「宝塚 RC打放しの家」‐9‐家は人となり
2016年2月2日
「宝塚 RC打放しの家」‐9‐家は人となり
2013年の8月に計画がスタートし、ようやく引渡しが終わりました。
なかなか金額が合わない時「工事はいつ始めても良いから金額を合わせて欲しい」と施工会社に伝えました。
そんな荒業まで使い、何とかここまでやってきました。
アプローチは西側から。
そして東の道路下から見上げた外観。
南からの光を受けるため、2階では南東の眺望を得る為、階段は擁壁ぎりぎりに浮いています。
エントランスには、RCのベンチがあります。
1階のダイニング・キッチンにリビングの機能はありません。
それらは、全て2階の「P室」が受け持ちます。
この部屋、ピアノを置く予定で、当初は「音楽室」と呼んでいました。
しかし、左奥に見える扉の中に、小さなピアノ室を設けることになりました。
ご主人から「今、パンダのぬいぐるみが目に入ったので、この部屋を仮に『P室』としておきます」というメールがありました。
以来、この部屋はP室になったのです。
明確な用途がある訳ではなく、空を見たり、星を見たり、時には雨だれを見たり。
その為に深い庇を設けました。
庇の上には、簾が掛けられるように、フックもつけてあります。
「P室」の横に並ぶ部屋は「視聴覚室」。
映画を見たり、音楽を聴いたりする空間です。
「テレビは存在感が強いので、P室に置きたくない」と、明確にイメージを伝えて貰っていました。
坂のある街に家を建てることを決め、コルビジェのファンズワース邸、メキシコのバラガン自邸まで足を運んだクライアント。
半面、ユーモアを忘れない人でもありました。
取り扱い説明の日、お子さんのテンションは上がりっぱなしでした。それを見る夫妻の眼差しが何とも優しい。
宝塚の高台から見下ろすこの景色は、私達からのプレゼントです。
「ダイニングには、花を活けておく小さな棚があればいいなと思うんです」
家は人となり。そんな会話の積み重ねが、家を形作って行きます。
生活が本格的に始まったら、また撮影に来たいと思うのです。
◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
http://www.atelier-m.com/
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
http://atelier-m.com/blog_mm/
アトリエmの現場日記
http://atelier-m.com/blog_mm/mp/
- 前の記事:「美」の構造‐1243‐
- 次の記事:天才の勤勉と孤独‐1244‐
株式会社一級建築士事務所アトリエm
夢は必ず実現する、してみせる。
一級建築士 守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...