これが私の生きる道‐1486‐
2018年5月30日
くたびれる者は、役に立たざるなり‐1482‐
郊外を走っていると、田植えの季節だとわかります。
温暖で多湿な日本は、放っておくと何かが生えてきます。
雑草の手入れを最小限にするために考えられたのが水田という手法です。
苗床といったか、小さな苗がぎっしりとあります。
植えられてすぐは水面が広く、まるで水盤のようです。
本日、houzzというサイトで「あちこちでお茶できる家」を取り上げてもらいました。
「心地よい暮らしを追求する都市型住宅、大阪の家12選」の中の1軒です。
正直、1番目でなく少しがっかりしていたのですが。
こちらのクライアント、この時期は田植えでとても忙しく、打合せを1ヵ月くらい空けたことを思い出します。
立派な家業があるのですが、代々の兼業農家でもあり、この時期は家族総出なのです。
田植えが始まったということは間もなく梅雨。九州と四国で梅雨入り宣言がありました。
先週金曜日はトレジャーキッズたかどの保育園へ、追加の撮影に行っていました。
鯉のぼりも青空の下、気持ちよさそう。
何とか梅雨までに、一通りの撮影を済ませたかったのです。
「中庭のある無垢な珪藻土の家」は少し雲がありました。
それでも粘って、粘って青空に。
「碧の家」は快晴でした。
晴れると色がさらに映えるのです。
日本人として、利休の唱えた「詫び錆び」の精神を理解しているつもりです。
クライアントに求められなければ、私から原色を使うことはありませんでした。
しかし、色彩に対して吹っ切れたのは、「あちこちでお茶できる家」を設計してからだと思います。
スタート当初「生活には沢山の色があるので、まずは背景としての色使いから考えたほうがよいのでは」と言っていました。
「人は、建築は自由であるべき」と唱えていたにも関わらず、です。
しかし、ご家族の「大好き」や「本気の夢」を私が止める理由など全くありませんでした。一緒に考え、悩み、幸せの景色を創造できたと思っています。
この春に撮影した写真が続々と届いてきます。
それらをまとめ、整理して世間へと発表。そして、自分達の存在意義を問います。
営業にでる訳でなく、誰かに仕事を紹介して貰う訳でなく、ただこのルーティンを延々と繰り返し、オファーを貰い続けてきました。
そう考えれば、奇跡的だなと思うことがないでもありません。
謙虚でありたいと思いますが、意味もなく頭を下げるのは嫌いです。定期的に付き合いがあるから発生する仕事も不要です。
何故なら、本気で求めてくれるクライアントと仕事をしたなら、そのような仕事はとても出来ないからです。
この日記もそうですが、どこかで、誰かの目に触れることを信じて、または夢見て、描き、創り、撮り続けます。
何の担保もありません。しかし、これが私の生きる道だと思っているのです。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「羽曳野の家」放映
■■■『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「羽曳野の家」掲載
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
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くたびれる者は、役に立たざるなり‐1482‐
2018年5月15日
くたびれる者は、役に立たざるなり‐1482‐
昨日は生憎の雨でしたが、土曜日は天気に恵まれました。
上京区の「山本合同事務所」まで撮影に行っていました。
この春、竣工写真の撮影は4件目です。
電線だらけなのが日本の街並み。
その中で、少しでも影が少なく、美しいタイミングで撮影したいのが、設計者というものです。
写真家にも無理をいい、朝の7時半頃から待機していました。
このオフィスは、車が多く停められるよう、1階は最小限の階段と看板があるだけ。
白い箱が浮いているような建物です。
内部は3階から撮影をスタート。
道路と反対の、南に向いた窓から光が回ってきます。
3階は、打合せとリビングを兼ねたような空間で、小さなキッチンとロフトもあります。
それが、南側の吹抜けでワークスペースとつながっています。
道路のある北側は、間接光となるので全面開口としました。
消防法上必要な非常用進入口。
北側の吹抜け上のブリッジで繋がります。
そこに掛けられていた苔玉。クライアントのグリーン好きは私の想像を超えていました。
この日は、昼から日本建築家協会主催の相談会がありました。
観光客で賑わう二条城を横目に一旦中座。
河原町の丸善京都本店へ向かいます。
途中の教会が目に入りました。
時間があれば入ってみたいところですが、おにぎりを食べながら足早に通過します。
夕方に戻ってから、2階の撮影を再開しました。
2つある大きなデスクは、人の流れに合わせてデザインしています。
仕事場なので多くの書類、荷物があります。それらを動かしながらの撮影です。
なかなか大変でしたが、動かすことを許容して貰えるなら、空間が最もよく伝わる風景にしたいのです。
内部撮影終了の後、30分程休憩して夕景の撮影を始めました。
全ての片づけが終わったのは夜の9時頃。正直クタクタでした。
クタクタになった時、「もうこのくらいでいいんじゃないか」と、優しい顔をした悪魔がささやいてきます。
「いやいや、天気もよく、皆のスケジュールが合うこのタイミングは一生に一度。もっと粘り強く」と厳しい顔をした、天使がささやきます。
心の中では押し合い圧し合い続きますが、悪魔と天使なら天使が正しいに決まっているのです。
不幸せの時くたびれる者は、役に立たざるなり
-山本常朝- 江戸時代 武士
山本常朝は『葉隠』に武士の心得を記しました。
日本人で、普通に会話できない人はそういません。人の能力には、それほど差がないのではと私は思っています。
クタクタと不幸を一緒にするのは大げさですが、差がつくなら、そんなタイミングしかないと思っているのです。
ちょっと、風呂敷を広げすぎました。
しかし、写真の仕上がりが楽しみなのです。
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「羽曳野の家」放映
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雑草魂‐1481‐
2018年5月11日
雑草魂‐1481‐
ゴールデンウィーク中は、海と湖のことを書きました。
建築設計が好きでこの仕事に選んだのに、「休みは野外に居たい」というのは、少し矛盾するかもしれません。
自分なりに考えてみると、やはり小学校時代の経験によるのだと思います。
自宅の1kmほど南を流れる大和川。
小学校時の教科書には、「日本で一番汚い川」として紹介されていました。
周辺にはため池も沢山ありました。
簡単ではありませんでしたが、どこの学校にもいる釣り名人に教えて貰ったり、自分で工夫したりで、フナ、コイ、ザリガニ等を獲って遊んだのです。
近くにある、西除川との合流点は、やはり大物が釣れました。
童謡「故郷」にある「水は清き故郷」とは随分趣きが異なりますが、いつも変化する、自分の思い通りにならない野外で、工夫し遊ぶ楽しさを知ったのです。
この時期、土手は青々とし、花もちらほら咲いています。
紫の花はマメ科の花か。
雑草の中のエリートは、誰もが知るシロツメ草。
白と黄の花は、キク科でしょうか。
しかし何と言う名か分かりません。
当時は、土手の北に城東貨物が通っていました。
この土手は、ダンボールのソリで遊ぶにはもってこいの場所でした。
アトリエmは天王寺で設立したのですが、2002年に地元の平野に戻りました。
2003年、弟の家を設計し、その1階に入居しました。
それまでの間は、隣に見える倉庫を仮アトリエとしていました。
まさにバラック。
これは父の会社の倉庫で、無料で借りていたのですから、文句など言えませんが。
会社は大阪の中心地にあるほうがイメージはよいはずです。
それでも、「自分が設計した建築」、「駐車場が前にある」、「自宅が近い」という3つの理由で、この地で頑張ってきたつもりです。
昨年は倉庫の跡地に「R Grey」を設計しました。
弟がオーナーの、アトリエmとしては初めての共同住宅です。
1984年、「投げたらアカン」という言葉が流行語大賞に選ばれました。
座右の銘、「草魂(そうこん)」で知られる近鉄の鈴木啓示投手の言葉です。
現在では考えにくい300勝投手です。
今年ジャイアンツに10年振りに復帰した、上原浩治投手の座右の銘は「雑草魂」。
一浪し、野球の名門とは言えない大体大から、ジャイアンツ、そしてアメリカメジャーリーグでの成功を収めました。
クライアントにとっては、大阪一、日本一、世界一の建築家でいたいと思っているので、雑草魂を語るのは少し違うかもしれません。
しかし、親が医師、家が芦屋の六麓荘、旧帝大に合格した等の友人、知人をみていると私など雑草以外の何物でもありません。
常に変化し、自分の思い通りにならない自然。
その自然の中に、安全で安定した、しかも光と風と笑顔に満ちた空間を創造したいのです。
しかし、現実は問題、課題の連続です。
そこから逃げずに、踏まれても踏まれても立ち上がるしかないのです。まさに「雑草魂」です。
琵琶湖を「マザーレイク」と言いますが、私にとって母なる川は大和川か……
ちょっと様になりませんが、縁あって下町に生まれたので仕方ありません(笑)
勿論、それを卑下するつもりもありません。
京セラ名誉会長の稲盛和夫さんは、「人生は運命という縦糸と、因果応報という横糸が織られ、形作られる」と言いました。
ゴールデンウィークぼけをしている暇など、雑草にはありません。
何があっても、立ち上がり続けるだけなのです。
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「羽曳野の家」放映
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
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築80年、住吉の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐11‐リノベーションに失敗なし
「碧の家」は3月の点検で、現場日記は一区切りとしました。
しかし、4月中旬の撮影で気付いたことが色々ありました。
今回も2回延期でやっとの晴れ空。
クライアントには無理なお願いばかりで……
実は、3月に伺ったあと正面の花が枯れてしまったそうです。
しかし、この日に合わせて再度植えていただきました。今回は根付いてくれると良いのですが。
長屋の場合、必然的に1階の開口が少なくなり、光の取り方に工夫が必要となります。
一番南にあるキッチンは何度か紹介しました。
機能が集中し、1階で一番明るいところです。
最奥の家電置場も何度か紹介しましたが、なかなかの力作です。
トースター台がスライドするだけならともかく、買い替えた時に合わせて、スライド台が上下に位置を動かせます。
監督と各担当者のアイデアに救われることが多々あるのです。
洗面はトップライトから光をとっています。
腰上は、日の光に映える水色のクロスになりました。
壁にあるランプは施主支給。
スイッチも同じくそうですが、焼き物には量産品にない味わいがあります。
そして苦心に苦心を重ねたトイレの窓。
中が透けすぎないガラスを探し、トランプのマークを四隅に張りました。
中からみてもおかしくないよう、接着面も黒、赤となっています。
ここがトランプである理由は、中に入れば分かるしかけです。
不思議の国のアリスにでてくるウサギと、トランプの兵隊をイメージしたものなのです。
2階は更に撮りどころが満載。
写真の仕上がりが楽しみですが、ロフトは自分で撮影してきました。
ヤコブセンデザインのドロップに座れば、南に開けた景色が楽しめます。
その背面には本専用のニッチ。
サン=テグジュペリの「星の王子さま」が立てかけられているのです。
2階バルコニーで干している洗濯物を、急な雨の際に持って入れる室内干しエリア。
この家の特徴のひとつです。
ここは洗面と逆で、腰下を水色としました。
収納スペースの中は可動棚を組み合わせ、PCスペースもあります。
これは、家具レベルの細やかな大工仕事。
もっとはっきり言えば、大工仕事の中で、家具を作って貰ったものなので、金額もかなり抑えられているのです。
ビフォーの写真があまりなく、クライアントのタブレットのバックアップファイルをコピーさせて貰いました。
「リノベーションに失敗なし」は私の信念です。
今あるものに、設計料と1千万円以上の工事費をかけさせてもらって、失敗などありえません。
しかし、それは綿密な調査と、れそれの担当者が、自身の責任を果たすことが絶対条件です。
クライアントに信頼して貰えるまで考え、描き、仕事好きな監督、職人さえいれば、他は何も必要ないのです。
少し力が入ってしまいました。
この当たり前が、だんだん困難な時代になりつつあると思うのは私の思い過ごしでしょうか……
懸命に働くこと以上に尊い行いはありません。この言葉が通じる国であって欲しいと心から願うのです。
文責:守谷 昌紀
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「羽曳野の家」放映
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いちばん小さな海‐1479‐
2018年5月7日
いちばん小さな海‐1479‐
前回は、仕事のことを書きました。
今回、次回はゴールデンウィークモード行きたいと思います。
久し振りに父の船で釣りに行ってきました。
大阪湾と友ヶ島の間にある紀淡海峡。潮流が速く、魚も豊富です。
岸和田から出船し、1時間程かけてやってきました。
今回は、父、私、娘、弟、甥っ子の5人で釣行です。
小5の子供が2人なので、いわゆるファミリーフィッシング。
確実に釣れる、根魚狙いです。
娘も釣りは久し振りですが、早速ベラを釣り上げました。
ベラ、ガシラが飽きない程度にポツポツと上がってきます。
甥っ子は子供たちの中で一番の釣り好き。マイロッドまで持っていました。
2人で楽しんでくれたなら何よりです。
今回一番大きい魚は私の釣ったアジ。
40cmくらいでしょうか。
で、夜の食卓へ。
船上で父が〆てくれたので、身が引き締まって歯ごたえが別次元。
娘はアジの刺身が何よりも好物で、その歯ごたえを満喫していました。
ガシラとベラは、から揚げに。
淡白な白身に旨みがますので、私この食べ方が一番好き。
開高健は「顔のヘンな魚ほどうまいものだよ。人間もおなじ。醜男、醜女ほどおいしいのだよ」といいました。
こんなことを書くと、ガシラとベラが夢にでてくるかもしれません。
肉より、魚のほうがいい年齢になりましたというか、なってしまったというか……
これも豊かな海の恩恵です。
生命はこの海から40億年前に誕生しました。最後は、ちょっとロマンティックに締めたいと思います。
なみだは人間の作るいちばん小さな海 -寺山修司-劇作家
全ての源である母なる海。ひととき波間を眺め、心静まるのを待ちます。
私の体の中にも海があるのです。
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世界の果てまで‐1477‐
2018年4月27日
世界の果てまで‐1477‐
今週末から、ゴールデンウィークが始まります。
中頃を除いては概ね好天に恵まれそう。
昨年は東北を回ったのですが、中二になった長男と休みが合わずで、途切れ途切れの連休となりそうです。
日帰り旅行なら、名古屋も良いかもしれません。
3月の名古屋行きの際、「南極観測船ふじ」をみて来ました。
現役として役割を終え、体験型歴史的資料館として利用されているのです。
地球上での最低気温-89.2℃は南極で記録されています。
平均して厚さ2,000mの氷で覆われているため、標高が高く北極と比べても、圧倒的に寒いのが南極です。
ふじは、昭和40年から58年までが現役の南極観測船でした。
観測隊員の部屋が再現されていますが、南極に行くとはまさにこのようなイメージ。
松本清張の「ゼロの焦点」は単行本でしょうか。時代を感じさせるのです。
現在、子供たちが予約しているバラエティ番組は「吉本新喜劇」と「世界の果てまでイッテQ!」。
この2番組を、楽しみにしています。
「世界の果てまでイッテQ!」は、「謎とき冒険バラエティー」というサブタイトルがついています。
2月だったか、イモトアヤコというタレントが南極大陸の最高峰、ヴィンソン・マシフへ挑戦するという放送がありました。
遅ればせながら、その録画をみました。
彼女は「キリマンジャロ」「モンブラン」「マッキンリー」「アイガー」等を踏破しているそうです。
「マッキンリー」と言えば、日本人初のエベレスト登頂を成功させた植村直己が遭難した山。
単独、冬季という言葉を外したとしても、危険極まりないことに変わりありません。
イモトアヤコは、2014年にエベレストへも挑戦しましたが、ネパール地震の影響で断念。これらは、ニュースでも聞いた記憶があります。
しかし、南極大陸などタレントでもなければそうは行く機会がありません。
感動するくらい美しい景色のなか、険しいルートを登ります。
そして、彼女は登頂を果たしました。
辛口ご意見番ではありませんが、まさに「アッパレ!」です。
「世界の果てまで」の看板に偽りなしでした。
「冒険とは、生きて帰ることなのである」
植村直己の言葉ですが、国民栄誉賞まで受賞した優秀な冒険家が、命を落とすのが登山です。
天保山を登って命を落とすことはないので、登山が危険だということはありません。
しかしある種の人は、より高い山を、より困難を求めます。これは、仕事においても同じです。
エベレストへ登ってみたいと思うには、そこに近しい景色を見たことがなければ、その発想さえ沸いてこないかもしれません。
そう考えると、必ず生きて帰れる冒険ってあるんだろうかと考えてしまうのです。
それでも人は生きなければなりません。その葛藤こそが人生なのですが……
まさに世界の果てまで行ってしまいました。
私たちの世代の冒険バラエティと言えば「水曜スペシャル川口浩探検隊」でしょうか。
今の時代、あの演出では納得してもらえないでしょうが、無理をしすぎないようにね、とは思うのです。
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飛ばねえ豚はただの豚だ‐1475‐
2018年4月20日
飛ばねえ豚はただの豚だ‐1475‐
公共の植込みは、愛想のない常緑樹が多いものです。
しかし、この時期のツツジ、サツキは別格。
今日は、初夏を思わせる日差しでしたが、緑と紅が目に痛いほどです。
クライアントからよくある相談で、「イスの生地を張り替えたい」というものがあります。
ある計画で、家具もリノベーションしたいと思いリサーチしていました。
平野区の加美にそんな会社をみつけました。
「加美の家」で通った街だけに愛着があります。
町工場あり、小売店あり、住宅ありと何でもある街。それが加美です。
モンドリアンばりの外観、「さかとういす」がありました。
入口付近には製作中の家具がみえます。
社長へメールしていたのですが、現在は出張中とのこと。
1階で働いていた女性が、番頭さんを呼んでくれました。
この方、元設計事務所勤務とのことで、「見学して行かれますか」と。
社内をくまなく案内してくれました。
2階にある事務所の照明は、生地で覆われています。
なんともいい感じです。
2階には縫製エリアがあります。
水上バイクのシートが張り替え中。
シートの3次元曲面を、生地が覆っていく訳で、技術と経験の必要な仕事だと想像できます。
3階は組み立てエリア。
スプリングが木に当たって音がしないように、布地を挟んで固定するとのことでした。
担当の方に、とても丁寧に説明して貰ったのです。
これは生地のすぐ下にあるクッション部。
様々な硬さのウレタンを組み合わせて、座り心地を調整するそうです。
奥にも作業スペースがあります。
こちらは生地の型を作成中か。
生地をイスに着せているところもみれました。
完全に社会見学気分で、ひとり盛り上がっていました。やはり物作りの現場は楽しいのです。
1階にあった大きな機械は自動裁断機です。
それによって、随分効率が良くなったと思いますが、私はやはり人の手を感じる機械が好きです。
また、この会社は女性の比率がとても高かったのです。
半分以上が女性だったでしょうか。
宮崎駿の『紅の豚』にあったこんな場面を思い出しました。
主人公のポルコ・ロッソ(豚)が、旧知のピッコロに新しい飛行艇を発注しました。
その製造工場に男がいません。
ピッコロ:ここんとこ仕事がなくてよ、男はみんな出稼ぎに出ちまったんだよ。
ポルコ:世界恐慌ってやつか。
ピッコロ:心配するな 女はいいぞ、よく働くし 粘り強いしな。
ポルコ:パンケーキを作るんじゃねえんだからな。
私はおそらくフェミニストではありませんが、この場面が好きです。
宮崎駿はインタビューで、「いい会社は女性が元気なんです」と言っていたと思います。
『もののけ姫』でも、アシタカに「いい村は女が元気とききます」というセリフと与えているのです。
しかし『紅の豚』で最高のセリフはやはりこれです。
「飛ばねえ豚はただの豚だ」
建築家も全く同じです。
仕事のない建築家は、下手な絵描きでしかありません。
オファーを貰い続けられるよう、頑張り続けるしかありません。
当社の女性比率も50%。総力戦で頑張るだけです。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
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男のロマンⅡ‐1474‐
2018年4月17日
男のロマンⅡ‐1474‐
普段、アトリエmのwebサイトは100~250回の閲覧があります。
土曜日の放送後は、900回以上の閲覧がありました。
やはりテレビの効果は大きいものです。
私も一視聴者として楽しませて貰いました。
ものおじしない奥さんなので、テレビも絶対大丈夫だろうなと思っていましたが、自然体で「羽曳野の家」の特徴をあますことなく語ってくれました。
ご主人、お子さんも活き活きと楽しそうで、本当にご紹介して良かったと思います。
なぜかメールが上手く届かなったので、この場でお礼しておきます。
週末は、雨予報で撮影が中止に。急遽、奈良県の池原ダムまで行っていました。
20代前半から、海、湖へ行く時は車の上にボートを積んで運びました。これを「カートップ」と言います。
私は四駆一筋なので、普通車に比べるとかなり高い位置に積むことになります。ギックリ腰になること3回。
10年前くらいから、牽引でボートを運びたいと思っていました。
先日、ようやく牽引登録を済ませ、バスボートに乗り換えることにしました。バスボートとは、ブラックバス釣り専用のボートです。
家族には、「家を建ててから」と言ってきたので、勿論全員が反対。
しかし、10年間自問自答してきました。
「贅沢過ぎる? 分不相応? 分とは? 贅沢とは……」
十分に蓄えはできた。しかし95歳になった。これでは意味がありません。
今がその一点だという結論に至りました。全て言い訳ですが。
スロープでは、スタッフがボートをおろしてくれます。
ボートをおろして10分くらいで、幸先よく42cmの1匹目。
この岬は、22年前の5月4日、当時日本記録級を釣った場所です。
その対岸にある、小さな張り出しについて居ました。
バス釣り専用のボートなので、魚群探知機もそれ用にセッティングされています。
その10分後、今回最大の魚を仕留めました。
50cm1.6kg。
沖の立ち木に、6匹ほど群れていた鼻先に、水面に浮くルアーを投げました。
ピクピクと動かすと、奪い合うような動きになりフックアップ。
狙い通りの釣り方で、今回の中でも会心の1匹でした。
バス釣りは、持って帰ったり、食べたりしないので、大きさと共に、釣り方に拘る人が殆どです。
その過程を楽しむ遊びと言ってもよいでしょう。
その後、小さい魚も釣れましたが、もう1匹50cmがらみを釣り上げました。
澄んだ湖の上で、自分の思う場所へ移動し、魚を求める。
ハンティングのような遊びなのです。
エンジンも大きくなり、かなりスピードがでます。
ちょっと怖いくらいなので、私は安全運転ですが。
ゴールデンウィークの前半限定ですが、是非と言う方は2、3日中に連絡下さい。
池原ダムのバックウォーターまでご案内しますので。
2013年の5月、「男のロマン」は土間だと書きました。
広辞苑で「ロマン」をひくとこうあります。
① 近代にロマンス語で書かれた、伝奇的要素の多い散文物語。
② 一般に、長編小説。
③ 夢や冒険への憧れを満たす事柄。
私にとっての夢と冒険への憧れを満たす、物語の第2章が始まりました。
「男のロマンⅡ」はボート(趣味)だとします。
ロマンシリーズはⅢ部で完結します。「男のロマンⅢ」は今冬にUPしたいと思います。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「羽曳野の家」放映
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人間はひと色じゃない‐1473‐
2018年4月13日
人間はひと色じゃない‐1473‐
明後日の土曜日、毎日放送『住人十色』で「羽曳野の」が放映されます。
番組のwebサイトには、
築46年の実家をリノベ!
4人の子どもが のびのび育つ家
と紹介されていました。
過去には、「光庭の家」「松虫の長屋」を取り上げて貰ったので、今回で3作目です。
5:00pm~5:30pmですので良ければご覧ください。
先週日曜日は、「トレジャーキッズたかどの保育園」の内覧会でした。
青空の下、沢山の方に参加いただきました。
プライバシーのこともあるので、人無しの写真にしていますが。
園長のお母さま、ご主人も見えていました。
園庭にある古タイヤは、そのご主人が用意してくれたもの。
「同じ大きさより、大・中・小がいいんじゃない」と提案してくれたそうです。
ひとつひとつの思い入れが、建物に物語を塗り込んで行くのです。
園児室には家具が入っていました。
ここは2階の5歳児室。
0歳児室のトップライト下には、マットが敷かれていました。
柔らかい光の下で、0歳児君がハイハイする姿が目に浮かぶようです。
「こもれびひろば」前には「ごにゅうえんおめでとう」の張り紙が。
桜、五月人形が、華やかに飾り付けられていました。
楽しい式典になったでしょうか。
エントランスには500色の色えんぴつがようやく壁に埋め込まれていました。
これは通販の大手、フェリシモの人気商品です。
実はこの色えんぴつをエントランスに飾りたいと聞いたのは、着工後でした。
正直言えば、こういったことは先に聞いておきたいところです。
しかし、自分がコントロールできない事を嫌がってしまうと、結果が良くなることはありません。
経験的に言えば「トラブルは楽しんでしまえ」という感じです。(トラブルは言い過ぎかもしれませんが)
再度練り直したコンセプトは、一度現場日記に書きました。
実際、「白木の園」と「自分色を見つけてほしい」というコンセプトが、より強く繋がったと思っています。
この日は来園者の方へ、こんな案内が手渡されました。
コンセプトを知って下さっていたんだなと思っていたら、「全く聞いていないんです」と園長。
「文章はぜんぜん得意じゃないんです」という園長が、前日に考えたそうです。
創り手のひとりよがりや、押しつけがましいデザインは常々嫌だと思っています。
この建物に入り、同じことを思って貰ったことがとても嬉しいのです。
人間はひと色ではない。この役はこうだと決めつけず、役の中に何色も塗り込んでいく。
これは、鎌田行進曲で演出家・つかこうへいに薫陶を受け、世に出して貰ったという俳優・風間杜夫の言葉です。
全ての新入生、新社会人を応援します。
そして、私たちもまだまだ塗り込んでいかなければならないのです。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「羽曳野の家」放映
■■■『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「羽曳野の家」掲載
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
amazon <民家・住宅論>で1位になりました■■■
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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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「NO」と言える1年生‐1472‐
2018年4月10日
「NO」と言える1年生‐1472‐
内祝いに届いた和菓子の老舗「老松」の詰め合わせの中に「渡月橋」というお菓子がありました。
和三盆のクリームを挟んだもので、子供たちは喜んで食べていました。
娘が「渡月橋」は倉木麻衣の歌でしか知らないと言うので、嵐山へ行ってみることに。
桜は僅かに残るのみですが、葉桜、新緑が目に優しい景色が広がっています。
インバウンドの多さに……とは違う切り口で書きたいのですが、確かに多いのは多い。
桜はやはり一番人気です。
わざわざ日本に来てくれたのですから、日本経済のためにも大歓迎しなければなりません。
また、前もって予定を組むなら、桜への期待もあったはず。数本残っており、ほっとしたかもしれません。
渡月橋の上流では、船遊びをする姿も見えました。
嵐電(らんでん)の駅も新しくなっており、ごった返していました。
改めて、京都の人気を感じます。
目抜き通りも同じくですが、ここに「元気がでるハウス」があったのか……
もしかすると25年振りくらいかもしれません。
竹林の小径もなかなかの人気。
かなりの人出でしたが、それなりに撮ってきました(笑)
桂川沿いでは新入生歓迎コンパか、いくつもの車座ができていました。
頬には僅かに朱が差し、喜々とした表情は初々しく、微笑ましくもあります。
しかし、毎年この時期、急性アルコール中毒のニュースが流れます。
○○ハラスメントという言葉をよく見るようになりましたが、常に力のバランスがいびつな時に生まれるものです。
私はお酒が弱いほうではないので(滅茶苦茶に強い訳でもありませんが)、飲ませたい先輩からは杯を受けていたほうだと思います。
しかし、こんなことで意地を張るのは全く馬鹿らしい限りです。
1989年、ソニー会長の盛田昭夫と石原慎太郎の共著、『「NO」と言える日本』が出版されました。
主には、アメリカへ向けての内容ですが、間違っていると思ったことに「NO」を言うのは、相手がアメリカ大統領であれ、先輩であれ当たり前です。
また、先輩、年長者が必ず尊敬されることはありません。
尊敬して貰える可能性があるだけで、むしろ逆。後輩、年少者のジャッジを受ける立場です。
このことは、下級生の時から常に思っていました。
よって、自分が上級生になった時、何かを強要したことはないつもりです。
真実は、後輩に聞いてみないと分かりませんが。
人生の若葉が芽吹く、20歳前後に人生を終えるなど考えられないし、あってはならないことです。
宴席に関しては、100%「NO」と言える1年生でいなければなりません。
お酒を飲むか、飲まないかで、もし何かを判断するなら、その人は間違いなく先輩ではないし、あなたの人生とは無関係な人なのです。
■■■「トレジャーキッズたかどの保育園」内覧会開催
4月8日(日)10:00am~11:00am
住所:大阪市旭区高殿7丁目16-29
■■■『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「羽曳野の家」掲載
■■■毎日放送『住人十色』4月14日 「羽曳野の家」放映
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
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株式会社一級建築士事務所アトリエm
夢は必ず実現する、してみせる。
一級建築士 守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...