

東恩納 尚縁

将来の夢は孫と一緒に暮らすこと。

孫ができた為、将来は娘夫婦と二世帯住宅の夢を持っています。
「住まい」について考えたコラムを寄稿しています。

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