国立競技場“新聖地”に向けた準備工事本格化!取り壊しを関東建設興業が契約
【“新・聖地”へ準備工本格化】
日本スポーツ振興センター(JSC)は、WTO(世界貿易機関)対象工事として一般競争入札した、国立霞ヶ丘陸上競技場等とりこわし工事2件の施工者を、北工区が18億6000万円(税別)、南工区が16億2500万円(同)で、ともに関東建設興業(埼玉県行田市)に決め、契約した。7月17日に開札、特別重点調査対象となった応札者がそれぞれ無効となり、結果的に北工区で2番札、南工区では3番札だった同社が落札した。今後、周辺住民ら関係者に工事説明などを行った上で、9月にも工事着手する。新国立競技場新営工事の施工者選定に向けた手続きも動き出す中で、2015年秋の“新聖地”建設に向けた準備工事が本格化する。
入札には、北工区に▽フジムラ(本社・江戸川区)=入札額(税別)16億4140万円▽関東建設興業=18億6000万円▽松田都市開発(福岡市)=20億8000万円▽西松建設=21億4000万円--のゼネコン1社、解体業者3社の計4社が応札。参加申請していた前田産業(熊本市)は入札前に辞退した。
一方、南工区には、▽フジムラ=15億4140万円▽関口興業(足立区)=16億4000万円▽関東建設興業=17億2500万円▽大和小田急建設=18億3600万円▽松田都市開発=18億5000万円▽前田産業=18億8800万円▽安藤ハザマ=21億8000万円▽フジタ=23億5000万円▽関東建設工業(群馬県太田市)24億円--のゼネコン3社、解体業者6社の計9社が入札参加した。参加申請していた飛島建設は入札前に辞退した。
両工事は、6月に実施した入札の不落を踏まえて「建築一式工事」に「とび・土工・コンクリート工事」を追加するなど参加資格を拡大、、クオリティーを確保した上で解体業者にも門戸を開いた形で再公告した。この結果、前回ゼネコンの下請けとして参加した解体業者が元請けの立場で入札参加するなど、ゼネコンと解体業者による“受注競争の構図”となった。応札企業数からも解体業者の関心の高さがうかがえる。また、両工事とも同一工種で構成する2、3社JVでの参加も認めていたが、いずれも単体での応札となった。
日刊建設通信新聞社の調べによると、両工事は7月17日に開札した結果、ともに予定価格内での応札だったものの、北工区で1社、南工区で2社が、それぞれ特別重点調査対象となり、対象企業に調査報告書の提出を要請。対象となった南、北両工区で最低札を提示したフジムラと南工区で2番札の関口興業は調査報告書を提出した。JSCでは提出資料をもとに、入札価格の積算内訳、品質確保体制、安全衛生管理体制、建設副産物の搬出計画、施工体制などを調査した結果、両社とも無効とした。
その後、談合情報が寄せられたことから入札手続きを中断し、第3者機関による調査を実施。談合の事実がないと判断して手続きを再開し低入札価格調査を実施した上で、関東建設興業に決定した。
国立競技場の解体は、RC造地下1階地上5階建て延べ約5万1600㎡のうち、北工区が約2万4000㎡、南工区が約2万8000㎡と各外構を取り壊す。北工区には、JSC本部棟(RC造地下2階地上4階建て延べ4500㎡)の解体が含まれている。工期は、ともに15年10月19日まで。工事場所は、東京都新宿区霞ヶ丘町10-1ほか。
北、南工区を一括した同競技場解体の工事監理業務は岡野建築設計事務所、同競技場の解体に伴う記録撮影業務はNHKエンタープライズが担当。解体に伴う国立競技場の壁面移設工事と銅像・銘盤・記念碑移設工事は、村本建設の施工で10月31日まで進める。 一方、新国立競技場新営工事は、スタンドと屋根の2工区に分け、それぞれ実施設計に対する技術協力と施工を一括したWTO対象の公募型プロポーザルの手続きを進めている。10月下旬にも特定、基本協定を締結し、技術協力業務委託契約を結ぶ予定だ。
この記事は建設通信新聞より転載しています
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