(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園‐7‐空間に奏でるメロディー
2018年2月23日
(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園‐7‐空間に奏でるメロディー
現場へ向かう途中、耳元でガサッと音がして、飛びのきました。
見ると子猫が飛び降りてきたよう。
猫が外に出てくれば、春の足音も多少大きくなってきたということでしょう。
トレジャーキッズたかどの保育園の園児室は、全部で5部屋あります。
1階は「0歳児室」「1歳児室」「2歳児室」の3部屋。
いずれも縁側のような廊下を介して園庭に面しています。
2階は「3、4歳児室」「5歳児室」の2部屋。
これらの間に、広いホールがあります。
それらの仕上げを確定する前に、コンセプトを全て整理してみました。
こちらの園は、エントランスに入ってすぐのところに、500色の色えんぴつが飾られます。
それで、こんなメインコンセプトはどうでしょうかと提案してみました。
『人はひといろじゃない。白木の園で自分色をみつけてください。
たっぷりの太陽を浴びて、立派なげん木に育ってほしい』
外観は、白木を基調とした、明るく、優しい建物に仕上げていくつもりです。
年齢とともに、しっかりした色の木に育っていくという物語を考えました。
園児室も白木を基調としていますが、扉と家具は、その物語に沿った素材をセレクト。場所性を明確にしました。
扉材、家具材、シート材と違ったメーカーから、素材を探し出すのは、なかなか骨が折れるものです。
しかし、こんなところから物語が生まれるのだと考えています。
この部屋は、『もりのひみつきち』。
コンセプトは以下の通りです。
園全体を森とするなら、友達同士が集合する隠れ家のような空間。
全体行動がちょっと苦手な園児くんの遊び場だったり、時にはメソメソしたい園児さんも居るはず。
先生と父兄だって、狭い場所だからこそ話しやすいこともあるかもしれない。
森の中にある、小さな野原をイメージしているので、床も壁も草色とした。
秘密基地らしい物を置いて貰えるとなお良い。
次は、『あおぞらえほんしつ』。
ホールから窓をのぞくと、青い壁が見えます。(壁工事はこれからです)
ここは、トップライトで光を確保している空間なのです。
コンセプトは以下の通り。
階段を上がったホール向きに腰窓があり、そこから内部を垣間見ることができる。
西面の壁のみに、水色のアクセントクロス。
床は、少し濃い青のフロアリュームを。
空を連想させる爽やかな空間に。
青は心を落ち浮かせる色。爽やかな絵本室になると思います。
そして、お遊戯会などでは園児室と繋がり、大空間となるのが『こもれびひろば』です。
5.4m半径の柔らかな曲面壁の上部、ハイサイドウィンドウからは、1階へ落ちるトップライトの光が、ホールにもこぼれてくる。
屋根、壁を透過しての光は、森の木漏れ日に似ている。
その木漏れ日のもと、あそび、語らって貰えたら……
曲面壁の部分のみ、優しく鮮やかな黄緑の壁紙を貼り、「木漏れ日広場」としてみたい。
曲面壁はこれからですが、酸素を供給する緑は、まさに自然の象徴。
人は緑をみると心癒されるのです。
デザインとは、誰かと共有できると信じるからこそ意味があると思っています。
その時に、押しつけすぎず、強引になりすぎないよう心掛けているつもりですが……
空間に私が奏でたメロディーは、園児のみなへ届くのでしょうか。
工事は終盤に入っていきます。
文責:守谷 昌紀
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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
株式会社一級建築士事務所アトリエm
夢は必ず実現する、してみせる。
一級建築士 守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...