住み継ぐ「コンクリート打放し H型プランの平屋」‐5‐プランを上から眺めてみよう
2020年12月4日
住み継ぐ「コンクリート打放し H型プランの平屋」‐5‐プランを上から眺めてみよう
近代建築の三大巨匠のひとり、ル・コルビュジエは「住宅は住むための機械である」と言いました。
住むという機能を満たす機械であるという意味です。
快適に住むための機能は多々ありますが、光と風をいかに取り込むかは、最大の課題と言っても良いでしょう。
旧家であり、敷地が大きなこの計画では、各部屋が全て外部と接するプランを考えました。
東の中庭にある大楠は、あまりにも成長したため、枝を大きく落としました。
そこから新芽がでて、更にそれらが紅葉しています。
若干かわいそうではありますが、あたりがグッと明るくなったのもまた事実なのです。
コンクリート打ち放しの壁式構造は、なかなかに時間が掛かる構造体です。
鉄筋を組み、型枠を起し、その中に配管をし、そしてコンクリート打設。
そこから硬化するまで養生が必要です。
鉄とコンクリートがそれぞれの短所を補いあう、非常に強い素材で、木造や鉄骨でも基礎として使われます。
全てが基礎のようなものですから、強いに決まっているのです。
型枠工事に先駆けて、足場がすでに組まれていました。
結構高かったのですが、上から見下ろしてみました。
右手が南となる、H型プランが良く分かります。
南棟の先には和の庭園が残っています。
こちらはクライアントのご両親が暮らすエリア。
この庭は緩衝帯にもなっているのです。
「機械」という言葉の解釈は色々あります。
「機械的に」という言葉には、淡々と無感情でといったニユアンスが強いでしょうか。
しかし、コルビジュエが言ったのは「目的に向かって真っすぐに」と言ったニュアンスではないかと思っています。
この計画は、方向性がなかなか定まりませんでした。
「2階建て新築」→「前棟リノベーション」→「平屋新築」と実際に3度企画提案をしています。
それぞれ、与えられた条件での中で「目的に向かって真っすぐに」と考えれば、どの提案にも迷いはありませんでした。
ただ、恵まれた敷地条件を最も活かせるのは「平屋新築」だとも思っていましたし、高い足場から見下ろしてそう確信しました。
水は高い所から低い所に流れるように、最後には行くべきところに行くのだと思っています。
建築に、誘導や焦りは禁物なのです。
文責:守谷 昌紀
■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』に「回遊できる家」掲載
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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
株式会社一級建築士事務所アトリエm
夢は必ず実現する、してみせる。
一級建築士 守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...