女房と○○は古いほうが良い‐1507‐
2018年8月10日
女房と○○は古いほうが良い‐1507‐
10年程前から、カメラはCanonのEOS 5D Mark Ⅱというモデルを使っています。
竣工写真は写真家に撮って貰うのが理想ですが、時間がない時、また私でなければ獲れないタイミングもあったりします。
主にはその時に使うため購入したものです。
また、建築用の広角レンズは画角が広いため既存建物の調査にも欠かせません。
海外へ行く時も、5D Mark Ⅱを持っていくので、私にとっては「本気モード」の際のパートナーです。
しかし、今年の5月、トレジャーキッズたかどの保育園へ、写真を撮りに行った頃から少し調子が悪く、気になっていました。
6月初めの、スタッフの結婚式でも全自動モードしかシャッターが切れなくなってしまいました。
Canonはwebサイトからの修理申込を勧めているので、そこから依頼すると9万円弱の見積りメールが。
後継機種の 5D Mark IVが26万円くらいなので、買い替えも視野に入れていましたが、苦楽を共にしてきたカメラなのでひとまず修理を依頼しました。
それから10日。
ようやく戻ってきたのですが、伝えていた問題が解決していないのです。
ここからのやりとりは、メールでは時間が掛かりすぎると判断し、肥後橋にあるサービスセンターへ直接持っていきました。
この周辺、以前はプロラボに現像をだしに来ていたので、それなりに土地勘があります。
土佐堀川沿いに建つのはTORAYのロゴが入る中之島三井ビルディング。
あべのハルカスも設計した、シーザー・ペリの設計です。
フェスティバルホールの外壁は、なじみがあります。
それらを残して、高層ビル化されたのが2013年。
保存をベースにすることは良いことだと思いますが、この継ぎはぎを私は好きになれません。
しかし、今生の別れになる可能性もあると思い、全自動モードで辺りを撮りまくったのです。
その向かいのビルにCanonのサービスセンターはありました。
初めは若い女性が応対してくれましたが、中から主任のような人がでてきて、丁寧に謝ってくれました。
買い替えという選択をした方が良かったかなと相談すると、
「スポーツ写真等を撮るプロカメラマン様なら別ですが、このクラスのカメラは、修理しながら使って頂いている方の方が多いです。私もそちらをお勧めします」と。
責任を持って修理しますので、もう少し時間を頂きたいですとのことでした。
ついでに、普段分かり難いISOことや絞りのことを尋ねると、親切に教えてくれました。
自社の製品が好きで、プライドを持っていることが伝わってきます。
そして、無事修理が済み、健康体になって戻ってきました。
今日はフルリノベーションの現場調査でしたが、広角レンズをつけて、全部屋を撮影してきました。
蔵の2階の小屋組みを撮ったものですが、やはり長年の相棒、5D Mark Ⅱに限ります。
女房と鍋釜は古い程良い
カメラ、建築もあわせて、ひとまず古いほうが良いとしておきます。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
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室内の縁に人が集う「平野西の家」‐1‐人は食べるし、住むし、着る
2018年8月3日
室内の縁に人が集う「平野西の家」‐1‐人は食べるし、住むし、着る
現在進行中の現場はいくつかありますが、クライアントが「現場日記はちょっと……」とのことで。
現場日記が全くないのも寂しいので、当社の入る「平野西の家」のことを書いてみます。
2004年の完成なので14年が経ちました。
前の駐車場は、道路から閉じれるようになっていますが、これは弟からのリクエストでした。
ただ閉じるだけなら、シャッターが手っ取り早いのですが、一部に門扉を設けたなら、その間に柱が必要になってきます。
敷地の間口は5.4mで、門扉をつければ有効開口は4mが精一杯だと思います。
それで散々考えたのが、この形状です。
12枚建ての折戸は、右にある門扉の後ろにスライドして、収納できるようになっているのです。
12枚の折戸を右端に移動し、パタンパタント折り畳んで行きます。
全てをパネル後ろに移動し、さらに門扉を開ききったのがこの状態。
開口部は4.8mで、何とか2台の車が駐車できるのです。
背の高い車にジェットバックを装着しても問題ない高さ、2.6mも確保しています。
収納された折戸前のパネル部には、電気メーター、ガスメーターが納められ、それをのぞく窓も3つ見えています。
下に2つ並んだポストまであり、多くの機能が集中しており、最も繊細に考えた部分なのです。
この大きな門扉が、昨年の夏あたりから折戸に少し干渉するようになってきました。
アルミなので、この暑さで、想定以上に膨張しているようなのです。その証拠に、朝夕は当たりません。
職人が調整しにきてくれました。
独特の金物を使って、ギュッギュッと少しずつ力を加えていきます。
こんな仕事に教科書など当然ないので、全ては感覚と経験です。
見事に当たらないよう調整され、さらに2mm程の余裕もできました。
一緒に見ていると、したたるように汗が出てきます。しかし、終日現場に建つ職人のことを考えると、間違っても暑いなどとは言えません。
先日、建築会社の社長と話しをしていました。
「人手不足で大きな会社に人は行ってしまって、うちみたいな小さな会社まで人は来てくれません」というようなことを言っていました。
更に、この先もどんどん厳しくなって行くと思いますとも。
「流通やシステムを構築した人が偉いという世の中だけど、実際に食べるトマトが無ければ流通に意味はないものね」
「どんなに時代が変わっても、人は食べるし、住むし、着るので、物を扱う仕事をもっとリスペクトして貰える時代が必ずやってくると思うよ」と伝えました。
これは本心です。情報や手段は大切ですが、人は生身の体をもっています。
汗を流し、「モノ」を扱う仕事にもっと注目せざるを得ない時代が必ずやってくると思っているのです。
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日本最強の城で、開高の言葉を思う‐1502‐
2018年7月24日
日本最強の城で、開高の言葉を思う‐1502‐
埼玉県熊谷で41.1℃を上回り、日本最高記録を更新したとありました。
クーラーがなければ生命の危険さえあるという時代になってしまいました。
普段の暮らしで我慢する必要はないと思いますが、今回の天災時のように、電気の供給がままならない事もあります。
夏の光は最小に、冬の光は遮らない。風が流れやすい開口部を切る。建築に関わらせて貰う以上、これらは常に探求していかなければならないと感じます。
「日本最強の城」というノボリをみつけ、奈良県の高取城址へいってきました。
山道に入った途端に道が狭くなり「もしや険道か」と一瞬思いましたが、何とか到着。
高取山(583.9m)の山頂付近にあり、日本最強をうたう山城が高取城です。
城内は約10,000㎡、周囲約3km。
広大な城内は、山頂付近の3,000坪にも及びます。
壺坂口門から、木漏れ日が落ちる山道を500m程登ります。
山頂付近の3,000坪が全て城。
急峻な山肌の至るところに石垣が築かれています。
ただ登るだけで息がきれてきますが、涼し気な景色に救われます。
山頂付近に近付くと、急に視界が開けてきました。
やっと天守閣址かと思うと、これは太鼓櫓。
裏手に回ると東洋のマチュピチュと言われた、別子銅山を思い出します。
櫓上に登り、振り返るとようやく本丸。
手前が二の丸で、家臣たちの屋敷があった場所。
とても見難いのですが、右下に居る人の身長と中央の大木を比べてみて下さい。
石垣をみて「うわっ」と声を出してしまったのは初めてです。
正三角形よりきつい角度で、石垣が10m積み上げられていました。
その景色は圧巻でした。
左側面から登りますが、標識を持っているのは熊。
スーパーKなる人を襲う熊が話題になる時代です。ちょっと冗談きついわ、という感じ。
ちなみに、8m飛ぶ熊撃退スプレーは持っていませんが、2~3m飛ぶ唐辛子スプレーは持ち歩いています。
非常時にこれで撃退できるかは、普段のイメージトレーニング次第。
動線を複雑にするため、曲輪が複雑に配置されています。
14世紀に築城され、明治期までに自然倒壊したそうです。
現在は木が生い茂っていますが、是非その姿を見たかったもの。
標高583.9mにある、天守閣跡に到着しました。
壺坂口門から20分くらい掛かったでしょうか。
正面の大木裏を恐る恐るのぞいてみると、足がすくむ程の高さです。
手摺がないこういった景色を、現代人はなかなか体験することができません。
北には奈良盆地。
南には吉野の山並みを望みます。
この上に3層あったという天守閣からの眺めは、いかばかりのものだったのか。
真っ二つに割れている木が結構ありました。
落雷によるものでしょうか。
この山頂部にある広大な本丸で、多くの人が暮らしていたのでしょう。
井戸跡には、清いとまでは言えませんが、この日照りが続く中、水がにじんでいました。
難攻不落というか、甲冑を来た武士がたどり着くだけでも大変なこの高取城。
どうやら先月、NHKの番組で熊本城や大坂城を押さえて「最強の城」と認定されたようです。
この山奥で、それなりの人とすれ違った理由と、真新しいノボリがあった訳が理解できました。
石垣の上に古瓦が置かれています。
足下を見れば石に交じってあちこちに。
城郭に使われていたものでしょうが、分別解体した訳でもないのに、石垣以外、すべて自然に帰って行くのです。
改めて、石の強さと、自然素材で作る意味を考えさせられます。
永遠である必要など全くありません。
作家・開高健は「河は眠らない」でこんなことを書いていました。要約してみます。
木が倒れ、朽ち、苔が生え、微生物が繁殖し、バクテリアが増殖し、土を豊かにする、小虫がやってくる。
小虫を捕まえるためにネズミなんかがやってくる、そのネズミを食べるためにまたワシなんかの鳥もやってくる。
森にお湿りを与える、乾かない。そのことが河を豊かにする。全てはつながりあっているんだ。
風倒木のことを、英語でナースログと言う。森の看護をしているという意味で、自然にとって無駄なものはひとつもない。
無駄に見えるけど貴重なものは沢山ある。人にとってのナースログとは?
無駄をおそれてはいけないし、無駄を軽蔑してはいけない。何が無駄で何が無駄でないかはわからないんだ。
人は分からない中でも、何かしらの決断をしながら生きて行かなければなりません。
悩んだとき、迷った時は、原理原則に戻る、太古に戻ることにしています。
自然だけが素晴らしいとか、人こそが素晴らしいというつもりはありません
無駄をおそれてはいけない。軽蔑してはならない。大阪生まれの作家の言葉に、何か救われる気がするのです。
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明石海峡に、日本一のタコとゴミ問題をみる‐1500‐
2018年7月19日
明石海峡に、日本一のタコとゴミ問題をみる‐1500‐
土曜日は、父の船で海へ出ていました。
朝焼けの岸和田から出船し、走ること1時間半。
明石海峡大橋も超えて、東二見沖までやって来ました。
この時期、明石ダコがピークを迎えます。
タコの釣り方は色々ありますが、大きく分けて2つ。
1つは、エギやタコジグなどの疑似餌での釣り。
早速タコジグで、父の友人が初めの1杯を上げました。
続いて父、私にも。
私はテンヤという針付きの台にイワシをくくり付けたものを使いました。
タコは本当に好奇心旺盛な生き物で、色々な釣り方があるのです。
速い潮流に流されないよう踏ん張るため、筋肉質で美味しいと言われる明石ダコ。
太く短い足が特徴で、立って歩くと言われます。
しかしこの日は後が続かずで、海峡付近まで移動してきました。
淡路島の北端あたりは、本当にのどかな風景が続きます。
西日本豪雨の間、通行止めだった明石海峡大橋も通行が再開され、多くの往来が見てとれます。
この橋が完成して20年経ちますが、橋の北と南でこれだけ風景が違うことに驚き、またほっともするのです。
釣りのほうは、淡路島の東岸を流しながら南下して行きます。
淡路夢舞台の建築群は、安藤忠雄の設計です。
左はウェスティンホテル、右が百段苑。100の大きな花壇が幾何学的に配置されています。
コンセプトがシンプルで誰にでも分かりやすい、そして心に残る。それが、安藤が時代に愛された理由でしょう。
そんなことを考えながら、ガシラを10匹ほど追加。
そしてアジも数匹。
本当に暑い一日で、午後2時には納竿して岸和田へ向かいました。
家に帰ると、妻が熱中症気味だというので、久し振りに獲物をさばきました。
料理好きの娘も手伝ってくれ、まずはタコを塩揉み。
アジは刺身にしました。
明石ダコは、完全な生とさっと湯にくぐらせたもの。
日本一と言われるだけあり、一瞬で売りきれました。
私の釣った小さいアジは、写真を撮ったあと跳ねて逃げてしまいました。
アジに目がない娘のために、父の友人が一番大きいものをプレゼントしてくれたのです。
夏だけ魚をさばく季節料理人なので、見栄えのほうは勘弁してもらい……
味のほうは問題なしで、一瞬で娘が平らげてしまったのです。
この日は豪雨の影響で、多くのゴミが浮いていました。
明石海峡あたりが、真水を多く含んだ濁った水と、太平洋の海水の境となっているようです。
潮目には多くのゴミ、流木が集まり、ゴミ袋が針に掛かって上がってきました。
被災地のゴミ問題は深刻です。
また、今日の新聞にも載っていましたが、こういったプラスチック系のゴミ問題は、より深刻に受け止めなければなりません。
マイクロプラスチック(微細なプラスチック片)が、海洋生物の中に取り込まれ、蓄積、濃縮され、最終的には人に害を与えます。
ゴミのポイ捨て、タバコのポイ捨てを見た時ほど、憂鬱な気分になることはありません。
自分の家に持ち帰り、ゴミ箱に捨てる。
たったそれだけの事を出来ない一部の人が、未来の子孫に、いや、たった今も、害を与え続けるのです。
石油製品という、安価と便利をもたらす発明が、一部の美意識のない人によって害を与える。
この構図を何とかする方法はないのかと、歯ぎしりしたくなります。
スターバックス、マクドナルドと、プラスチック製のストローを廃止すると発表しました。
その判断のように元を絶つしか方法はないのでしょうか。
何れにしても、一刻を争う問題として世界全体で取り組むべき最重要課題です。
ゴミには、その人の全てがでるのではと思っています。
ゴミを美しく捨てると、幸せが近付いてくる。
そんなメルヘンチックな言葉では、何の解決策にもならないでしょうか。
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サッカーとワールドカップの魅力‐1497‐
2018年7月6日
サッカーとワールドカップの魅力‐1497‐
火曜日は多くの人と同様に、早朝3:00に起きました。
前日は21:00に寝たので睡眠は6時間。準備万端です。長男は定期考査中にも関わらず、4:00起きで後半から一緒に応援しました。
結果と内容は私が書くまでもありませんが、本当に惜しい、悔しい試合でした。
優勝候補の一角で、FIFAランキング3位。フランスとオランダ、ドイツに挟まれた人口1100万人のベルギー。チョコレートとビールで知られ、東京都民より少ない国民の代表は、史上最強の呼び声通り本当に強かった。
多くの選手がプレミアリーグ等のトップチームで主力を張り、それが控え選手までに及んでいるというチームです。
日本も、控えに本田圭佑がいるという時代になりましたが、層の厚みは明らかに違いました。
4年掛けて準備し、成熟してきた、史上最強の代表チームに、2ヵ月前に監督が交代し、戦術が変更された日本が、ここまでやれたことは、奇跡に近いのではと思います。
もしこのワールドカップを戦った主力メンバーが、より多くの時間を共有し、その関係をより成熟させていたなら……
「たら」「れば」を積み重ねても仕方がありませんが、和を尊ぶがゆえ、決断が遅くなるという傾向を、日本サッカー協会と私たちは理解しておく必要がありそうです。
香川、柴崎、吉田、昌子と多くの功労者が居る中でも、乾のインタビューを聞いていると、本当に真面目なんだろうなと感じます。
そして、やはり努力は報われるんだと思えます。
本気の本田圭佑の言葉が聞けなくなると思うと、寂しい限りですが、中田英寿が引退した時とはまた違う印象もあるのです。
それぞれが、4年先を見据えてまた高みを目指して頑張って欲しいし、私たちも日々頑張らなければと思えます。
サッカーというスポーツが、なぜこれだけ多くの人たちを魅了するのか。またワールドカップに熱狂するのか。
裸足でもボール1つあれば出来るこのスポーツは、多くの人に平等に機会を与え、また差も与えます。
極めて単純なルールの中でも、人類の進化にとって最も重要だった手の使用を禁じたことが、最大の要因でしょう。
元日本代表監督だった、イビチャ・オシムはこう言っていました。
例えば日本人はバスケットボールでは、アメリカのレベルに達するのは難しいだろう。
それは現時点で日本人が体格的に劣るからだ。
しかしサッカーは違う。
サッカーなら日本人にも不利なく戦える。
また、日本が目指すべきところについてはこう語っていました。
いつも自分の家に帰りなさい。
必ず他の場所へ行けばいいというものではない。
自分の家に帰って、もっと自分のこと、つまり日本のことをもっと考えるべきなのだ。
欧米でのテレビやドラマをみて海外に憧れをいだくかもしれないがそれはよくない。
模倣すれば模倣以上のものは生まれないからだ。
極めてシンプルであるからこそ、工夫と哲学を必要とするスポーツが、オシムという思想家を育くむのでしょう。
この哲学は、前回書いた明治、大正の思想家、岡倉天心の言葉とほぼ同じです。
「4年後も目指す」と宣言した、岡崎のパーソナルトレーナーは、同じ番組内でこう語っていました。
彼は、オリンピックの400mリレーで、6位入賞の経験がある生粋のアスリートです。
サッカーでなければ、通用しない。
それ程、元々の身体能力が高かった訳ではなかったという意味です。
しかし、地道なトレーニングによって、2年前にプレミアリーグでの優勝に大きく貢献する選手となりました。
それが起こり得るのがサッカーです。
人は生きるために闘争本能を持っています。武器を使わない戦争の言葉通り、国と国の威信をかけた真剣勝負に人は魅了されます。
選手はリスペクトしあえる仲間と、頂点を目指して戦うこと以上に達成感のあることはないでしょう。
・元々の能力より日々のトレーニング。
・個の能力だけでなく、チームとしての総合力。
・同じ目的を共有できたとき、最高のパフォーマンスが発揮される。
こう並べると、日々の仕事と全く同じです。サッカー=仕事と置き換えても何ら問題ありません。
更に、その目的を最も高い位置に設定すれば、ワールドカップを目指す、ナショナルチームと同じになります。
仕事も、サッカーも、プライベートも、どこにも境界などありません。
それをつくっているのは、いつも自分の小さな都合だと思うのです。
先日訪れた、京都国立近代美術館にはピカソがありました。
折角やるなら世界一。
折角見るなら、本物を見るべきです。
本当に良いものを見せて貰いました。
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日本の夏、日本の美、頑張れチームニッポン‐1496‐
2018年7月3日
日本の夏、日本の美、頑張れチームニッポン‐1496‐
金曜日の午前1頃、サッカーの日本代表はグループリーグを突破しました。
その戦い方には様々な評価がありますが、また4日間楽しみが増えました。
チーム日本の総生産能力が、かなり上がっているのは間違いありません。
昨日は、京都国立近代美術館の「横山大観展」へ行ってきました。
初夏の京都ほど美しいものはそうありません。
一昨年、作品群が世界遺産に指定されたル・コルビジュエ。
その愛弟子、前川國男が設計したのが京都会館です。
現在はロームシアター京都となりましたが、深い軒と木陰に誘われて、多くの人がお茶を楽しんでいました。
「日本の夏」というフレーズが浮かんできます。
ロームシアター京都から少し南。
平安神宮の大鳥居を抜けると、京都国立近代美術館があります。
こちらは、9・11テロの跡地に建つ4WTC(4ワールドトレードセンター)も設計した槙文彦の作品。
建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞も受賞している、私にとっては生きるレジェンドです。
京都市立美術館とで大鳥居を挟むように建っているのです。
明治から昭和にかけて、多くの作品を残している横山大観。
生誕150年を記念しての展覧会ですが、かなり賑わっていました。
会期の前半と後半とでは展示が変わるようで、前半の目玉はこの『 紅葉 』。
1931年(昭和6年)の作品です。
「東の大観、西の栖鳳(せいほう)」と並び称される近代日本画の巨匠、横山大観。
日本の伝統的な技法を継承しながら、新たな境地を開拓しました。
しかしコミカルなタッチもあり、巨匠然としていない所にも好感がもてます。
もうひとつの目玉、『 生々流転 』は全長40mの日本一長い画巻で重要文化財です。
山間に沸く雲から一粒の滴が生まれるところから、川、海、そして雲に戻るまで、水の一生を描いた大作です。
40mは一度に展示できないので、会期を3つに分けて1/3ずつの展示でした。
やはり、全展示の中でも『 紅葉 』は圧巻でした。
画材として、プラチナが使われているそうで、鮮やかさ、コントラストと、まさにエンターテイメントという言葉が相応しいと感じます。
常設展示でさえ、ピカソ、マティス、モンドリアンと、もう見応え十分でした。
展覧会の案内で、横山大観の師が岡倉天心だと知りました。
1896年、東京美術学校初代校長だった岡倉天心はトラブルがもとで同校を去ります。
その後、日本美術院を設立しますが、横山大観も師と行動をともにしています。
後に岡倉天心はアメリカに渡り、1906年に「Book of Tea」を出版しました。
1900年、新渡戸稲造の「武士道」が英文で発表されます。
時代は、日清戦争、日露戦争と日本は軍国主義を色濃くし、欧米からは警戒心をもった目で見られていきます。
日本人の本質は、もっと他にもあるという危機感をもって、天心が英文で発表したのが「Book of Tea」で、後に和訳され「茶の本」として日本でも出版されました。
茶道のみならず、禅、茶室、美術鑑賞、そして千利休、小堀遠州と、日本の芸術を紐解く傑作と言って間違いありません。
少し硬い表現ですが、引用してみます。
この人生という、愚かな苦労の波の騒がしい海の上の生活を、適当に律してゆく道を知らない人々は、外観は幸福に安んじているようにと努めながらも、そのかいもなく絶えず悲惨な状態にいる。われわれは心の安定を保とうとしてはよろめき。水平線上に浮かぶ雲にことごとく暴風雨の前兆を見る。しかしながら、永遠に向かって押し寄せる波濤のうねりの中に、喜びと美しさが存している。何ゆえその心をくまないのであるか、また列子のごとく風そのものに御しないのであるか。
美を友として世を送ったひとのみが麗しい往生をすることができる。
巻の最後、利休が秀吉との不和で切腹を強いられ、弟子らとの「最後の茶の湯」の場面へと進みます。
そして切腹の場面までを鮮やかに美しく描いています。
まさに、麗しい往生が精緻に描かれているのです。
「美」とは何か。
これは私にとっても永遠のテーマです。
どこかの区切りでまとめたいと思っていますが、岡倉天心の言葉は深くまで心に入ってくるのです。
日本代表はベスト8をかけてベルギーと戦います。
試合開始は3:00am。深夜と言えば良いのか、早朝と言えば良いのか微妙ですが、早起きして見ようと思います。
FIFAのランキング3位の「赤い悪魔」は2年間無敗だそう。
実力は間違いなく相手が上です。しかし、「十分やれると思っている」という長友の言葉通り、期待せずにはおれません。
もう一度天心の言葉を引いてみます。
おのれに存する偉大なるものの小を感ずることのできない人は、他人に存する小なるものの偉大を見のがしがちである。
こんな時は、この極東の島国だからこそ、持っているものがあると信じたいのです。
頑張れニッポン。
建築だって、経済だって、斜陽などとは言わせないぞと思っているのです。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「羽曳野の家」放映
■■■『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「羽曳野の家」掲載
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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐7‐エピローグ 建築の責任
2018年7月3日
緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐7‐エピローグ 建築の責任
webサイトの完成は、プロジェクトの一区切りでもあります。
「山本合同事務所」の東隣はマンションを建設中。
その事故対策で、電線に黄色いカバーがついています。
電柱、電線は美しくないので地中埋設になればよいのですが、新築時の引き込み工事は高額になると言われています。
実仕事の中で、金額調整に当たる立場としては、何とも難しいところです。
電線だけは思う所がありますが、他はこの建物がよく表現できていると思います。
1階は、階段以外全て駐車場。
何とか5台停めることを目標にしました。
右手に見えるのはサインです。
その階段を上がると、2階ワークスペースの中央にでてきます。
手前のバームクーヘン型のデスクと、奥にある馬蹄型のデスクが、このオフィスの最大の特徴。
人の流れに沿うようにデザインしました。
特に馬蹄型のデスクは、中央に緑をもってくるためにこの形状を考えました。
南側の一番奥から見返すと、3階のミーティングルームとの関係がよく分かります。
鉢植えとは言え、大きな木が入ることを想定していたので、トップライトからの光も取り込みました。
北面の道路側にある階段を上って3階へ。
北側は光が入りすぎないので、カーテンウォールとし、街に大きく開いています。
3階はミィーティングルームとしていますが、リビングのような使い方をイメージしています。
家具などは、全てクライアントのセレクト。
京都は景観条例があり、法律上このような切妻屋根にする必要があります。
3階はロフトっぽい空間にしたいという要望だったので、屋根形状を上手く活かすことを考えました。
ガラス手摺から見下ろした景色が、「緑を囲む」というコンセプトをよく表しています。
コンパクトなキッチンも備え、さらにロフトの中のロフトのようなスペースがあります。
ここは仮眠などに使われるのです。
その下にあるのはトイレスペースですが、シャワーも備えました。
ムービングキャビネットは既製品でサイズを検討し、木で制作しました。
工場で大量生産されるものを、木で家具として作るのは、なかなかにハードルが高いもので、施工会社もかなり苦戦していました。
ステンレス板をくり抜いた看板も、オリジナルのデザインです。
物創りを生業とするなら、過去をなぞるだけでは意味がありません。しかし、無謀な挑戦をすることに価値がある訳でもありません。
その間にある、最も総合点の高い一点を見つけ射抜かなければなりません。
この建物は個のものです。
しかし街は建築の集合体でもあります。観光都市京都において、その責任を感じながら仕事をしたつもりではあります。
文責:守谷 昌紀
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築80年の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐12‐人は思い出にも、過去にも生きる
2018年6月22日
築80年の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐12‐人は思い出にも、過去にも生きる
本日、「碧の家」をwebサイトにUPしました。
大阪の下町にある四軒長屋の一住戸を、フルリノベーションした計画です。
サブタイトルは「 100年を紡ぐ物語」としました。
これは、現場日記の第2回目のタイトルでもあります。
昭和10年代に建てられたこの長屋に、ご家族は越してこられました。
お父様は残念ながら早世されてしまい、皆さんでこの家を守ってこられたのです。
解体の途中、床下からでてきた火鉢は、掘り炬燵の底にあったものだろうということでした。
昭和初期の暮らしが、目の前に活き活きと蘇ってきます。
100年前、人は家の中でも火で暖を取っていたのです。
リノベーションブームと言って良いほど、この言葉を頻繁に聞くようになりました。
「価値を高める」という意味ですが、古いものの価値が低いなどということは全くありません。
人は思い出に中にも、過去にも生きます。
創り手は、そこをよく理解していないと、ただ封をするような仕事をしてしまうのだと思うのです。
特定の何かを非難したい訳ではありませんが、リノベーションは新築を目指すものではありません。
オーダーが古建築の改修ならその仕事を全うしますし、新たな価値を求めたいと言われればそれを目指します。
私たちの仕事は、クラアイアントの幸せを実現する為にあるのですから。
その要望にどこまで応えられたのかは、分かりませんが、真っすぐに取り組んで来たつもりではあります。
1階の階段は反対向きに付け替えました。
奥にある、お母様の寝室に少しでも光を届けるためです。
階段上にあるトップライトが、その価値を高めてくれます。
奥にあった外部通路を、通り庭と解釈しました。
横にあるトイレは、思い切った色使いになっています。
トランプと不思議の国のアリスの物語がここに織り込まれているのです。
通り庭をはさんである洗面・脱衣室。
トップライトの光が落ちてきますが、お母様の寝室にも漏れ落ちるようになっています。
長屋の北側を、どうすれば心地よい空間にできるか。
「住之江の長屋」、「阿倍野の長屋」と、そして「碧の家」と、様々なトライをしてきました。
2階寝室の写真を、この計画のメインカットとしました。
ロフトに続くこの部屋は客間。
親族が見えた時に泊まって頂く空間です。
そこには、100年に渡ってこの家を支えてきた梁があります。
色を塗るのではなく、汚れを丁寧に落として貰いました。
これは監督からの提案でした。
「折角なら、色を付けるのでなく垢を落としてあげましょう」という考えです。
色を付けるより余程手間のかかる仕事で、物に対する敬意がなければ出てこない考えです。
一も二もなく賛成しました。
「作品」という言葉は、良い意味でも、悪い意味でも使われます。
創り手のエゴを含んだ言葉として使われる場合が校後者でしょうか。
「商品に魂を込めれば作品となる」
私はこの言葉を支持したいし、信じています。
文責:守谷 昌紀
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
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「中庭のある無垢な珪藻土の家」【web内覧会】フルタイムで働く育児母の家。家事時短ハウス
2018年6月13日
「中庭のある無垢な珪藻土の家」【web内覧会】フルタイムで働く育児母の家。家事時短ハウス
月曜日に「中庭のある無垢な珪藻土の家」をUPしました。
私も建築専用のレンズで撮りますが、やはりプロの仕事はプロの仕事です。
右手の中庭をあわせた構図になっていました。
何カットもこの方向から撮りましたが、やはり写真家に撮って貰ったものが一番美しい。
建物の形状は、敷地から検討して行きました。
ワールドカップ寸前で、日本代表に返り咲いたサッカーの本田圭佑選手。
「ゴールはケチャップみたいなもの。出るときはドバドバ出る」言っていましたが、設計も同じかもしれません。
いくら悩んでも、出てこない時は出てきません。
この敷地を見せて貰ったあと、すぐにプランのイメージは浮かんできました。
そこからクライアントと修正を重ね、ここに至ったのですが、くびれの部分が真っすぐだと建ぺい率がオーバーします。
このくびれの部分に、納戸やトイレの開口部を切り、その形状を強調しています。
ピンチはいつもチャンスです。
床は全て無垢の檜で、壁は全て珪藻土です。
リビングは比較的コンパクトにまとめました。
軒のある中庭に面しているので、暑すぎず、寒すぎない空間となっているはずです。
一方、ダイニング、キッチン、家事スペースはゆったりと繋がります。
特に、キッチンと家事スペースは、何を置くか、どのような視線の抜け方が適切で心地よいか。
奥さんと入念に打合せしました。
キッチン南にある、2畳程の和室は現代サッカー用語で言えば、ポリバレントな空間。
(ポリバレント=複数のポジションをこなせる)
お子さんのお昼寝、洗濯物を畳む、雨の日の物干しと、最低でも3役はこなしてくれます。
畳んだ衣類を横の収納に。
裏側は洗面脱衣室に開いています。
これらは全て奥さんの勉強のたまものです。
フルタイムで働く奥さんの仕事部屋にもなるのが家事スペース。
モザイクタイルに拘った、洗面脱衣と隣り合います。
エントランスからも檜の階段が続きます。
2階の寝室とつながるクローゼットは、舳先形状の部分を利用しています。
写真は引越し前ですが、舳先でご主人と奥さんが半分半分となりました。
こちらはご主人の書斎。
そして子供部屋。
1階にもあった茶色の壁は、マグネットの付く黒板(茶色です)なのです。
中庭にあるのはLDKのエアコンの室外機です。
玄関上の庇の下をそのエアコンの配管が走っているのですが、ファサードにこれらの配管を通したことは、過去に一度もありませんでした。
どうするのが一番美しいだろうかと考えに考え、このような手法をとりました。
結果として、私たちの引き出しを増やすことになったと思います。
ゴミ箱のサイズも詳細を聞き、蓋が開いたその上に、ストックのゴミ袋を置くスペースを設けています。
奥さんからはスケッチまで頂きました。
有るべきものが、有るべきところにあって欲しい。
仕事、家事、子育てと、忙しい日々の中で、家族との時間を少しでも捻出するために、あらゆることを効率よくしたい。
そんな純粋な本気に、いつも応えたいと思うのです。
夜景は、その建物のシンボリックに見せてくれます。
夕刻、そのフォルムが浮かび上がり、開口から光が漏れはじめたとき。
いくつになってもときめくものがあります。
これにて、「中庭のある無垢な珪藻土の家」の物語はひとまず完結。
楽しんで頂けたでしょうか。
文責:守谷 昌紀。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「羽曳野の家」放映
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ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
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できるかぎり美しく、できるかぎりドラマティックに‐1489‐
2018年6月8日
できるかぎり美しく、できるかぎりドラマティックに‐1489‐
昨日、近畿地方も梅雨入りしました。
しかし早速の梅雨の晴れ間。
お母さん方をこれほど喜ばせるものはないかもしれません。この時期、洗濯物が皆さん悩みの種です。
アジサイの葉に残るのは、今朝方までの雨の証。
梅雨の間は露を楽しむしかなさそうです。
6月までにバタバタと撮った竣工写真が、どんどん上がってきます。
まずはwebサイトのページを作って行きますが、「中庭のある無垢な珪藻土の家」はようやく下書きが完成しました。
「碧の家」は現在鋭意製作中。
「山本合同事務所」の写真も本日上がってきました。
トップライト、吹抜、緑が良い感じです。
早速、写真、データの整理から始めます。
昨日公開した「トレジャーキッズたかどの保育園」。
写真はカメラマンの平井さんに撮って貰いました。
やはり、プロの仕事はアングルを決めることだと実感します。
現場日記の完結編には、人物ありの写真をいくつかUPしました。
これらは私が撮ったのですが、他にも好きな写真が沢山あります。
園児とシャボン玉で遊ぶ先生。
砂場で。
芝生の上で。
園庭で遊ぶ写真は動きがあります。
しかし、一番好きなのはこの写真。
何というか、愛情が伝わってくるのです。
この保育園へは、撮影だけで2回足を運んだのですが、実は今日も行っていました。
2階にある「あおぞらえほんしつ」は4畳ほどの部屋です。
しかし、この園にとっては大変重要な空間です。
トップライトがもう少し分かりよいアングルはないだろうかと思っていたのです。
階段側を見返す。
真正面から撮ってみる。
やっぱり、プロが選んだアングルは間違いないなと思いながら、「もりのひみつきち」を再撮影していました。
このカットは、初めから私の担当です。
撮影していると、強い日が差してきました。
向かいにある「あおぞらえほんしつ」をのぞくと、トップライトからの日が落ちていました。
急いで準備をして再度撮影したのです。
3回目に、最も良い条件と巡り合うことができました。
当たり前ですが、写真はその場にいなければ撮れません。
自分の人生における、ある時間の、ある一瞬を切り取る行為です。
できればその一瞬を、できるかぎり美しく、できるかぎりドラマティックに切り取りたいものです。
昨年2月に幕が開いた「たかどの劇場」。私達の出番はひとまず終わりました。
プロジェクトが終わる時、いつも一抹の寂しさがよぎるものです。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「羽曳野の家」放映
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記
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株式会社一級建築士事務所アトリエm
夢は必ず実現する、してみせる。
一級建築士 守谷 昌紀 (モリタニ マサキ) 1970年 大阪市平野区生れ 1989年 私立高槻高校卒業 1994年 近畿大学理工学部建築学科卒業 1996年 設計事務所勤務後 アトリエmを設立 2015年 株式会...