おとぎ話の中の建築

2014年6月25日

ザ・ウォール…。






「ローマ時代の人々により造られたかのような壁、
 石の壁に巨大なアーチ、
 ひとつの都市をとり囲んでいたかのような壁。
 しかし、ローマの廃墟とは異なり、
 この壁は時代を経ていながらも、
 現在もまだその建設が続けられている」…。


そして、その壁の前には、
ヴィクトリア時代のロンドンにみられるような、
鋳鉄の、柱や梁…。


この建築にそえられたストーリーでは、
そのような、
古代ローマをイメージした壁や、
ヴィクトリア時代のロンドンをイメージした壁が、
あたかも、
元々そこにあったかのように語られています…。


建築は通常、
出来上がった後に、
さまざまな経緯を経て、はじめて、
何らかの物語が、出来上がってくるものですが、
ここでは、
その物語が先行して語られ、
それが建築になっています…。


いわば、捏造された歴史、という感じのもので、
読んでみると、
正直、なんのこっちゃ、
と思ってしまいます…。


世の中は、バブル景気の真っ只中…。


建築をつくった後に、
物語が出来上がるのを、
悠長に待っていることなんて、出来なかったのかな…。


忙しないことですね…。


ただ、まあ考えてみれば、
テーマパークなんかは、そんな感じのつくりですよね…。


その後、テーマパークを参考にしたような街づくりが、
あちらこちらに出現したのを観てきた後の、今となっては、
建築と、それにまつわるストーリーが、
時間的にひっくりかえってしまうような、一種の倒錯も、
そう不思議なことではないのかもしれませんね…。

話は、以下に続きます...。

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1960年代から70年代にかけて活躍したバンド、ドアーズの、
初期作品のプロデュースを務めたポール・ロスチャイルド...。


彼の、
こんなエピソードを、雑誌で読んだことがあります…。




ポール・ロスチャイルドは、
ドアーズのメンバーに、
当時の流行を反映した、
派手なエフェクトの使用を禁じていたのだそうです…。


それは、こんな理由で...。


「君たちのレコードが20年後にも聴かれているようにするためだ」...。




ポール・ロスチャイルドは、
バンドが持っていた特異な音楽性と、
オーソドックスなブルース・ロックとを融合することを狙い、
その結果として、
初期の名作群をつくりあげる立役者になった、とのことです…。




このアドバイスが、功を奏したのか、
20年どころか、50年近く…。


生まれる前に発表された作品であるにもかかわらず、
私は、今でも、時々、聴いていて、
確かに、あまり飽きることがありません…。


やはり、
「飽きのこないデザイン」というものは、
そのように、「オーソドックス」なものなんだなあ、
と、思ってしまうようなエピソードです…。




私も、日頃、
あまりにも面白すぎるアイデアは、
すぐに飽きてしまう、と感じることが多いため、
この、ポール・ロスチャイルドのアドバイスは、
納得出来るもののように思います…。




というワケで、
「オーソドックス」なものを、つくり続けていれば、大丈夫…。
常に、いいものが出来る…。




ということであれば、
それでもう、何の問題もないのですが、
どうも、そうとばかりは言えないような気もするので、
話がややこしくなってしまいます…。






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貴族のアソビ

2014年6月17日

旺文社ビル…。





と言っても、私が観にいった時には、
すでに、アディダスのビルになっていましたが…。

敷地が細かく分かれていて、
南館と北館の、二棟に分かれてしまったところを、
ガラスの水平ラインを揃えることで、
一体感を持たせています…。

そのガラス面が、
クルッと回転して出来たみたいな庇…。
上から吊り下げられるようにして、浮かんでいます…。

何から何まで、
クール、かつ、スタイリッシュにキマッタ、この建築…。

かなり、費用もかかっていそうな感じでしたが、
昨年、取り壊されてしまったみたいですね…。

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海のピラミッド

2014年6月10日

海のピラミッド…。



小さな町の、小さな港…。
そこに建つ、フェリーターミナル待合室…。

20年以上前、
完成してから、まだ間もない頃に、
観に行きました…。

三角港のランドマーク、
町おこしのシンボルとしてつくられたのだそうで、
「三角という地名から
 三角、円錐、巻き貝などのイメージが喚起され、
 さらに『海のピラミッド』という愛称が
 円錐形という建物形態を決定する要素となった」、
 とのことですが…。

直径34メートル、高さ25メートル…。
コンクリートの円錐の内外に、
逆向きの二重螺旋のスロープが、巡っている…。

言ってみれば、ただそれだけの施設です…。

たった一つの、建築的なアイデアが、
そのまま実現してしまったような感じ…。

確かに、面白かったし、
確かに、キレイでした…。

ただ、当時であっても、
小さな町の、小さな港の待合室に、
よく、こんなのつくったなあ…、
というのは、どうしても感じてしまいました…。

その後、どうなったのかなあ、と思い、
最近、ネットでみてみたら...。

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前の方が...。

2014年5月30日

「異端」とか、「狂気」とか、「鬼才」とか…。

様々な異名付きで語られる、
建築家、渡邊洋治…。

工業学校卒業後、
職工を経て、
ル・コルビュジェの弟子でもある、
建築家、吉阪隆正に師事…。
その後、建築家として独立する、という、
異色の経歴も含めて、
何かと逸話の多い人です…。


そんな渡邊洋治の現存する数少ない建築、
第3スカイビル…。

「軍艦マンション」の通称で知られています…。





総数150個になるという、
錆び止めのシルバーで塗装された、鉄製のユニット…。

その強烈な鉄そのものの質感と、
まさに「軍艦」をモチーフにしたという、
折重なるユニットが際立つ、独特の造形…。

街中に、強烈な違和感、異物感を放っていて、
さすが、あのような数々の異名を持つ、
異色の存在が手掛け建築だけのことはあるなあ、
などと思ってしまいます…。


近頃は、
老朽化などを理由に、
解体の危機ではないか、などといったような話が、
よく出ていましたが、
喜ばしいことに...。

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2回目は難しい

2014年5月27日

『ラスベガス(ラスベガスから学ぶこと)』という本があります…。

書いたのは、
建築家、ロバート・ヴェンチューリという人で、
この人が、この少し前に書いた、
『建築の多様性と対立性』という本とあわせて、
この2冊の本が、
ポストモダニズム建築のきっかけの1つになった、
と言われるような、いわゆる名著です…。

ただ、
『建築の多様性と対立性』の方は、
ちょっとマニア向け、という感じがあるため、
誰にでもオススメ、というワケにはいかない感じがある一方で、
『ラスベガス』の方は、
とてもわかりやすく書かれていて、
建築関係の人でなくとも、結構楽しめるのではないか、
という気がします…。

私は、
もう20年以上前の、学生の頃に、
この『ラスベガス』を、学校の図書館で読んだのですが、
その切れ味鋭い分析と指摘に、
ずいぶんと感心してしまいました…。

ただ、
そのように感心感動しながら読み終わってみて、
よくよく考えてみると、
この本で感動した「鋭い指摘」というのは、
突き詰めてみると、結局のところ、
「なんで建築に飾りをつけたらいけないの?」という、
ただそれだけの、
子供の質問のような感じのものでした…。

こんな子供の質問のようなものが、
何故それほどの衝撃を与えたのか、
ということに関しては、
少し、その背景のようなものの説明が必要かもしれません…。

と言っても、
その背景も、大して難しい話ではありません…。

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http://knakama.seesaa.net/article/397984369.html


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モダン住宅の出発点

2014年5月21日

土浦亀城(つちうらかめき)は、
大学在学中に、
8年ほど先輩にあたる遠藤新に影響されて、
帝国ホテル建設中の現場に行き、
巨匠、フランク・ロイド・ライトと出会います…。

ライトはその後、
ホテルの完成を見ることなく、
事実上解任され、帰国してしまいます…。

残った工事は、
その弟子、遠藤新が引き継ぐことになるわけですが、
土浦亀城もその下で働き、
共にホテルを完成へと導きます…。

そして、大学を卒業すると、
アメリカに渡り、ライトの工房で、
およそ2年数ヶ月、働くことになります…。

帰国した土浦は、
帝国ホテルの工事を行った大倉土木(現大成建設)に入社し、
後に独立します…。

そんな土浦亀城は、
ライトについて、こんなことを語っています…。

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https://www.facebook.com/NakamaKunihiko/posts/707594869299724


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世田ヶ谷区民会館・区役所…。





1959年・60年に出来た、
コンクリート打放しの建築なのですが、
実際に観ると、
かなりボロボロな感じに見えてしまいます…。

設計した前川國男は、元々、
コンクリート打放しに、
素材としての美を感じていたようで、
初期には、
数々の名作を、コンクリート打放しによって、
つくり出していました…。

ただ、やはり、
こうした亀裂や風化、というものに直面し、
もっと時間に耐えうるものにしなければ、
ということを痛感することになります…。

そして、
コンクリートの上に、もう一枚、
何かを着せることが必要と考え、
その後は、
コンクリートの表面をタイルで覆った、
「打込みタイル」というものへと移行していきます…。

これは、
建築の耐久性というものを、真面目に考えた結果であり、
非常に良心的な態度だと思います…。

ただ、
今、無責任に、観に行くだけの感想で言うと、
意見は反対になってしまいます…。

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https://www.facebook.com/NakamaKunihiko/posts/707093839349827 (続きを読む)

和と洋の融合

2014年5月19日

小さな村の社が倒壊寸前となったため、
村の人々の共有地を売却して、建て直そう、
ということになったのだそうです…。

そして、
出来上がったのが、なぜか…。

木造「和風」の本殿の前に、
柱頭の飾りがある列柱と、ヴォールト屋根の、
鉄筋コンクリート造「洋風」の拝殿…。

「和」と「洋」の不思議な融合…。





いくつかの計画案の中から、
村人たちが選んだ、とのことですが、
本当なのかな…。

ただ、
確かに奇想ではありますが…。

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https://www.facebook.com/NakamaKunihiko/posts/706651336060744 (続きを読む)

懐かしい未来

2014年5月17日

SF的な映画やアニメを観ていると、
いつの頃からか、
未来のイメージは、
あまり、計画的な、整然としたものではなくなっていて、
なんとなく、雑然とした、
廃墟のようなイメージに変わっているように思います…。

未来のイメージは、
一周廻って、
過去のイメージに近くなっているみたい…。

歴史というのは、
本当に、円環のように反復するのかなあ、
なんて思ってしまいます…。

もしかしたら、
未来のイメージというものは、
元々、
いくらかの過去を含んでいるのかもしれません…。

今ある現実と、
どこかつながっているからこそ、
それを、未来だと思える、という感じ…。

奥多摩工業の工場…。





これは、
そういった、近未来のイメージに、
ピッタリのような気がします…。

話は、以下に続きます...。
https://www.facebook.com/NakamaKunihiko/posts/705404519518759 (続きを読む)

仲摩邦彦建築設計事務所

プロフィール

仲摩邦彦建築設計事務所

ひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたい、と考えています。

建築は、建築主であるお客様や、様々な条件・環境等の、出会いや組み合わせにより生まれるものであり、それぞれが、その機会でこその個性的なものだと考えています。 「これしかない」と納得できるようなものを...

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