1970年のこんにちは‐1252‐

2016年3月3日

1970年のこんにちは‐1252‐


 梅が終わり、桃が咲き始めたら春の足音は更に大きく。

 3月3日、今日は桃の節句です。



 日曜日は、万博公園にも寄りました。

 過去、現在、未来を貫き、吹き上げるエネルギーを表現したのが太陽の塔。上部の顔が「未来」、中央が「現代」を表します。

 この「現代」の顔は、セブンドリーマーズのグループ会社、スーパーレジン工業が、岡本太郎と共同で制作したものです。

 岡本太郎はコンクリートで作ることを希望しましたが、技術的に難しいことが分かりました。

 スーパーレジン工業が協力し、樹脂で作られることになったのです。レジンとは樹脂という意味。

 太陽の塔は、アートと技術の結晶でした。


 開催時、丹下健三設計の大屋根の中に塔はありました。

 しかし、その記憶の無い私には今の姿がしっくりきます。



 公園内に唯一現存するパビリオンは「鉄鋼館」。「EXPO’70パビリオン」として2010年にリニューアルオープンしています。

 設計は、京都文化会館などで知られる前川國男。



 エントランス前には、エキスポタワーのパーツが展示されていました。

 こちらは、メタボリズムの体現者、菊竹清訓の設計です。

 1990年まで、登ることが出来たようで、行っていないことに悔いが残ります。



 「EXPO’70パビリオン」のホワイエは、前川らしい広い階段と、レンガで構成されています。



 当時、館内のスペースシアターでは、音楽と照明によるスペクタクルショーが繰り広げられていたそう。

 この日は、小澤征爾の楽曲が流れていました。



 1970年頃と言えば、サイケ(サイケデリック)ブーム。

 これが当時の最先端ファッションでした。



 館内のデザインも、当時の気分を反映するようリニューアルしたのでしょうか。

 これは前川のデザインではないのは明らかですが。
 
 万博は、芸術家、技術者、建築家、音楽家、そして来場者にとっても、華やかな表現の場だったのです。



 初めての著書を年末に出版するため、執筆も進めています。

 自らの生い立ちに触れる際、1970年に生まれた事は、自分の人生に様々な影響を与えていると感じます。

 70年代の高度経済成長期に幼少時代を過ごし、80年代後半のバブル経済とその破たんを体感。そして90年代に創業と、様々な時代の気分を見てきました。

 1970年と言えば、戦後25年。この歳になり、ようやくその時間軸が理解できるようになりました。

 敗戦後、1964年東京オリンピック、1970年万博と、先人の頑張りのお陰で、豊かな時代を過ごさせて貰っていたのです。

 自分の意思や能力を片輪とするなら、もう片輪は環境、言い換えれば時代の気分です。この両輪がかみ合った時、初めて前に進めます。

 いくらカーレーサーになりたくても、車がなければなれないからです。

 万博のテーマ曲にある「1970年のこんにちは」という歌詞。

 自分の為に時代があるはずもなく、「こんにちは」と私達がお邪魔している。人も時代の産物なのだと思います。

 時代の気分を凍らせたものが建築なら、更に、遣り甲斐と責任を感じるのです。


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株式会社一級建築士事務所アトリエm

プロフィール

株式会社一級建築士事務所アトリエm

夢は必ず実現する、してみせる。

一級建築士  守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...

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